ほんの少しの勇気が世界を変える←なんか規模がでかそう
私は…たくさんの旅をした…
いくつも、いくつも
一人の旅はとても孤独…
そういうのが当たり前だと思ってた
―――――――以下、食卓――――――
「いやぁ、母上殿の食事は大変に美味でござるなぁ」
「あらあら~。」
「ハッハッハ!これなら毎日作っていただきたいでござるよ!!」
「…ワクワクさん」
…ここで前回のおさらいをしよう
僕は夕飯の買い出しに行った訳だが
途中で生ゴミに紛れた女の子を拾った
「それにしても母上殿はクスクスを知っているなんて…何故かこの国はクスクスがあまり普及してないでござる」
それから僕は夕飯の材料と、ここで『ござるござる』と言ってる時代錯誤な彼女を抱えて家までたどり着いた
「あらあら~、私はなんでもは知らないわ~。知ってることだけよ~」
母さん!
「ハッハッハ!!『知るを知るとなし、知らざるを知らずとなす、これ知るなり』うむ、母上殿はとても聡明な方でござるな!!」
多分、そこまで考えてないよ母さんは…そのセリフを言いたかっただけなんだよ…
母さんは、僕が女の子を連れて帰る事を予知していたかのように
家に帰ると何故か
お風呂を準備していた
そのときも『なんでもは知らないわ~。知ってる事だけよ~』
とか言っていたなぁ
パクリが露骨すぎるよ母さん…
とても危険な母親だ
かくして、自分の家のお風呂に
知らない女の子が入浴するというドキドキのイベントであったのだが
いかんせん第一印象が生ゴミにまみれた謎の女の子ということでドキドキする余裕なんてなかったのだった
しかし、お風呂からあがった彼女を見てちょっとびっくり
いや、かなりびっくり
長い髪は頭の後ろで結ばれて
母さんが用意していた部屋着からは
…なんと説明したらいいだろうか
Tシャツから身体のラインがしっかりと浮き出ていてとてもエロく感じた
ナイスバディと言ったら陳腐な表現になるだろうか
しかし、出るところは出ていて引っ込んでいるとこは引っ込んでいる
僕が怪盗の3世だったら、今すぐ服を脱ぎ捨ててベッドにダイブするような体つきをしていた
そしてその表情
とても凛としていて、整った顔立ちをしていた。
美人だ。それは顔だけじゃなくて心の強さからきている雰囲気がそう感じさせているものなのかもしれない
言葉遣い的に…そう…サムライ!よく漫画に出てくる武士娘!それを想像してくれれば分かりやすいと思う
「さて…紹介が遅れたでござるな。」
ご飯を食べ終わり、僕の部屋に来た
僕の気持ちを汲み取ってくれたのか紹介が入る
読者的にも謎の少女のままだと気持ち悪いよね!
「この度の恩義、たいへんに感謝しております。拙者…」
…
――――――…21世紀からやってきた、人間型ロボットでござる!!――――――
「おいぃぃぃぃ!!それ今!!!!未来ですらねぇよ!!そこは22世紀から来いよ!!」
思わずツッコんでしまった
「ハッハッハ!!猿氏は的確なツッコミが出来る素晴らしい御仁でござるな」
中年のおっさんが宴会の時に使いそうなネタを仕込んでくるな!!
何なんだ…まったく…
「冗談はさておき…拙者は世界を旅する流浪人…さながら剣心といったところでござるな」
その引用はダメだ!
脳内設定でお前のCVは涼風真世になっちゃうよ!!
「なんと!拙者は緒方恵美氏のほうでござるよ!!」
脳内ツッコミを読むな…!
それにドラマCD版の声優のほうかよ!!
「まずは名前だよ名前!お前はいったい何者なんだ!?」
「ハッ!これは失礼いたした!名も名乗らぬうえでこのようなジョークに付き合っていただけるとは…猿氏は本当に懐深き御仁…」
本当だよ…自分で自分が恐ろしいよ
「…ディープインパクト」
まりもぉぉ!いきなり何か関連性のある言葉を喋ったと思ったら、映画か!?馬なのか!?
それとも、それだけ深い衝撃だったのか!?
一言だけ言って、僕の膝の上で食後のお菓子を食べている…
これ以上は何も望めんな…よく分からなすぎる
「…コホン。名乗るのが遅れ、大変失礼いたした!改めて自己紹介させていただく。拙者、狭間 あさひ(はざま あさひ)と言う者でござる」
…変な名前だな
「偽名でござる」
「偽名かよ!!」
「いやはや、拙者は特定の名を持たぬ故…」
――――――いま、この場に置いてはそう名乗るのにふさわしい名だと思っているのでござる…――――――
…なんだなんだ
その言葉は何を意味しているのか僕はよく分からないぞ…
「拙者、世界を旅している身でござる…」
「いや、それはさっき聞いたよ」
「そうであったか!それは失礼した!」
大事なことだから二度言ったとでも言いたいのか
「実はとある目的が…いや…これ以上は…う~む」
あさひは言いかけてやめる
「そこまで言われてやめられたら気持ち悪いし、凄く気になるよ!」
「いや…しかし、これ以上言うと…猿氏にも迷惑が…」
迷惑?
そんなに危ないことなのか?
生ゴミで行き倒れてるような人間だぞ?
しかし、物語はこういう所から発展するとも言うし…
ここらへんで主人公ぽいことを言っておけば、ラブコメ展開も望めるんじゃないか…?
生ゴミ女とラブコメは疑問点だが
イベントを解決していくうちに可愛いヒロインが登場してきて、そこからのキャキャキャウフフの湯けむり恋愛マル秘作戦が…
あぁ…!!もう!!
―――――――…GOヒロミ―――――――
…いきなり膝の上のまりもが目の前の壁を指差すような仕草でつぶやいた
「まりも…それは行けって事なのか…?このフラグに向かって突き進めというのか…?」
コイツが意見を言うのは始めてだ
というか、これがGOサインを意味しているのかは謎だが
「…先ほどから何を言っているのでござるか?」
そうだった、あさひには見えないんだったな
…まりも
お前の意見を少しは聞いておく事にするよ…
ほんの少しの期間だけどお前とはずっと一緒に過ごしてきた訳だし
コミュニケーションはとれないけど…ちょっとは信頼関係築きあげてきてるよな…?
…これ以上の考えは無意味!!
ええい!ままよ!!
「あさひ!!僕はこれまでもいくつもの大きな悩みを抱えて生きている!!」
僕は嘘は言っていない
ボスや田中の話も聞いた
入学早々、恐ろしい先生にも目をつけられたし
様々な青春のバッドエンドフラグをたててきたけど
今日で終わりにしようじゃないか
「これは理屈じゃないけど、あさひはとても大きな悩みを抱えてるんだろ?なんというかさ…僕を心配してくれる気持ちは分かるけど、僕も一度乗りかかった船というか…いちど関わった以上は放っておけないしさ…?」
「猿氏…」
本心だ
もういまさら一つ二つ悩みが増えたって構わないよ
「いやしかし…それでも…」
あさひはまだ言いよどんでる…
「大丈夫!僕は平凡な高校生だけど、最近は色んなイベントに巻き込まれてちょっとやそっとじゃ動じなくなってきたよ!頼りないかもしれないけどさ!僕で良ければ力になるよ!」
「…う~む」
「まかせてよ!」
僕が力強く声をかけてから
あさひは少しの間、何かを考えてから声を挙げた
「…猿氏よっ!!感謝するっ!!」
…!!
僕は静かに力強く抱きつかれた
「あっ…いや…あ…」
思春期の高校生には強い刺激だ
なんと男らしい抱擁だろうか
少女漫画のヒロインがこんな風に抱きしめられたら一発で惚れてしまうであろうくらいの抱擁だ
彼女は女なので男らしい抱擁という表現が適切かどうかは疑問だけれども
それにしてもなかなかのおっぱい…
これが巨乳とよばれる柔らかさなのだろうか
ボスの時とは違った感触にまたもや未知の扉が開けた気がする…
「…ボイジャー1号」
僕が女子のおっぱいに想いを馳せていると
あさひの背中を突き抜けてまりもが顔を出してきた
…これはなかなかに気持ちの悪い体験だ
人体をすり抜けて顔を出すなんて…それ、なんてホラー?
ふと、まりもと目が合ったような気がした
一瞬にやりとしたように見えた
そう思った次の瞬間
まりもの目が光った!!
「…ウワッ!!まぶしっ!!目からビーム!?」
バカな
目からビームなんて単語を日常で表現方法と使用するとは思わんかったわ!!
つか、眩しっ!!
なに!?その攻撃方法!?
っていうか、なんで攻撃した!?
思わず、あさひを身体から引き離してしまった
「…おっと!これは失礼した猿氏よ。思わず興奮して抱きついてしまったでござる」
「いや、気にしないで…」
僕はまりもにやられた目を押さえながらそう言った
僕が空中城の王様なら閃光に目をやられて絶叫していただろう
実際に相当にやられてるわけだけど…
「それより、良かったら話の続きを…」
「そうであった!!」
…色々と話の腰は折れたが、ようやく話の本題に入るみたいだ
「…猿氏は召還っていうのは知っているでござるか?」
コイツはいきなり何を言い出すんだ?
召還?
「えっと…召還っていうと、神話の神様の名前とかが使われちゃう最後のファンタジーとかそういうやつ…?」
「うむ、いかにも。実は拙者、召還術が使えるでござるよ」
「はぁ…」
あっさりとした告白だった
意味が分からないし
淡々と言われてしまったので驚きに欠ける
「さすが猿氏!私の発言に微塵も驚きもしないとは!相当な修羅場をくぐり抜けているのでござるな!」
いや、普通の高校生ですけど…
「それで召還術っていうのは具体的に…?」
理解に感情が追いついていないが話をつなげようとする
「うむ、それを今から説明したいと思う。これを見てくれ」
そうすると、僕が一緒に運んできた彼女の手荷物の中からモノを取り出した
「これは…弁当箱?…え?弁当箱?」
説明するまでもなく弁当箱だった。
ドでかい弁当箱
白米と梅干しが一つしか入ってなさそうなイメージの弁当箱だ
金属製の大きめの弁当箱だ
「や~まだぁ~!」
「え!?どうしたのいきなり!?」
いきなりあさひが奇声をあげた
「これは失礼した。この弁当箱を見るとつい『山田』と叫びたくなるのだ。」
よく分からないが、コイツは残念な美人なんじゃないか…そんな風に思えて仕方がなくなってきた
確かにドデカイ弁当 略して『ドカベ…』
「おっと、猿氏!話がそれてしまったな!この弁当箱は私にとっては大事な召還機なのだ」
「意味が分からん!!もっと魔法陣とか杖とかそういうの使うイメージがあるんだけど…」
「ハッハッハ!猿氏よ!ゲームや漫画の見過ぎではないでござるか?」
いや、ゲームとか漫画くらいしか召還って単語を結びつける材料が僕にはないんだよ!
「うむ、しかしまだまだ若輩者ゆえあまりに巨大な生物は召還するにはいささか不安なのでな!大体は異次元から物質を取り出す能力を多用する」
「異次元から物質…」
「そう!!分かりやすく言うなら『異次元ぽけっとぉ~』!」
それこそ猫型ロボットのようなニュアンスで僕に伝えてきた。
こんなとこで前半のボケのフラグ回収をするな!
しかも、そのガラガラ声は旧のほうだよねそれ…
「よし、では例を実演してみるでござるか!!」
そう言うと真剣な顔つきになり、ゆっくりと弁当箱のふたを開けた
それと同時に弁当箱からまばゆい光と煙が飛び出した
あまりの煙と光に僕はたまらず目をつぶった
今日はよく目をやられる日だな…
というより、これは本当に召還術なのか!?
これが手品だとしたら、とんでもないイリュージョニストだ
数秒間、目をつぶった
そしてようやくおさまったと思いゆっくりと瞳を開けた
そこには…
「うむ…実に見事な輝きでござるな」
「うぉ!危ない!なんていうもの持ってるんだ」
その手には大きな剣が握られていた
シャレにならんぞ!
「ハッハッハ!召還は凄いでござろう!!のび太氏!!」
「いや、のび太くんはそんな物騒なモノ欲しがらないから!!」
まさか、昨今の日本という国で
円卓の騎士の王様が使ってるようなソードを見る機会があるとは思わなかった
「おっ!猿氏よ!勘がいいな!!いかにも!これは円卓の騎士の王が使っていた剣らしいぞ!!」
「え、え、えぇぇぇ!?それってエクスカリ…」
そう言い終わらないうちに
あさひは僕の方を向いて
大きく剣を振り上げて
え?
僕に…
僕に…
――――――斬り掛かってきた…!!!!!!!―――――――
「うわぁぁぁぁぁぁ!!」
ひたすらに絶叫した
僕は何もする事が出来ずに成す術もなく…
斬られて…死をむか…
…
…えなかった
「あれ?…あれ!?あれぇぇ!?」
僕は斬られた箇所を確認するがまったく傷跡がなかった
わずかばかりの痛みが僕の肩に残るだけであった
あさひは不敵な笑みを浮かべながらこちらに向いていた
「ハッハッハ!安心してほしいでござるよ猿氏!!」
「いきなりなんてことをするんだ!!これじゃ、殺されるまでもなくショック死するとこだったじゃないか!!」
「大変に無礼な事をしたことを許して欲しい!しかし、身をもって召還術を体験していただくのが一番良いと思ったのでござるが…」
「謝ってすむ問題でもないよ!!なんでそれを最善策として考えちゃったかなぁ!?」
普通の人間なら、こんな事されたら激怒とかそういう話じゃない
なんだかんだ言って許してしまっている自分が憎いぜ…
「うむ!実は召還とはこちらの世界に呼び寄せるだけじゃなくて、あちらの世界に逆に自分自身を召還する事も出来るのだが…」
その話と今の流れは何か関係があるのだろうか
「それを利用して異次元を旅するのが拙者の真の目的なのだが、一度だけ次元と次元の間に迷い込んだ事があったのでござるよ…。」
異次元旅行…名前だけ聞くと凄いことに聞こえるな…
「さすがの拙者も抜け出すのに苦労したでござる。その次元の狭間でとある御仁にお会いしてな…そこで奪っ…もとい、いただいたものだ」
「いま奪ったって言いかけたよね!?」
とんでもない人だった!
しかも奪ったのはあの伝説の聖剣エクスカリ…
「違う…」
「…え?」
―――――――えくすかりぱーだ!!――――――
通りで無傷で済んだわけですよ…
なに?世の中には本当に存在すんのアレ?
ビッグブリッジの人は理不尽に幻の聖剣を奪われたわけだ…
「うむ、つまり拙者はこうやって召還術を使って世界を旅したり、色んなモノを召還できたりするわけでござるよ。」
いつの間にか手に持っていた剣…エクスカリパーは消えていて
弁当箱だけを抱えていた
「何か…凄いモノを目の当たりにしちゃって言葉も出ないよ…」
当然だ
ラブコメを望む一般高校生がファンタジーに巻き込まれてしまったわけだから
むしろここまで普通に対応出来ているのはゆとり教育の弊害なのであろうか
あさひの存在だけで、ファンタジー小説が一本かけそうな勢いだ
そのくらいのファンタジーが目の前で繰り広げられている
「うむ、猿氏が知らないだけで世の中にはまだまだ知らないモノがいっぱいあるということでござるよ」
まったくをもってその通りだ
一般高校生は世の中を全然知らない
そんなことは当たり前だろう
それにしても…
こんな事実は大人も知らないだろう
『異世界の召還師』
そんな肩書きはロールプレイングゲームでお腹がいっぱいだ
履歴書の職業欄にすら書けないよ
「ちなみに、異次元への自分自身の召還はとてもお腹が空くのでござる。たまたまこの世界にやってきた時にゴミ捨て場に着陸して、そのまま空腹で動けなくなっていたでござるよ!ハッハッハ!」
来たばかりで生ゴミに突っ込んだなんて、とても不憫な話だなぁ
…ふむ
ここまでの話の中でずっと思ってた疑問が再燃してきた
「そんな召還師様がどうしてこの街…いやこの世界にやってきたんだ?」
「うむ、根本の疑問を聞いてきたでござるな!そして、これから話すことは召還とかそれよりもヤバい話なんでござるよ」
召還よりヤバい話ってなんだよ!
黒マテリアでメテオでも降ってくるのか!?
「実は拙者はとある人物を追いかけて世界を旅して回っているのでござるが…その人物がこの世界にいるというのを感知してやってきたのでござるよ」
「待って!あさひ以外にも時空だか次元だかを飛び越えられるヤツがいるってこと?」
「いかにも!私の家系は代々召還師の家系で、何百年ものあいだソイツを追っているらしいのでござる」
「らしいって…よく分からないな…」
「まぁ、実際は拙者の母上と父上からそう聞いて育てられたというだけで、イマイチ実感も湧かない話でござる」
そういって何ともいえない顔で苦笑いをされた
「どうやら、そのとある人物は様々な世界にまたがって観測されていて いつどこに現れるかがギリギリにならないと分からないらしいのでござる」
「難しい話だな…」
「うむ、数百年の間にランダムに出現してその世界に災いをもたらすという話でござるよ」
ますますファンタジー色をおびてきた話だ
世界に災いって…まるで想像がつかない
「そして、どうやらこの苗美という地にその存在の残り香を確認したでござる!」
「え?こわっ!!世界規模で災いをもたらす存在がここにいるっていうの!?」
とんでもない話だ。
そんな世界規模の災いの話が僕の部屋でされているのも不思議な話だ
「でも残り香があるだけで詳しい事は調べてみないとなんとも分からないのでござるよ…」
大体の話は飲み込めてきた気がする
…
ここまで聞いてきた感想
――――――極々、一般市民で未成年の平凡な高校生男子にどうこう出来る問題じゃねぇ!!――――――
それはそうだろうさ
あれだけ
協力するよ!!
と格好よく言っておいたくせに
これは非常に格好わるいぞ!!
なんか、ファンタジーに少しだけワクワクしてて忘れてたけど
僕はメラもホイミも唱えられないわけで…
「うむ!拙者からの話はこういうことでござる!猿氏!」
「は、はひっ!?」
まずい…これはなにをお願いされるんだろうか…
「…一宿一飯の恩義!!そして、拙者を救ってくださった!その寛大な心に報いる為に猿氏に力を貸す事を約束しよう!」
…?
「そうだな…さしずめ…拙者は未来から来たネコ型ロボット的ポジションだと思ってほしいでござる」
なんだ…と…?
「という訳だ、拙者は今日からここにお世話になる!!君の為だ!!」
オイ!!体よくここを宿代わりにしようってことじゃないだろうな!?
「まて!!ここの家主は母さんだ!!それに男女が一つ屋根の下で暮らすなんて不健z…」
「あらあら…いいじゃないの~。私もドラえもんか21エモンみたいな子が欲しかったのよ~」
言っちゃった!!さんざん遠回しに表現してきたのに言っちゃったよ!!
それに21エモンはちょっと違うよ!!
「母さん!!いつからいたとかそういうツッコミはあえてしないよ!!それよりも本当にいいの!?」
「お母さん、来る者は拒まず 去る者は追うってスタンスなのよ~」
「タチ悪いな!!ヤミ金みたいだよ!!」
「おぉ!!母上殿!!このような得体のしれない私に対する慈悲…アナタが神か!?」
「あらあら、狭間さん~私は死神と契約なんてしてないわよ~?」
「しっかりと息子どのはお守り致す故!安心してくだされ!!」
「あらあら~頼もしいわね~。」
「いや…もう何も言うまい…僕は疲れた…」
「あっ、そうそうこっちへいらっしゃい」
僕は母さんに手招きされる
何の用だって言うんだ?
母さんは僕にこっそり何かを手渡される
…!!
ここでは言えない…
何を考えているんだこの人は…
――――――ちゃんとゴムつけないとダメよ~?無計画は人生を棒に振る事になるわ~―――――――
女の子の目の前で息子に避妊具を渡すヤツがあるか!!
しねぇよ!!
最悪だ!
実の母親に性事情を心配されるなんて…
「母さん!!ふざけるのも大概にしてくれ!わかった!分かったから!!もう出て行ってくれ!あさひも!!あとは俺一人にしてくれ」
僕は二人を部屋の外に追い出そうとする
「ちょ…いきなりどうしたんでござるか!!」
「あらあら~」
「とにかく!詳しい話は向こうで二人で話し合ってくれ!!」
「難しいお年頃なのね~」
「悩める青少年ということでござるな!青き春とは見事な表現と言える!!」
僕は扉を閉めた
「ふぅ…」
しばらく一人にしてほしかった
「…ぴすけす」
そうだった、まりもがいた…
離れようにも離れられないしな
「今日はもう寝るぞ…明日も学校だし…」
「…もんてぃぱいそん」
僕は電気を消してベッドに入った
まりもがあとを追ってベッドに潜り込む
やれやれだ…
こうして、僕の激動の休日は終わりを迎えたのであった
悩み事が増えても大丈夫とは言ったけど
これはなかなかに頭の痛い事情だ…
そんなことを色々と考えているうちに睡魔が襲ってくる…
お…やすみ…な…さ…い…