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20/21

信仰は潜在的な恐怖への対処法

全国の女子高生のみなさん


サルだよ!!


今週のびっくりドッキリメカとかそういうのも出ないよ!!


僕はまりもの口車に乗せられてとんでもないことをやらかしてしまったよ

アイツはにやにやと性格の悪そうな顔をしながら僕を見ている


くそぅ!バカにしやがって!!


やっちまった!

こんなぺったんこ幼女の言うことを真に受けてはいけない!!



僕は筋骨隆々の男たちに神輿の如く担がれていた

あいにくなことに僕は担がれるような神様ではないし

新世界の神でもなんでもない



どこかへ運ばれている最中なのだと思う

これはマズイ


状況は悪化する一方だ


――――回想


「モンキーパワー!!メイクアーーーップ!!」


僕は身にまとう着衣を脱ぎ散らかし


まりもはささっとメイク道具で、僕の顔を細工しだす


まさにメイクアップだ


しかし、変身モノにしてはいささか時間がかかりすぎているが

現実はそんなものだ


一瞬の早業ができるなら朝の女の子は苦労はしない


しかし、想像以上にまりもの手際が良い

こいつはお菓子を貪り食うだらしない系幼女かと思っていたが

意外や意外にハイスペック系幼女なのかもしれない


いや、こんな特技一つでコイツをハイスペック呼ばわりしていいものなのかは微妙な線ではあるが


そもそもなぜに僕はこんな事をしているのだろう?


なぜなに?

なぜなにナデシコ


僕はパンツだけを身にまとい勇ましく仁王立ちしてみる

これがおにゃのこだったら絵的によかったのになぁ…


…うわっ!やめて!そんな目で見ないで!


これは致し方なくやってるんだって!!



……


………いや、本当だよ?



――――回想の回想



「ま…まりも!そ、それは!!」


あどけない幼女の手に握り締められていたのは…


「ス…ステルス迷彩!!」


僕はあらん限りの渋い声で言ってみる

自分を伝説の傭兵に見立てたつもりで


「あだっ!!いきなり殴るなんて…オヤジにもぶたれt…痛い!!痛い!!あんまり殴らないで!」


殴られた


平手打ちとか、擬音で『ポコポコ』とか生易しいものではない

ガチのグーパンだった


一体、その身体のどこにそのようなパワーが秘められているというのか

結構、マジに痛い


「そ、それ以上はy「ふんぬらばっ」


彼女は大地を踏みしめ、僕に正拳突きを放った


「ゴフゥッ!!…ツッコミにしては強烈なボディーブローだぜ…」


とても鈍い痛みが腹部を遅い、吐きそうになるのを堪えながら何とか言葉を発した

一通り解説したんだから、そこで次の場面に移行するだろ普通…


僕はうずくまりながらも彼女の意図を汲み取る


「そ…それはお化粧道具…?にしてはやたらと異端なカラーが多いね。」


チークのようなモノだけど

やたらと緑や黄土色のようなモノが多かった

そして、凄く粘度が高そう…


「すねーく」


彼女はそう言うと、服を脱げと促してきた


「えっ…、こんな状況下で衣服を脱げって…いつから痴女幼女に…!」


思った以上に語呂がいいじゃないか

そんなちょっとした発見ににやつく僕を見て、まりもは握りこぶしを振り上げ威嚇してきた


「はい、ゴメンナサイ。時間がないのでさっさとやってしまいましょう」


僕は即座に態度を切り替えた

じゃれあっている時間はないのである


――――回想に戻ル


僕はパンツ一枚

パンイチとよばれる状態で幼女になすがままにされていた


顔には中々に派手な顔料が塗布されていく


「しかし、こんな場所でボディペイントされるとは思わなかったなぁ」


迷彩塗料

カモフラージュ


戦場で兵士が、敵に識別されづらくするために周りの景色と同系色のものに身を包む

ってスネークが言ってたような気がする


まさか、こんな街の一室でそのような場面に遭遇するとは思わなかった


自分が壁紙と同化していく…ような気がする。


まりもが汗を拭うような動作をした。


どうやら顔のペイントが完成したらしい


早い!!早すぎるよ!!


最早、一刻の猶予も残されてはいないっ!



僕の身体に向けて指を走らすっ!


そして僕の少年から大人へと変貌していく過程である未熟な身体に、まりもの幼く小さな指先が――――




――――触れた――――――


瞬間に触覚が脳まで電気信号を送った

脳は反射的に指示を出す



「…アンッ…///!」




……


………!????


途中から官能小説にでも切り替わってしまったかのように戸惑っていると思う

…一番、戸惑っているのは僕だった


いま発声された甘い音が、自分の声であると認識するのに時間がかかってしまった


僕の心の中の乙女が騒ぎ出すッ!


…じゃなくって!!


想像以上に他人に素肌を触られるという行為は僕を敏感に刺激するようだった

顔の時も確かにくすぐったいのを我慢していた感じがあったが

普段はさらけださない裸体は、その何倍も敏感だということかっ!!


追い詰められているという環境下で精神的な昂ぶりがあったのだろうか


僕は息も絶え絶えになりながらまりもに視線を移す


まりもは口角をあげ、蔑むような目と計画通り!と言わんばかりの表情で僕を見ていた


「ちょっ…まり…それ…ヤバっ!!」


このままでは、18禁小説になりかねない勢いじゃないか!!

この幼女は、だらしない系でもハイスペック系でもなく


ただ単に、僕の身体をいじくり回して反応を伺うドS系幼女!!!


その手のマニアが喜びそうな属性だったのか…!!!


これは言葉で表現しても、絵で表現するならば何かの条例に引っかかりそうな過激なシーンではなかろうか?


まりもは僕の意思とは裏腹に手でペタペタと塗料を塗りつけていく


「ダメぇぇっ!!それ以上はおかひくなっひゃううう!!」


僕はエロ漫画ばりの声をあげてひまう


おっと、説明の文章までおかひくなってひまうぅううう


僕がそんな身悶えをしていると、ふいに入口から声が聞こえた


「おい…やべぇ…変態だ…」


野太い声が部屋に響く


それ以上に僕の喘ぎ声が響いていたわけだが


「あぁ、こんな変態は俺の人生で見たことがねぇ…」


…?

おやおやおや

僕は気持ちよさの余韻を堪能していて思考が追いつかない


「何を言ってるかわからねーと思うが、人探しをしていたら全裸で全身をペイントした男が一人で喘ぎながら部屋でのたうちまわっていた…」


「よせっ!!…それ以上は言うな!いいか、ここは何も見なかったことにしねぇか?」


なにやら、憐憫の目で見られているような気がしないでもない…



…………ファッ!?


「あぁあああああ!!」


僕はようやくとろけていた思考が追いつき目の前にいた男たちをしっかりと認識してしまった


さっきまでとなりの部屋を荒らしていた男たちじゃないかああああああ!!


「うわっ!!いきなり奇声をあげたぞ!!やべぇよ!!なんだコイツ!!」


男たちは動揺したように後ずさった



僕が身悶えしている間に隣の部屋の探索が終わっていたのだ


僕は間に合わなかった


いや、むしろどうして間に合うなんて思ってしまっていたのか


僕はまりもを目で探す


「…夜神月」


幼女は部屋の隅で経過が全て自分の思い描くように進んだとでもいいたげな表情をしていた


計画通りだとでもいいたいのかぁああああ!?


「松田ぁあああ!何をしているううう!早くこいつらをなんとかしろおおお!!」


思わず思考の続きを口走ってしまった


「…松田って誰だよ!!本格的に頭イカれてんぜ!!」


声とおぼろげな姿しか聞いていなかったが、こうして冷静に観察すると侵入してきた人影たちはいかにも映画で見たことがあるような格好のスーツ姿の男たちだった


「おい!!お前らどうした!!…って、なんだコイツは!?」


屈強な男たちの後ろからさらに声が集まってくる


どうやら他の部屋を探索していた男たちまで騒ぎに気がつき集まってきたようだった


「兄貴!なんかヤバイやつを見つけました!どうしましょう!?多少のことには動じないつもりでしたが、想像以上の変態です!!」


後からやってきた男に話をかける屈強な男


「いや、落ち着け!想像以上の変態なのは事実だが落ち着け」


どうやら、後ろの人はリーダー格の男だった


リーダーも動揺はしているようだったが、幾分か冷静なのはリーダーだからだろうか


「おい、小僧」


ドスの聞いた声で僕に向けて口を開いた


「ふぁ、ふぁい!?ぼくれふか!?」


慣れない雰囲気と緊張からか口が回らなかった


「てめぇ何もんだ。なんでここにいやがる?」


追い詰めるような声と鋭い睨みを効かせながら

僕の前に詰め寄る


僕は思わずパンツ一丁なのだが、寝ている状態から姿勢を正し正座の格好になってしまった


「あ~、いやですね。僕もよくわかりまひぇん…」


うん

パンツ一丁で幼女にいじくりまわされている以上の情報は僕もよく分かりません。ハイ


「あぁ!?」


「ヒィっ!!」


あぁ、さようなら母さん…

僕は今日ここで若き命を散らすのです…


「分かんねぇじゃねぇだろ変態ヤロウ!正直に吐かねぇと沈めるぞコラ」


沈めるってなんですか!?

僕はサルベージされることない難破船のようになっちゃうんですか!?

もう、変態ヤロウという言葉は甘んじて受け入れるとしても

というより変態ヤロウ以外の何者でもない状況なので甘んじなくても受け入れるけど!!


あぁ、神様仏様稲尾様!

誰でもいいから僕を助けてぇ!!


「アンタたち!そこまでにしときな!」


…!あぁ、神様はなんという口調なのでしょう

とてもしわがれた声で

まるで食堂のおばちゃんのような…


「…ボス!!」


「…ふぇ?」


ボス


ボス

ボス…?


僕は慣れ親しんだ呼び名を聞いた


開け放たれたドア

声がした方に目を向ける


そこには見知らぬ老婆が立っていた


「大丈夫さ。ソイツは何も知りゃしないよ。ったく、エリカもなんでこんなヤツを拾ってきたんだかね…」


…失礼

老婆というには余りにも毅然とした態度で

男たちをかき分けながら僕に向かって歩み寄ってくる


腰も曲がっておらず

確かなのは、顔に刻まれた深いシワだけだ


「アンタ。タチ悪いもんに巻き込まれちまったねぇ。アンタが何も知らないのはよく知ってる。だけど、こちらで保護させてもらうよ」


すると、男達になにやら指示を出し

そそくさと男たちは動き出す


僕は男達に両脇を抱えられ立たされる


「あひょっ!?」


思わぬ行動に僕はネズミーランドの○ーフィーのような声を出してしまった

実名は出さない

さすがの僕でも○ィズニーを敵に回すほど愚かではない


「悪いけど、今回の一件が収まるまでは大人しくしててもらうよ。なぁに、安心しな。手荒い真似はしねぇさ」


「は…はひぃ。よくわかりまひぇん」


立たされたはいいけど、腰が抜けてフラフラな僕である。

情けなさMAXだ


「情けないねぇ。…アンタたち!!こいつを担いで運んでいきな!!」


「押忍!」


僕は両脇の屈強な男に担ぎ上げられ運ばれていく


「さて…そろそろ片がつくかねぇ?エリカにロメオ…そろそろ会合の時間だね。アンタたちの歓迎の用意は出来てるよ」


ぼくはそのような声を聞きながら部屋を連れ出された


――――――――ソシテ、現在


「…あのぉ、僕はどこに行くんでしょうか?」


「あぁ?」


「ひっ、なんでもないれふぅ…」


僕には勇気がなかった

だって怖いでしょ!?

筋骨隆々の大男に凄まれてみなよ!?

物語を読んでる人はいいよ!!

他人事だもん!

どうせ僕を見てヤキモキしてるに違いない!!


ここで、秘めたる第三の力に目覚めて


あっという間にこいつらを倒す!!



そんな展開はないと断言しておこう




僕はどこにでもいる高校生で

何かの能力に目覚めることも

セブンセンシズを手に入れることもないのだ


つまり、僕にそんな厨二的な展開を望まないでぇええ


そうこうしているうちに男たちの足が止まった


「え?え?」


僕はイマイチ状況を飲み込めないまま


――――放り投げられた


「しばらくここでゆっくりしてるんだな。変態ヤロウ」


そう言われて冷たい床の感触を手で確かめながら


僕は目の前の格子を見た


おおぉ

まさか自分が牢屋に入るとは思わなかった。


むしろこんなものがよくあるなという感じだ


「あ、あのっ…これはどういう…」


僕の声を無視するように男たちは部屋から出ていってしまった


もちろん、僕を置いてだ


「あぁぁぁ!!牢屋ってなんだ!!プリズンをブレイクしろってか!?」


もう、こちらに放り出されてから意味が分からないことだらけだ


気がついたらお姉さんと一緒にいて

気がついたら怖いお兄さんと一緒にいて

気がついたら牢屋に入れられていた


「訳が分からんことだらけだよぉ…」


「ジムキャリー…」


ふと牢屋の隅から声が聞こえた


「お前!!よくもやってくれたな!!」


僕はちょっとだけ苛立たしさを幼女に覚えつつ

声のした方向に向かっていった

幼女は片手に何かを持ちながら立っていた


「…って、かばやきさん太郎を食べていらっしゃる!!なに?それどこから取り出したの!?っていうかどうやって着いてきたの!?」


まりもはかばやきさん太郎にかぶりつきながら

いつもどおりの虚ろな表情でこちらを見ていた


「…キャベツ太郎」


「えぇっ!?かばやきさん太郎を口にしながら、なぜにあのカエルのキャラが描かれたあのお菓子の名前を口にするの!?どんなフェイク!?」


そりゃ製造は同じ会社だけれども


「一人だけ、呑気にお菓子を食べていてズルい!!…じゃなくて!!さっきはよくも僕を背徳と快楽の園へ落としてくれたな!!」



なんか、表現方法を間違えたかもしれない

ただ気持ちいい事をされて喜んでいるだけみたいじゃないか!


「…」


まりもは何も言わずに僕に向かって何かを差し出した


「…これは、う…まい棒…?」


どこに隠し持っていたのか幼女はうまい棒を僕に差し出していた


あぁ、これは彼女なりの謝罪なのだろうか

せめてもの罪滅ぼしのつもりだったのであろうか


「なんだ…お前にも可愛いところがあるじゃないか…」


こんなもので許されるような内容じゃないのは分かっているが

幼女に向かって本気で怒鳴るような僕じゃない


どれどれここは年上の寛大な心で許してやろうじゃないか!


僕は幼女の手に握られていたうまい棒を手に取り

おもむろに



食べた




「なんか変わった味だなぁ。うまい棒はかなり食べているけどこんな味は初めて食べたよ」



まりもはうまい棒が入っていたパッケージを僕に見せた


「ブホォ!!なんだそれ!!さきいか味だって!?」


僕は食べかけのうまい棒を少し吹き出してしまいそうになった


何かにそっくりなキャラクターとともにイカやらタコやらが描かれたパッケージを見る


「なんだか凄いレアなものを見ちゃった気がするよ!まさかこんなところでうまい棒のさきいか味を食べるなんて!!」


いやいや、そんな味あるなんて初めて知ったよ!!

なにそれどこで売ってんの!?


「恐るべきまりも…ここは最早、お菓子道のプロフェッショナルと認めるよ」


幼女は少しだけドヤ顔をして親指を突き立てた



――――下方向に



「死ねってか!?間違えちゃってるよ!!そういう時は上に突き立てろよ!!」


ここが牢屋の中である事を忘れてしまいそうな位の一時であった…

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