fragment1
週1ペースでゆっくりと更新をしていきたいと思っています。
俺はごく普通の中学校に通う一般人だ。
そんな俺は友達がハマっていると聞き、《アルテニア・オンライン》というゲームを手にし、今や毎日プレイしている。
世界初の『自発進化型人工世界』を謳い文句に、グローイング・ギア社(通称GG社)が社運を掛けて発売した、完全没入型のネットゲーム、いわゆるVRMMORPGである。
ゲーム内世界の没入体験を可能にした脳波接続型のウェアラブル・コンピュータ、ゲート・レンズの発売から数年。近年では様々な種類の体験型ゲームがしのぎを削る中、この《アルテニア・オンライン》は発売直後から世界中で爆発的なヒットを記録し、今や学校内でもやっていない人間の方が少数派だった。
俺はそんななか、『ネットゲームにだけは手を出さない』という自戒を胸に、孤高の少数派を気取っていた訳だが、そんな俺に熱心なラブコールを掛けまくってきた友達の熱い言葉を思い出す。
「独自の遺伝的アルゴリズムに基づいた、選択的な進化をするプログラムなんだってよ。……つまりさ、この世界は生きてんだぜ!」
そんな友達に、「日本語で話せ!」とチョップをかまして黙らせるまでのお決まりの流れが今や懐かしくなりつつあった。
「ヱイタさん? どうかしましたか?」
と、ぼんやりと考え事をしていると、隣から少女が控えめに俺の袖口をくい、とひっぱるので、俺は現実、いや、ゲームに意識を戻された。
そう。俺は今も絶賛《アルテニア・オンライン》のプレイ中。そして今はとある新発見の場所を目指しているところだった。
「何でもねェよ。ほら、行くぞ」
「あ、待ってください」
背後から追いすがる少女、アゲハの声を無視して、俺はずんずん先を目指した。