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確認するまでは夢すらも真実になり得る

―――――――俺は男だ―――――――



もうお先真っ暗…

この横腹にあたるフニンフニンは何…?

そりゃボスは男らしすぎて

僕の理想郷にいる乙女とは違うかもしれない


でも


でも…


どうみても女の子ですけどぉぉぉぉぉ!!



これが男なら日本の女の子とはなんなんだろうか…


ボス!!恐ろしい子!!



「カッカッカ!!イチ!!人間ってこんな表情出来るんだな!!」


「OH!ボス!ジャパンのモンキーはヒョウジョーがユタカネー!!オザキダヨー!!」


もはやツッコむ気力も削がれている


「オイ猿!安心しろ!!お前はシロだ!」


シロ?ついに猿から犬にレベルアップしたのか?

…あれ?レベルアップしたのか?


――――――俺を殺した犯人じゃない――――――



…?

僕はこの地球に生まれ落ちてから

日本語には慣れ親しんできたつもりだ

でもこのような日本語はマンガでしか聞いた事がない


「殺した…犯人…?」


「そう。俺はよ」


―――――一回、殺されちまったんだ――――――



ふむ


SFぅぅぅぅ!???


さっきからとんでもない単語が飛び出しすぎて思考が追いつかなくなってきている


SFが少し不思議なら


これはとんでもない不思議だ TFだよ


人類は昔から未知の領域に憧れている

それが様々な創作を生み出し


いま僕たちはそんな創作に触れてきて非日常に多少なりとも免疫力があると思っている

未来からやってきたロボットや

触っただけで人が破裂する拳法家

空から女の子が降りてくる

etc.

SFの定義は幅広い


しかしどうだろう

僕らの日々の生活にそれらの要素はまったく含まれていない

いや、だからこそSFなんだけどさ


君はこんな場面に出くわして

なるほどなぁと素直に納得出来るだろうか


「納得出来る訳がない!!」


「お、珍しく強気じゃないか猿。カッカッカ」


俺の心の声がかみ合った!!


「まぁ、聞けよ。そりゃ、こんな話をされても前の俺なら鼻で笑うレベルだぜ」


「あ…当たり前じゃないですか!一般的な高校生にそんな話を打ち明けられても…」


「お前の意見はもっともだ。だから信じてくれとは言えねぇよ」


「だが…これから話すことは全て真実だ。黙って聞いてくれ」


若干トーンが落ちて迫力の増した声に僕は何も言えなかった


「さっきも話したみたいに俺は男だった


死ぬ前にとある国でギャングとかマフィアって呼ばれるような集団やってたんだよ」


ギャング…


「OH!ボスはトッテモグレイトなギャングスタダッタネ!」


「殺し以外はなんでもやった…みたいな感じですか…?」


「カッカッカ!!」


――――殺し以外もなんでもやったぜ――――


…僕はとんでもない人と知り合いになってしまったようだ


「まぁ、貧しい区画の出身だったんだ。生きる為にはなんでもするさ


世界中渡り歩いてきた…。結構偉かったんだぜ俺?カッカッカ!」


「ストリートでリョーシンモイナカッタワタシを拾ッテクレタノモソノトキネ」


「今にも死にそうだったイチがここまででっかくなるなんて思わなかったがな!!カッカッカ!」


でっかくなりすぎだ…超人ハルクか…


「そんでよ、とある取引で日本にやってきた。問題はそんときだ」



僕は息を呑んだ


「取引相手と対面した。そんときに


――――――圧倒的な力で何も理解出来ないまま俺は殺されたんだ―――――


取引相手は全滅だ。俺自身も何が起こったのか分からなかった



気がついた時には腹にでっかい穴が空いてた。



死ぬのは怖くなかった…と言ったら嘘になるが、ここまで色々とやってきた。いつ死んでも覚悟は出来てたさ


話はここからだ


俺のどてっぱらに光が降ってきた。お迎えがきたと思ったさ。でも違った


次の瞬間、俺の身体がなんらかの力で女になった」


「なんらかの力すげぇな!!」


そこ省いちゃいけない描写だろ!!


「ボスヲタスケラレナカッタ…キヲウシナッテテ、ボスがキガツイタラガールにナッテタヨ…。」


「何が起こったのか分からなかったさ。そこで起こった全ての事がな」


「はぁ…。素朴な疑問を一ついいですか?」


「なんだよ。なんでも言ってみろ」


「そんな事があって、どうしてここにいるんですか?」


「猿にしては良い質問だな。カッカッカ」


僕はどんな風に見られていたというのだ…


「犯人さ」


ドキリとした


「この学校に犯人がいるって話さ。」


KOEEEEEEE!!

なんだそれ!!


仮にもギャングとかマフィアと呼ばれる連中を一瞬で分からないうちに

瞬殺してしまうような人間


いや違うよ。それはもう



―――――――人間の粋を超えてる―――――



だいぶ現実とSFのギャップに慣れてきた

僕の所にネコ型ロボットが来ても大丈夫なくらいに慣れてきた


「で、その話嘘d…」

「本当の話だ」


遮られたっ!!


「でもな、俺は復讐とかそんな事は考えちゃいねぇ


何の気まぐれか知らないが、こうやって俺は生まれ変わったんだ。儲けモンさ」


「OH、ボス…」


「ただ、知りてぇんだよ…。俺を殺したヤツを。実際に目の前にいたらどうなるか分からないけどな…」


何だかよく分からないが、同じ男(今は女だけど)としてカッコイイな…

自分を殺した人間を僕は許せるだろうか


「まっ、日本のハイスクールで過ごせなかった青春…?ってやつを味わうのもいいだろ!カッカッカ!」


「なんで、そんな話を僕に…?」


「言ったろお前はシロだ。犯人じゃねぇ。それに」


―――――お前が個人的に気に入ったんだよ!!―――――


屈託ない笑顔

恐らく生前の彼は愛されていたんだろうなぁ…


「昔の俺は死んだ。まさかファミリーに女の子になったなんて言っても信じてもらえねぇだろうしな!!


今は大人の汚い力を使って、晴れて日本の高校生!カッカッカ!」


やめて!まだ大人の汚い部分は早いの!

聞きたくない聞きたくない!!


「まっ、お前がクロだったらどうなってたかな!…俺は構わないんだけど!」


「構わないんだけど…?」


「実はもう一人、俺の部下がいるんだよ」


「はい?」


ボスはおもむろに右手を上げた


…?


何をするんだろうか…


右手をフッと下ろした


その瞬間僕の鼻先を何かがかすめた


それと同時に


教室に飾ってあった花瓶が割れた


「HAHAHA!!」


「カッカッカ!!」


!?!?!?!?


二人が笑っている!!

何かされたのか僕は!!


「ここにはいないけど、ちょっと離れたとこで俺らを見てんだよ。」


「モンキーのアタマズドーンネ!!ゴルゴヨ!!」


何となく分かってきたぞ


あれだ、俺の後ろに立つんじゃねぇみたいな人がいるんだ…


「…その人はどんな人なんですか?」


「ん~、名前は………じゃあ…す、鈴木」


「絶対に今考えたでしょ!!じゃあってなんだじゃあって!!」


ベタだ!!

田中に続いて鈴木!!

田中の偽名説が濃厚になってきたじゃないか…!


つか、鈴木(仮)が見てるのか…

コードネームに13とか付きそうな不吉な数字が付いちゃうような人が見てるんだ!!


「カッカッカ!!まぁ、俺が合図を出さない限り何もしねぇよ。それに姿を見る事もないさ」


こうして僕は二人の秘密(顔も名前も知らない一人も)を知ったのだった


「さて、さっさと課題を終わらせようぜ!!手伝ってやるよ!!」



…!!


忘れてた!!


濃い話の流れですっかり宿題の話を失念していたっ!!


「その代わり明日から猿も犯人探しを手伝えなっ!?」


「OH!モンキーが加ワレバ、鬼ニ玉棒ヨ~!」


なんだよ鬼に玉棒って!!

一字間違えただけで卑猥で生々しいわ!!


「いや…元々、あなたたちのせ…」

「手伝えなっ!?」


問答無用かぃ!!


「なんで僕なんか…」


「カッカッカ!猿は変なヤツだ!お前は何かを引き寄せる力がある。何千のトップに立った事のある俺が言うんだ。間違いねぇ」


引き寄せられるのは災難ばかりなんですけど…


「それがいいんじゃねぇか!!変なヤツには変なヤツが集まる。スタンド使いはスタンド使いと惹かれ…」


それ以上言うな!!

あぁ、そうさ!!

二人みたいな人間を引き寄せた時点で変なヤツの仲間入りしてしまったかもしれん!!


僕の周りは常に恋愛ではなく、違うモノが引き寄せられてきたさ!!


だけど、それは一般常識の範囲内さ!!


高校生初日、これまでとは訳が違うレベルの人間が引き寄せられてきたっ!!


「類は友を呼ぶってヤツか!!カッカッカ!!」


「…僕はトラブルはトラブルでもトゥーラブな方が良かった…」


仕切り直しに失敗したのでもう一度


こうして僕はトゥーラブな方ではなく

本物のトラブルを抱えて高校生活初日を終えたのだった…






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