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縁は縁でも腐れ縁 腐ってもつながってる縁って凄くない?

前略、母さん…

なんだかんだで1週間が経ちました…


今は昼休みの時間帯です

何故か、お弁当を教室の隅っこで寂しく食べている訳で…


思い返せば僕は初日から遅刻と課題の提出を求められるというレアイベントを体験した訳ですが


高校生活という貴重なひと時を更なるイベント(恋愛限定)に向けて邁進してる所存であります


しかし、重大な問題が発生致しまし入学3日目…


――――――友達作りのスタートダッシュに乗り遅れました…!!―――――――


これはとても重大な問題であります

恋愛とはおおよそは友人関係から発展する場合が多く

また交友関係の広さとはそれだけで女の子へのアピールにも繋がるのになぁ!!

あぁ!!悔しい!!


何よりも悔しいのは…


「流川さ~ん!ここの部分が分からないの~!おしえてほし~な~?」


「カッカッカ!いいぜぇ!ここはなぁ…」


「すご~い!流川さんって頭いいよね~!」


…むむ


「田中く~ん。ちょっと荷物持つの手伝ってぇ~」


「OH!オヤスイゴヨウネー!」


「田中くんすご~い!何かスポーツやってたの~?」


「HAHAHA!!昔、ウミに浮カブ孤島で亀ノコウラを背負ッタ人とブジュツのシュギョーシテタヨ!!」


「へぇ~!素敵~!」


…素敵じゃないよ!!

なんだよそれ!!

絶対、嘘だろ!!


「頑張ッテシュギョーシタラ、手カラ気功ミタイナヤツデルヨウニナッタヨー!」


出ちゃうの!?

全国の少年が一度は真似したアレをお前は出せちゃうのか!?


「ワザのナマエは…ショー…リュウ…ケン…?」


違うよ!!

それ絶対に違う技だ!!


とにかく、この二人は何故か知らないが非常に人気が高かった

田中は何故か見た目の事はノーツッコミ

そしてあの屈強な身体で愛されキャラクターになっていた


ボスは男女問わずに人気が高かった

やはりボスはボスなだけあって、その人徳は高校生にも通じるのであろう。


人心掌握術にでも長けているのだろうか…?


「それはチガウで~。人心掌握術ちゅーのは悪意や人間の醜い部分に使うもんや。あの二人は単純な人徳や。

それが一番大事やったりするけどな」


「なるほどな~。…ってイナリ!?いつから聞いてた!?」


っていうか僕は喋ってないぞ!


「しかし、見事に孤立したな~ジブン。このまま3年間過ごす訳にもいかんやろ~」


いつもの

ニヤニヤ顔で話してくる…

不気味なヤツだ…


でも実際、それが現実なのだから受け入れるしかないだろう。

実際に話をかけてくれるのは、あそこでモテモテの二人とイナリだけだった


「ギギギ…残念ながら反論出来ないよイナリ…」


「なんやねん、そのゲンみたいな悔しがり方…」


中学までは地元のコミュニティの中でうまく回っていたのだろう

僕は高校という少し広がったコミュニティの中でとても戸惑っていた


しかし!!


出会いは劇的でなくてはならない!!


いや

そんなことはないはずだが


王道では必ず出会いはとんでもない所からやってくるのだ!!


「イナリ!!」


「ん?」


「ちょっと、トゥーラブな出会いをトゥーハーしてくる!!」


「なんやねん!!…ってどこ行くんや!!」


僕は教室を飛び出し


…駆け出した!!


…そう行くアテもないままに

きっとバイクを盗んだ少年は同じような気持ちだったに違いない


一見、現実逃避に見えるかもしれない僕の行動は

実は理にかなっているのだ


そう、教室を飛び出して廊下に出る

そして急いで駆けていけば

きっと曲がり角で劇的な出会いが生まれるはず…!!


―――――さぁ…行こうぜ…ピリオドの向こうへ…―――――


きっと、この曲がり角を曲がれば劇的な出会いg…カスペルスキッ!!


「ん~?なんか当たった~、あ…ちょっとぉ~どこ見て歩いてんの~?(怒」


…僕は大きな過ちをしたことに気がつく


「やだ~。コイツパンツ見てんじゃね~?(蔑目」


この高校に入って一番最初にこのパターンで出会ったのは田中だった

まさか二度も続くとは思わなかった…


それはぶつかった瞬間にウイルスソフトの名前を叫んでしまいたくもなる

このパターンは最悪だ


一つ言おう


これが王道であるなら

ピチピチギャルとぶつかってパンツが丸見えで

少年読者たちから歓喜の声が挙がるシーンである


「マジサイアク~。今日に限って私、勝負下着履いてきちゃったしぃ~(怒恥」


さて、どこから説明したものか

とりあえず僕の目の前にある状況を説明しよう


確かに僕はいまパンツと呼ばれるものを目にしている

それは若者には刺激が強すぎるくらいに過激な下着だ

いち男性として私は『その下着をどこで買ってくるんですか?』と問いかけたいくらいだ


そして僕はその下着を目の前にしている


ラブコメ的なぶつかって女の子を押し倒すような形を想像しているだろうか?




…残念ながらそれは間違いだ


僕は駆けていった曲がり角で


圧倒的な弾力性に吹き飛ばされ廊下に倒れていた


そう

…例えるなら4トントラックに高速道路で轢かれた以上の衝撃だ


そして廊下に倒れたままにスカートをのぞき見てしまったのだ


「なに~、もしかして当たり屋ぁ?私に気があるとかぁ~?(得意気」


圧倒的な弾力性の正体はコイツの脂肪だった

くぅ、世の中にこんなヤツがいたなんて…!!

絵に描いたようなデブだ…


そしてハデな頭髪にハデな化粧、ミニスカート

そこから覗かせる足はまさにボンレスハムそのもの

大根足なんてレベルじゃない。

こんな巨大な大根を作れる農家がいるならぜひお会いしたいものだ…!!


おおまかに外見を言い表すならギャルと呼べば良いだろうか…?


あまりにも太ましすぎやしないか!?

その自意識過剰はどこから湧いてくるのか…

そう言いたくなるくらいのルックスであった


ハム子だ。うん。ハム子と呼んであげるにふさわしい!

仮にも女の子だ。あまりにもヒドいあだ名と思われるかもしれないが

それしかいいようがないくらいなのだ


「ちょっとぉ、倒れたままでぼーっとしてないでなんとか言いなさいよ~(微怒」


マズいな。これではハム子のパンツを覗くという何とも奇特な変質者じゃないか

残念ながら、思春期の僕でもさすがに欲情には限度がある

ハム子の布切れは僕に理想と現実の全てをぶち壊すほどの破壊力があった


ここをどう言い繕うかの案が全く出てこない…このままジエンドなのか…


「…って…やだ…(視認」


――――――よく見たら、私好みの超タイプかも…(一目惚れ――――――


…くっ

僕の魅力的な甘いマスクに虜になったか…


「…っておい!!なんだそれは!!お前は!!不細工です代か!!」


「やだ~!もう!冗談うますぎぃ!!おさるさんみたいでちょ~可愛い~(はぁと」



なんだ!!これは凄いフラグが立ってしまった!!

誰か!助けてくれ!!


「…子(小声」


「…え?」


「…だぁかぁらぁ、私は公子っていうの!その…よろしくね…だぁりん(照笑」


はぇぇよ!!

ダーリン認定早すぎ!!

なんだよ!!

しかも公子って!!

けっきょくハム子じゃねぇか!!


曲がり角は鬼門で

僕には不幸しか呼び込まないモノだと身をもって実感してしまった…


「これが携帯ねぇ…よしっ!これでアドレスと番号交換完了ってカンジぃ?(笑」


「あぁ!!僕の携帯…!!」


なんと素早い行動!!

とても厚い脂肪に覆われているとは思えない俊敏さじゃないか…!!


「これからヨロシクね。だぁり~ん(ラブ2000」


なんだラブ2000って!ミレニアムか!!

愛はどこからやってくると思ってんだ!!


「あぁ~!もうお昼おわっちゃう~。マジサイアク~(怒

だぁりん~また会いにくるからね(ノシ」


大きい身体を揺らして素早い動きで去っていった…

あれは動けるデブの見本のようなヤツだ…


くぅぅぅ…

どうせならきまぐれなオレンジ道っぽい後輩にダーリンって呼ばれたかった…!!


なんで…なんで…


―――――僕にはこういうフラグしか立たないんだ―――――


はぁ、教室に戻ろう…


教室に戻る足すら重たい…



「そんでトゥーラブな出会いでトゥーハー出来たんか~?」


放課後

キツネ顔でニヤニヤしながらイナリが話しかけてくる

たぶん僕の答えを聞かなくても答えが分かってるんだろう

彼はそういうヤツだ…


「いや…それ以上はなにも言わないでくれ…イナリ…」


「くっくっく…おもろいなぁジブン。出会いがあっても、なかなか思い通りにはイカンもんやな」


コイツはどこまでも知ってるな…


「だけど、多かれ少なかれ引き寄せられるのはそれだけ魅力があるっちゅーことや。」


慰めてくれているのか何なのかよく意図が見えないな…


「ジブンのおかげでだいぶ色んな情報がもらえてるで。俺も魅力に惹き付けられた一人っちゅーことや」


僕がいったいなんの情報を与えているのかはよく分からないけど


「本当に…僕を見て楽しんでいるだけじゃないか…まったく…」


「なに言うてんの~!友達やないの!」


…友達?


「えっ!なに今まで友達じゃなかったみたいな顔してんのジブン!ひどいわ~」


そうか…友達か…


「そうだよね…友達だ…ハハハ!」


全然、意識してなかったけど友達か…

改めてそう認識すると非常に照れくさいもんがあるな…


「カッカッカ!!青春してるかぁ!!少年達よぉ!!」


「OH!!甘酸っぱいラズベリーパイミテーナ匂いガスルヨ!!」


どっから湧いてきた!!


「友達作りが出来ないィ?そんなことで悩んでたのかサル!!」


「モンキー!!BOSSとワタシハトックニモンキートフレンドヨ!!」


「クックック…トゥーハーは出来なかったけど、友情ちゅーんは身近にあるもんやで~」


なんだなんだ…ちょっと嬉しいようななんとも言えない気持ちになるじゃないか…


「いや…その…素直に嬉しいというかなんというか。みんな…ありがとうございます…」


「カッカッカ!!よっしゃ~!!みんなであの夕日に向かって競争だ!!」


それは…さすがにベタすぎて恥ずかしくて出来ない…

でも、今日は入学してから一番いい日かもしれないなぁ~

アハハハ…


「よし、友情の証にここにサインしてくれ!」


サイン?…って田中…なんでぼくの手を取って勝手に書いてるの…?


「OKOK!これであと一人集まれば…部活が結成出来るな…」


ん?


「え?え?ちょっ…ちょっと!つい抵抗せずになされるがままサインした自分もおかしいけど、何ですかそれは!!」


「これは部活の結成の為の書類だ!!俺はこれからの高校生活に向けて部活を作ろうと思う!!以上!!」


何が『以上!!』だ!!

こんなの異常だ!


「しっかし、サインするとは思わんかったで…将来は借金の連帯保証人とか注意せなアカンで?」


おかしいと思ったよ!!

この人たちがこんなに純粋に僕に対して接する事に疑問を持つべきだった!!



「…なんで部活?目指せ!甲子園!とか言っちゃうつもりですか?」


「カッカッカ!それも悪くネェけどな!!」


「っていうか、イナリとボスはいつ仲良くなったんですか!?」


「おいおい~サル~この前言ったばっかじゃねぇかぁ~」


―――――お前は何かを引き寄せる力があるんだよ―――――


「こうやって僕の知らないとこで3人が引き寄せられたのも僕の力…?」


そんな能力持った覚えないんですけど…

というよりウマく丸め込まれてる気がする…


「よっしゃ~!!明日からこの4人で部員探しをするぞ!!」


「OH!!ボス!!モンキーとキツネ捕まえるなんてまるでモモタローネー!!」


桃太郎にキツネはいねぇよ!!


「クックック…面白くなってきたなぁ?ジブンのおかげで高校生活が楽しくなりそうやで」


僕は理想の高校生活から遠のいてきてるんですけど…


「カッカッカ!!騙すような真似をして悪かったサル!!

でもお前がいなきゃつまんねぇし!何より…大事な仲間だからな!!」


…う~ん、反則的だなぁ



そんな良い顔されて断れないじゃないか…



それに僕は心のどこかでイヤイヤしながらも


――――――3人といることが楽しい――――――


そんな風に思ってしまってるのがなんとも言えない複雑な心境だ


「僕の憧れの学校生活は普通の学園ラブコメの恋愛と青春なんですよ!!こんなんじゃないです!!」


まぁ


―――――楽しいだなんて口が裂けても言わないけれど(絶対にからかわれるに決まってる…!!)――――――




こうして僕は放課後に帰宅部にならずに

謎の部活に入る事になったのだった

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