第20話 手のひら小竜のために机の横へ席を作ったら、毎晩そこへ来るようになったらしい
月曜日。
大学から帰宅し、簡単な夕食と片付けを済ませた水野拓海は、いつものように室内の安全確認を終え、ルリの夜の短いケージ外探索に備えた。
飛翔対策は引き続き徹底しており、既存の安全着地点の配置も変更していない。認可撮影端末も、ケージ前面と机上の作業場所が無理なく画角に収まる位置に、一台だけ固定して録画状態にしている。
拓海は机に向かい、大学の講義で取ったノートを広げた。
今日の作業は、新しいレポートを必死に書き上げるような重いものではない。走り書きしたメモを読み返し、きれいに整理して清書する程度のものだ。これなら、ルリへの対応が必要になった時に、すぐに手を止められる。
ケージのスライド窓を開け、固定足場を設置する。
ルリはいつものように固定足場をトテトテと歩いて、机の上へと出てきた。
最初は、ごく普通だった。
机の上の観察マットを歩き、椅子の背もたれへ向かって短く飛び、また机へと戻ってくる。
拓海はルリの動きを視界の端で捉えつつ、ノートの整理を進めていた。
やがて、ルリが拓海の開いているノートの方へと近づいてきた。
拓海はそれに気づき、すぐに筆記を止めた。
手に持っていたボールペンの先端をカチッとしまい、作業場所の奥へと遠ざけて置く。以前、ルリがペン先の動きを追視したことがあったが、硬い樹脂や金属部品を含む筆記具を玩具にするわけにはいかない。
ルリはノートの端に鼻先を寄せた。
すん、と匂いを嗅ぐ。
そして、右の前脚をノートの紙面へと乗せた。続いて左の前脚、そして後脚も。
四脚すべてが、ノートの上に乗った。
(紙の上を通って、向こう側へ行くのかな)
拓海はそう思って、ルリが通り過ぎるのを待った。
ところが。
ルリはノートの下半分、まだ拓海が文字を書いていない余白の部分まで来たところで、ピタリと動きを止めた。
そこでくるりと一度向きを変える。
四脚を少し折り曲げるようにして、身体を低く沈め込んだ。
背中の翼が身体に沿い、短い尻尾が、拓海がまさに次に文字を書き込もうとしていた罫線の上に見事にかかっている。
「……そこ、これから書くところ」
拓海は思わず声をかけた。
ルリは顔を上げ、瑠璃色の大きな瞳で拓海を見た。
「きゅ?」
だが、その場所からは動かない。
拓海は無理にルリをどかそうとはしなかった。下手にノートを引き抜けば、爪を引っ掛けて転ばせてしまうかもしれない。
ただ、開いたページを見つめたまま、筆記を再開できずにいた。
「乗るのはいいんだけどさ。そこに乗られると、俺がこの紙、使えないんだよ」
言葉の響きは困っているように聞こえるが、拓海の口元は完全に緩みきっていた。
全長わずか十から十二センチ。
小さな竜が一匹乗ったところで、大学ノートの全面が隠れるわけではない。ルリが占拠しているのは、ほんの一部だ。
しかし、その『ほんの一部』が、拓海がこれから使おうとしていた数行のスペースと完璧に一致している。それが、どうしようもなく可愛かった。
「……仕方ない」
拓海は諦め、ノートはルリに譲ったままにしておくことにした。
代わりに、空いている左側のスペースへ、新しいルーズリーフの紙を置く。そちらに講義資料のメモを書き写し、作業を続けようとした。
しばらくすると、ルリが立ち上がり、ノートから降りた。
「あ、空いた」
ところが今度は、ルリは拓海が左側へ広げたばかりの新しい紙の近くまでトテトテと歩いてきた。
今度は紙のど真ん中を占拠するほどではなかったが、前脚の先だけを紙の端っこに、ちょん、と乗せている。
そして、顔を少し持ち上げて拓海をじっと見つめてきた。
拓海はペンを置き、二枚の紙と、ルリを交互に見比べた。
「……もしかして、お前の場所がないのが、いけないのか?」
紙の感触が気になるのか、拓海の近くにいたいのか。それは分からない。
ただ、今の机の上には、拓海が使うノートや資料、筆記具ばかりが広げられている。ルリが近くに来ても、拓海が作業を続けながら見守れるような空間は、用意していなかった。
***
月曜日の夜。
短い探索が終わり、ルリが自発的にケージへと戻った後。
拓海は固定足場を撤去し、スライド窓のロックを確認してから、机の上を見直した。
ノート、記録用バインダー、筆記具、講義資料。
これらを広げれば、机上のかなりの面積を使ってしまう。
ルリが机へ来ること自体は、全く嫌ではなかった。
むしろ、嬉しかった。
「近くに来るな、とは言いたくないんだよな」
拓海は、素直な気持ちを口にした。
拓海が考えたのは、ノートを使う中央の作業部分と、その右脇にある小さな空間を分けることだ。
スマホを取り出し、八咫烏指定の暗号化アプリで榊原教授へ簡単な配置の相談を送った。
『ルリが俺のノートに乗るので、机の右側に、来ても作業の邪魔にならない場所を作ろうと思います』
すぐに返信が来る。
『追い払う場所じゃなくて?』
『来てもいい場所です』
『それならいいと思うよ。ただし、それを使うかどうかはルリに任せてね』
榊原の許可はあっさりと出た。
ただ、一つだけ実務的な助言が付け加えられた。
『その場所へ座らせたら安心、とは考えないこと。マットの色や素材で境界を作っても、ルリがその線から出ない保証にはならないからね』
『はい。筆記具に近づいたり、対応が必要な動きをしたら、今まで通り作業をすぐに止めます』
拓海は返信を読み返し、机の右脇へ目を向けた。
そこを空ければ、すぐ横にルリがいてもノートを使える。遠くへ行ってもらわなくてもよくなる。
***
火曜日の夕方。
拓海は、予備の観察用マットから切り出した、小さな一枚のマットを机の上へ置いた。
サイズは、十八センチ×十四センチ。
机の中央に拓海のノート。その右脇、机の縁から内側へ寄せた位置に、小さなマットを配置する。
厚みはわずか数ミリで、机との段差はほとんどない。縁を丸く整え、めくれや滑りがないことを確認した。加工の際に出た切り屑も、ルリを外へ出す前に片付けてある。
既存の観察マットや安全着地点A・B・Cは、そのまま残した。
机上の配置を変えたのは、ノートの右脇の、小さな四角い場所だけだ。
拓海は一度椅子に座り、自分のノートと小さなマットを並べて見た。
「……席っていうか、ただのマットだな、これ」
あまりにも簡素な作りに、少し笑ってしまった。
「まあ、お前にはこれくらいのサイズがちょうどいいか」
マットの上には何も載せず、縁をもう一度指で確かめてから手を引いた。
室内の安全を確認し、いつものようにケージの窓を開けて固定足場を設置する。
ルリは、固定足場から机へと出てきた。
新しいマットの前で、一度立ち止まる。
縁へ鼻先を寄せ、すん、と嗅いだ。そして、右の前脚を一つ乗せる。
拓海は、手元のノートを開いたまま見守った。
ルリは残りの脚もマットに乗せ、その上を真っ直ぐに横切った。
そして、そのままマットから降りて、別の方向へ歩いていってしまったのだ。
(……通り過ぎたか)
拓海は一瞬、肩を落としかけた。
「とりあえず、通路としては使うんだな」
ルリは机の上を少し歩き回り、安全着地点の方へ頭を向けた。翼を少し開き、また畳む。
その後、マットの方へと戻ってきた。
今度は、マットの中央付近で立ち止まり、くるりと向きを変えた。
前脚が揃う。
身体が少し低く沈み込む。
翼が背中へきっちりと沿い、短い尻尾の先がマットの縁に落ち着いた。
拓海のノートのど真ん中ではなく。
その右脇に用意された、十八センチ×十四センチの小さな場所で、ルリは止まったのだ。
「……そこなら、俺も書けるぞ」
拓海は口元を緩め、手元のノートへ視線を落とした。
次に書くつもりだった行が、空いている。
そのすぐ横には、ルリがいる。
拓海はボールペンを持ち直し、講義資料の続きを書き写し始めた。
ルリは身体を少し斜めに向け、拓海の手元を眺めていた。
拓海がペンを動かすと、ルリの頭が少しだけそちらへ向く。それでもマットからは降りず、その場に留まっていた。
「お前も、ノート見てるのか?」
「きゅ」
拓海はノートに一行書き込み、隣を見た。
ルリはいる。
もう一行書いて、また隣を見る。
まだいる。
「……近いな」
それは決して、嫌だという意味ではない。
手を伸ばして触らなくても、すぐ横の視界の端に、小さな竜がいる。その距離が、思っていた以上に嬉しかった。
***
最初の滞在は、およそ三分ほど続いた。
その間に、ルリが一度だけ前脚を置き直し、片方の脚を少し引いて、顎をさらに低くする仕草を見せた。
拓海は、その小さな姿勢変更を見るためだけに、またしても筆記の手を止めてしまっていた。
紙の上のスペースは空いている。
ペンも自由に使える。
物理的に書くのを邪魔しているものはない。
それなのに、課題の整理が全く進まない。
「……あれ。場所を分けたのに、俺の作業の進み方、昨日と変わってなくないか?」
原因はルリではない。ついルリを眺めてしまう、拓海自身の問題だった。
やがて、ルリは自分から席を離れ、机の別の場所へと探索に向かった。
予定していた探索時間の終わりにルリがケージへ戻ったのを確認し、拓海は固定足場を撤去する。スライド窓を閉じ、ロックを確かめた。
その日の様子をバインダーに書き留めた後、空になった机上の小さなマットを見る。
「とりあえず、今日は使ったな」
拓海は机を片付け、ノートや資料を本棚へしまった。
ただ、そのマットだけは机の右脇に残しておいた。明日も、ルリが選べるようにしておくためだ。
***
水曜日。翌晩。
拓海は昨日と同じように机を整えた。
中央に大学のノート。右脇には小さなマット。
ちらりと空いた席を見てから、いつものように夜の探索の準備を済ませた。
ケージから出たルリは、最初から一直線に席へ直行したわけではない。
固定足場を渡り、いつもの観察マットを数歩進み、一度周囲へ頭を向ける。
その後、新しい席へと歩いてきた。
鼻先をマットの縁へ寄せたが、初日のようには長く止まらなかった。
四脚を乗せて一度向きを変え、昨日と似たような位置で身体を低くする。
拓海は、開きかけたノートに手をかけたまま、動きを止めた。
「……今日も来るんだな」
ごく小さな独り言だった。
昨日使ってくれただけでも十分に嬉しかったが、今日もそこにルリがいる。拓海は、思わずもう一度マットの上を見た。
座る角度は少し違う。昨日は短い尻尾がマットの奥へ向かって伸びていたが、今日は手前へ向かって少し曲がっている。顔も真正面ではなく、少し横を向いていた。
それでも、ルリが乗っているのは昨日と同じ小さな席だ。
「はいはい。じゃあ、俺も始めるぞ」
拓海はノートを開いた。
ルリはそのまま、右隣にいた。
***
木曜日。三晩目。
ルリは席で数分間過ごした後、不意に身体を起こした。
そして机を歩き、椅子の背もたれへと短く飛翔する。そこを少し歩いてから、再び机へと戻ってきた。
拓海は、ルリが席を離れた時点で「ああ、今日はもう終わりか」と思い、ペンを置いた。ルリが机を移動する間、その位置と動きを目で追う。
やがて、ルリは拓海のノートの端のすぐ近くへ来た。
拓海は少しだけ身構えた。月曜日の夜には、そこへ乗られて作業が止まったからだ。
しかし今回は、ルリはノートの紙面には踏み入らず、その横を通り抜けて右脇のマットへと向かった。
前脚。後脚。向きを変えて、再び身体を低くする。
「戻ってきた」
拓海は小さく息を吐いた。
さっきまでいた場所へ、また同じようにルリが収まっている。拓海は一度だけケージへの帰り道を確かめてから、ノートへ手を戻した。
席へ戻ったルリが、前脚を少し前へ出して身体をぐーっと伸ばした。
そのまま脚を身体に引き寄せ、顎をマットの表面近くまで低くする。
大きな瑠璃色の瞳を覆う瞼が、ゆっくりと細くなった。
拓海がノートのページをめくると、ルリは少しだけ目を開き、紙の方へ顔を向ける。
ページが落ち着くと、また顎が低くなった。
「……そこにいると、なんか監督の先生みたいだな」
厳しい監督というよりは、横でただ作業を眺めているだけの小さな同席者だ。
「ちなみに、この科目の四番の答え、分かりますか?」
「きゅ」
「うん、俺も分からん。難しいよな」
拓海は小さく笑って、講義資料を読み直した。
一人暮らしの部屋に、静かな話し声が溶け込んでいく。
***
金曜日。四晩目。
安全確認とケージの開放はすでに済んでいる。
拓海は机のすぐ脇に立ち、今夜使う講義資料やプリントを揃えていた。ルリが歩く机上を視界に収めながら、手元の紙の端をトントンと整える。
その間に、ルリが固定足場から出てきた。
少し歩き、右脇の席へ。
そのまま身体を低くする。
拓海が資料を抱えて机を見ると。
自分が椅子に座る前に、ルリがもうそこにいた。
「…………先に来てたの?」
ルリが顔を上げる。
瑠璃色の目が、立っている拓海の方へ向く。首が少しだけこてんと傾く。
拓海は、一瞬だけ、妙に急かされたような気分になった。
「はいはい。今、座るからな」
椅子へ腰を下ろす。
ルリは動かない。
拓海が資料を並べると、ルリの頭だけが少し手元の方へ向いた。
待っていてくれたみたいだな、と拓海は思った。
先週の木曜日には、掌に白い宝物の石が残された。
そして今夜は、机へ向かったら、小さな同席者が先に席に着いている。
特別なものを持ってきてくれたわけではない。
ただ、いつもの場所にルリがいる。
拓海は、いつもより少しだけ丁寧に、音を立てないようにノートを置いた。
「……今日も、一緒か」
拓海はペンを持って作業を始めた。
ルリの翼の先端が、一度だけ微かに動き、また落ち着く。
拓海の口元には、しばらく笑みが残っていた。
***
土曜日。五晩目。
日中の用事と買い出しを済ませた拓海が、夕方に机の上を片付けていた。
机の右脇には、一時的に別の講義資料の山が置かれている。ルリはまだケージの中だ。
拓海は資料をまとめようとして、その下にある小さなマットを見た。
そして、何も考えずに、ごく自然な動作で資料をどかし、机の左奥へと移動させた。
中央に自分のノートを配置する。
右隣のマットの上は、空ける。
そこまでやってから、ふと拓海の手が止まった。
「……俺、もうここ、お前が来る前提で空けるようになってるな」
月曜日の夜には、ノートの上に乗られて使えなくなって困っていた。
今は、右脇の小さなマットの上に自分の資料を置いたままにしておく方が、なんだか落ち着かない。
拓海はマットの縁にかかっていたプリントの角を、もう少し左へ寄せた。
その晩も、安全確認を終えてケージの窓を開けると、ルリが固定足場から出てきた。
拓海が椅子に座ってノートを開く。
ルリは机を少し歩き、右脇へ。
いつもの小さなマットへ乗り、向きを変え、身体を低くする。
拓海は一度だけ隣のルリを見た。
「よし。やるか」
自分のノートへと視線を戻し、ペンを動かし始める。
ルリは、今日も右隣にいた。
***
夜の探索が終わり、ルリがケージへ戻ったのを確認すると、拓海は固定足場を撤去し、スライド窓を閉じてロックした。
それからバインダーに向かい、日々の記録と定点映像を見返す。火曜日から土曜日までの五晩に共通する行動を、改めてまとめた。
『机上の作業区画右側へ、小型マット(18×14cm)を新規設置』
『設置後、五晩の夜間ケージ外探索において、いずれも個体の自発的な進入・滞在を確認』
『滞在中、立位および身体を低くした姿勢を確認。途中で離脱した後の再進入もあり』
『担当者の着席・資料展開の前後に当該位置へ移動する例あり』
『当該位置への移動を促す呼びかけ・食物提示なし。担当者が個体を持ち上げてマットへ置く操作も行わず』
五晩連続で、自分から来ている。拓海はもう、あのマットを『ルリの席』だと思っていた。
着席の音、拓海の存在、紙の動く音、時間帯、マットの素材や感触。何がどれだけ関係しているかは切り分けられていない。
理由のすべては分からなくても、夜に机の右隣で過ごすことは、ルリの新しい日課になっていた。
拓海は認可端末の記録データを指定システムへ転送し、スマホのアプリから記録番号と短い報告を榊原へ送った。
『机の右側に作った場所ですが、火曜日から毎晩使っています。昨日は、俺が座る前に先に来ていました』
榊原からの返事は、一言だけだった。
『席ができたね』
拓海は、そのあまりの短さに少し笑った。
『えらくあっさりですね』
『毎晩そこで過ごしているなら、水野君がそう呼ぶのは自然でしょ』
榊原は、ルリが一度席を離れてからまた戻ってくる映像にも触れた。
『そこにずっと留まらせているわけではなくて、別の場所へ動いたあとにも、また戻っているんだね』
『はい。机を歩く日もありますし、飛んで椅子へ行く日もあります。そのあと、また俺の横に来ます』
『じゃあ、今はそうやって使う場所になっているんだろうね』
拓海は、空になっている右隣のマットを見た。
十八センチ×十四センチ。それだけの場所に、今夜も小さな竜がいた。
最後に、榊原が尋ねてきた。
『それで、ノートは無事に書けるようになったの?』
拓海は返事に詰まった。
確かに、席で過ごしている間は紙の上に乗られずに済む。物理的には書ける。
しかし、隣にいるルリの様子をチラチラと見てしまう回数は、確実に増えている。
『ノートの上のスペースは空きました』
『じゃあ、課題は進んだ?』
『……そこは、別の問題です』
『じゃあ、進まないのはルリのせいではないね』
拓海は全く反論できなかった。
短く「おやすみなさい」と打ち、教授との会話を切り上げた。
***
深夜。
拓海は一人、静かになった机の前に座っていた。
目の前の景色を見る。
中央には、拓海の大学ノート。
右隣には、十八センチ×十四センチの小さな席。
ルリはすでに探索を終え、ケージの中へ帰っている。就寝場所は、これまでと同じ高所休息棚の屋根の上だ。
拓海は、空になった小さなマットの縁を指で少しだけ整えた。
そこへ、自分の講義資料や本を戻そうとはしなかった。
明日も、そのまま空けておく。
「……明日も来るかな」
ケージの中では、ルリがいつもの屋根で身体を丸め、すやすやと眠っている。
拓海はそれ以上は声をかけず、空いている小さな席をもう一度だけ見た。
最初は、ルリが隣に来てもノートを使えるように、机の一角を空けただけだった。
それが、いつの間にか。
来てくれると、嬉しい場所に変わっていた。
最後までお付き合いいただき感謝します。
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