back to the 1928
俺はなんて不幸な人間なんだ。
別に少し顔が違い、少し言葉が上手じゃない。
たったそれだけで難癖をつけて、虐めてくる。
それだけじゃない、ドイツ人が名前をも出してほしくない”アイツ”。
それに似てるなどと言ってきた。
別に殴られたり、教科書を水浸しにされるくらいならいいよ。
でも”アイツ”に似てるというのは、魂の殺人に近いことだ。
もうこの世界ではやっていけない。
日本には異世界転生という概念がある。
もし次があるのなら、みんなと同じ顔がいいな。
そう思い僕はマンションから飛び降りた。
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はっ
気づいたら石畳の上だった。
あれは路面電車か?
起き上がって道なりに歩いてみる。
通り過ぎていく人、スーツ姿をしている。
異世界転移したのか?
にしては近代な気がするが。
フェドラ帽やクロッシュ帽を被った人々が歩いている。
まさかドイツか?
死んだら故郷に帰る。
考えてみると理にかなってると言えるだろう。
さらに道を歩く
するとドイツ語が聞こえてくる。
『今日の新聞だよ!』
新聞の売り子?
今時珍しいな。
結局ここはどこなんだ?
「すいません、1部ください」
『あいよ』
新聞を手に取った。
1928年5月21日
ベルリン各地で選挙集会が開催される。
「嘘だろ・・」
気づけば、俺は走り出していた。
走って走って、あてもなく走った。
息が上がり疲れた時、見慣れた建物が見えてきた。
ベルリン駅
ドイツだ、それも1928年。
新聞には小さくこう書かれていた。
「国家社会主義ドイツ労働者党、地方で支持を拡大」




