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迷う事は悪い事ではない 逃げちゃダメだ 立ち止まれ

これはヒドい


あんまりじゃないか


入学初日に遅刻してしまった…


入学式遅刻ギリギリという時間を選択した僕も悪いのは認めよう


でも不可抗力というものだよ先生


不良に絡まれて

謎の屈強な黒人…いや…田中一郎さんが不良を圧倒的な武力にて退治して助けてもらった



「…信じられるかっ!!」


「ん?何か言ったか?」


おっとイカンイカン

また心の声が飛び出してしまった

ここは素直に反省という気持ちを全面に押し出すていでいこう



――――-職員室なう――――



頭で分かっていても心で納得出来ていないとすぐに表情に出てしまうのが思春期の所以だろう


教師という絶対的な大人には見抜かれてしまう


「しかし…入学式で遅刻なんて今時流行らんぞ」


良かった、気がついていそうだったけどスルーしてくれた!!


でも…

うう…好きで遅刻したわけじゃないのに…

本当なら遅刻ギリギリで

教室内でばったり朝にぶつかった女の子に出くわす予定だったのに…

…予定だったのに


「…まぁ、今日は初日だ。浮かれる気持ちも分かるが今後は気をつけるように。これからホームルームだ。お前は戻っていいぞ」


…先生!!ありがとう!!

こういう時は大体、反省文とか色々これこれがあるのかとばかり思ってたよ!!

先生が担任で良かった!!


「しかし…担任の氷室先生も大変だな。お前みたいな生徒が受け持ちだなんて。いや…氷室先生が担任だということでお前にも同情するよ」


おぉっと

ここで新事実発覚

この仏のような先生は担任ではないというのか

これはイカンイカン。僕の早とちりみたいだった


…ん?

だったら何で、この先生は私を注意しているのだろう


「他の先生は入学式に行ってるから残った私が注意しているが、普通は担任がやることだからな。良かったな私で」


まるで僕の心の声を聞いてくれたかのような説明をありがとう


ともかくこれからホームルームらしい

本番はここから

俺の戦いはこれからだッ!!


「それじゃ、先生。失礼します」



先生にそう言ってから私は廊下に出た


さぁ、クラスに向かおう。

クラスに向かおう



クラスに向かおう



…クラスに向かおう


ここでみなさんに新しい事実を伝えよう



―――――クラスが分からないっ!!――-――-


これぞ叙述トリック


イヤイヤイヤ


何も叙述もトリックもないよ


普通はプリントなり何なりで分かるんだろうけど

とても残念な事に僕は初日の入学式遅刻という大罪の身分だった


今更、戻って職員室で聞き直すか…?


小さい頃から見て育った高校


知らないことはないと思っていたが


井の中の蛙だった


さすがに内部構造までは把握してなかったし

それ以前に自分が属するクラスが分からない


そして入学式が終わるか微妙な時間帯

人がいない…


たどり着くのに必要な情報が圧倒的に足りていなかったのだ


これは砂漠で地図も方位磁針も持っていない状況に等しいのだ


いや、言い過ぎた。等しくはないかもしれない


しかし、僕がそれくらいの気持ちでいることは伝わっているだろうか


「いや、誰に伝えているんだよっ!!」


「なんや!びっくりした。何や自分、いきなり大きな声出して…」


ふむ、私の心の声が表に出る時は必ず誰かに聞かれているな


…ん?


…誰か?


これはこれは…


誰かがいたっ!!


「変なヤツ発見。人の顔をまるで砂漠でオアシス見つけたヤツみたいな顔して見るなんてどうしたんや?」


えぇ、その通りです

アナタは砂漠で見つけたオアシスみたいな存在です

リアムとかノエルとかそんくらいに偉大です…


「あ…あ…あのぉぉぉっ!!」


「なんやねん!!そないにデカイ声出さんでも聞こえてる!!聞こえてるから!!」


「スイマセン…不安で心細くて…」


「何や、その会いたくて震える乙女みたいな心情は…」


「じゃなかった!すいません。大変にアホな質問をしてしまいますが…」


「ん?」


――――-僕のクラスはどこでしょう?―――――


……?


おおっといくらテンパってるとは言え凄くバカな質問してしまった


そりゃ、いきなり初対面のヤツに自分のクラスを聞くバカがどこにいるっ!!


「…ここにいましたっ!!」


思わず口に出てしまうほどだった

これはもはやバカと言われても仕方がない…

僕がこんなこと聞かれたら、知るか!!と言ってやるとこだ

まったく…せめて違う聞き方があるだろうn…


「…B組や」


「…え?」


「だから、B組やろ自分。」


「ちょ、ちょ…っっと!な…なんで知ってるんですか?」


「いや、聞いてきたの自分やろ?知ってるから答えただけやのに、なに言うてんの?」


コイツ…狐みたいな顔しやがって

本当に狐に包まれたみたいな気分だ


うん、冷静に見てみれば見るほど狐ヅラだなコイツ


「ちなみに狐には包まれんで、包まれてどないすんねん。正確にはつままれる。や」


「読まれた!!心を読まれたっ!!」


「何や、ほんとにそんなこと考えてたんか」


恐ろしい…


「さて…自分のクラス分かった事やし、行こか」


…?


「ほら、自分のクラス!いや正確には俺たちのクラス…やな」


なんと、クラスメイトだったのか!!

これは盲点盲点


…?


いや、クラスメイトでも普通顔は分からんぞ


同じ中学校とか小学校なら俺だって知ってるはずだし


本当に狐みたいな顔しやがって…


「まぁ…なんで自分を知ってたか言われたら…そりゃ…」


――-――-商人あきんどの企業秘密や―――――



はぁ…今日は色んな出会いがありすぎた…


やることなすこと

ことごとくラブコメ展開ではなく


違う展開に向かっていってる気がする


「ほら、ここがB組や」


様々な思考が渦巻いていると


クラスに到着したみたいだ


「もう、みんな戻ってきてると思うで」


僕たちは廊下

少しの歓談と新しい出会いなのか緊張した雰囲気が教室の方から伝わってくる


「ありがとう…えっと…」


「神山」


神山稲荷かみやまいなりや」



「神山君ね…」


「いなりちゃんって呼んでほしいな~」


「呼べるかっ!!」


もう少し頑張れば漫才が出来そうな気がする

とか思ってしまったが会話も早々に

さて…

気を取り直して…


ドアに手をかける


次こそ…


僕の戦いはこれからd…


――-――-オーッ!!今朝のモンキーボーイ!!――-――-


戦いはこれからですらなかったのかもしれない…


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