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純血のかぐや姫  作者: 瑞希
輝夜姫 ~嫉妬が国~
16/29

〈レッツパーリナイ!〉

「かぐや、入って構わないか」

ラムセス…?

何だろう、業務ならば部屋にまで来ては言わないはず。

それに今は勤務外(一応だけど)だから、緊急以外なら業務について誰かが来ることはない。

だけど緊急にしては、急いでる様子はないし…。

まさか、私用…?

普通に考えればそんだろうけど、ラムセスと考えると…。

とにかく中に入れよう。


「はい。

 どうしたんですか?」

「業務ではない。」

私の様子に気づいたのか、ラムセスはそう言った。

だけど、業務でないなら…


「では………………?」

「迷惑でなければ、ついてきて欲しい」

最近、何となくラムセスの感情がわかるようになってきた。

今は微かに眉が下がっていて、困っているような申し訳ないような様子だった。


「???

 わ、わかりました…」

少なくとも、ラムセスに悪意なんてある訳がないので、ついていくことにした。

私がそういうとラムセスの眉の位置が元に戻った。

たぶん、安心したのだろう。

こうしてみると、案外ラムセスも分かりやすいのかもしれない。


「連れて来た」

ラムセスは、私の提案によってみんなで一緒にご飯を食べる食堂になった大きな部屋の扉をノックして声をかけた。

どうやら中に人が居るらしい。

みんなの部屋だから、誰が居ても不思議ではないけれど…。

今日は食事会の日じゃない、よね………?


「せーのっ」

アドリアナの小さな掛け声が聞こえたかと思うと、いっきに扉が開け放たれた。

そこには、大貴たいきめいさん、リンさん、お城のみんな、普段は公衆の面前に姿を表さない七志ななしまでもが居た。


『国王陛下、誕生日おめでとうございます!』

「た…、誕生日…?」

あまりにいきなりの事で、全然意味がわからなかった。

今日が何日とかここ最近気にしていなかったけれど、もう11月5日になったのだろうか…?


「今日で、王サマが王様になってからちょうど1年なんです!」

混乱する私に、命さんがいつもの調子で明るく説明してくれた。


「陛下に誕生日ないですから、今日をそれにしよう。とアドリアナが。」

「はい!

 かぐや様!こちらです!」

リンさんの言葉に、アドリアナが満面の笑みでいつものように私の手を握り、席へ連れ出した。

いつも私が座っている長方形の一番端の誕生日席だ。

誕生日といってもやっぱり和風で一人一人に小さな机が置かれ、座布団が敷いてある。

だけど、机の上に置かれた食事はいつもよりも、ずっと、ずっと、豪華だ。

まるで本当に、心から祝ってくれているようで胸の辺りがポカポカしたきた。


「皆さん…。

 とっても嬉しいです…

 本当にありがとうございます…!」


「今日は無礼講だそうだ。

 みなと共に、大いに楽しむと良い。」

ラムセスの声を合図に、食堂が一気にドンチャン騒ぎになった。

お酒も多く用意されているようで、大貴が早速手を伸ばしていた。


「よっしゃ!飲むぞ!食うぞ!」

そんな大貴を見た、命さんが徳利を両手に2本ずつ持ちながら大貴によっていった。


「勝負するぅ~?」

「おっ、負けねぇぞ~?」

すでに若干、お酒が入っている様子の命さんに、大貴は余裕綽々に勝負を受けた。

そして負けていた。

決して大貴は弱いわけではないと思うけど、命さんが底なし過ぎて…。


「主ぃ、酒飲めるんですか~?」

大貴と同じく命さんの餌食となった七志がべろんべろんの様子でよってきた。

かなり酒臭いよ、七志…。

七志の視線の先には、私のぶんのお酒が。


「飲めないと思いますよ…、たぶん。」

たぶんというのは、この体の実年齢がわからないからだ。

というか、この国でのお酒に関しての法律もわからない。

見た目的に私より少し小さいはずのアドリアナは普通に飲んでるし…。

だけど、精神年齢的にちょっと抵抗が…。


「じゃあくださ―」

「飲みすぎだと思います」

案の定、お酒を取ろうとしたので、先に取って、七志に取られないようにした。

お酒はたしなむ分には構わないけど、飲みすぎはいけない。

明日が辛いだろうし、肝臓にも悪いのだ。


「そんなこと言わずにぃ~」

あー、ダメだ。完全に酔っぱらってる。

真っ赤っかだから見ればわかるけど、言動がとっても異常だ。

これは明日絶対に二日酔いになるだろう。


「ダメです!

 ほら、お水でも飲んでください」

「さ~けぇ~」

倒れ込むように私の持つお酒に手を伸ばしてきたので、反射的に腕をあげると上から水がふってきた。

一瞬お酒をこぼしてしまったのかと思ったけど、お酒の匂いはしなかった。


「水だ」

「え?!ラムセス?!」

低く響く声にパッと顔をあげると、ラムセスが水入れをひっくり返していた。

それはものの見事に、私には一滴も当たらずに七志にだけかかっていた。

冷たかったのか、赤かった頬は元に戻り、ひたすらビックリした顔をしてる。

こんな時に思うのも変かもしれないけど、なんか子供みたいで可愛い


「…手が滑った」

「ああ、ビックリしました…」

私が水でも飲めと七志に言ったから気を利かせて持ってきてくれたのだろう。


「すまない。」

「いっ、いえ!

 七志こそ、大丈夫ですか?

 今、何か拭くものを…」

「い、いえ、大丈夫…」

酔いが完全に覚めたらしく、七志がいつも以上にかしこまっている。

さっきは驚いてしまったけど、どうせならもっと見ておけば良かった。

もしかしたら、あれが本来の七志だったのかもしれない。

だとしたら、甘やかしてあげれば良かった、と今更ながらに思った。

どちらにしても、お酒はあげませんけどね!


「藍蛇様。陛下。

 私にお任せを」

リンさんが七志の襟部分を掴み、微笑みながら言った。

その微笑みが何となく怖くて止めようとしたけど、ラムセスが頷いたために行ってしまった。

…七志。貴方のことは忘れないよ…!


「濡れてはいないか」

微かに、本当に微かに、眉が下がっている気がする。

落ち込んでしまったようだ。


「はい。平気ですよ」

安心させるために、微笑んで見せた。

まあ、七志は…、うん。忘れよう!


「ならば良かった。」

眉が元の位置に戻った。たぶん。


ちょっと安心して、私は立ちっぱなしのラムセスに声をかけた。

「ラムセスも、座りませんか?」

ラムセスはあからさまに目を開いて静かに首を振った。


「私は貴方の使い魔だ。

 何かあったとき…」

困った様子でそういうラムセス。

そういえば、ラムセスが座ってるところって見たことない…

あ…れ…ご飯いつ食べてるの?!


とにもかくにも座らせよう…!

すってーはいてー。


「あら…今日は無礼講なのでしょう…?

 それとも、私の隣は嫌でしたか…?」

さすがといっていいか、演技の一家の跡継ぎだ。元だけど。

身の振る舞いなら、元の家でも、ここでもみっちり教えられていた。


「…………わかった」

迷った末に、ラムセスは座ってくれた。

斜め後ろだけど…、まあラムセスにも譲れないものはあるのだろう。

座ってくれただけでも…


「ところでラムセス、なにか食べますか?」

「いや。私は貴方のつか…」

さっきと同じことを言いそうになるラムセスに、私はジッ………と見つめた。


「一口いただこう…」

「はい!」


ラムセスって結構、いやかなり押しに弱い。

良いことを知ったかもしれない。

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