中年人間投げやりキッチン
美味しい料理は心を癒しますよね。自分で作るのも結構楽しいですよ。
…
今日も今日とて腹が減る。
日曜午後3時、これまた中途半端な時間に起きてしまった。平日は朝から晩まで仕事漬けのようだ。こればっかりは勘弁してほしい。
私は三角零。どこにでもいる普通の会社員だ。どんな仕事をしてるかとか、性別がどうだとか、そんなもの今はどうでもいい。話す機会があれば話そう。
兎にも角にも、私は腹が減っている。
のそのそと起き上がり冷蔵庫を確認するが、今日の晩ごはん用の食材しかなく、冷凍ごはんも、この時間に食べるには量が多すぎる。
さてどうしたものか…
「ああ、そうだ。」
確かこれなら作れるはず。
材料
・薄力粉
・片栗粉
・水
・砂糖
・塩
・油
量は全部適当
※きちんとエビデンスのあるレシピじゃないから、真似するなら自己責任。
自分で作って食べるだけなのだから、不味かろうが何だろうが構わん。
…今ちょっと「何」と「ナン」をかけようとしたが踏みとどまった。
中年というものは年を重ねれば重ねるほど、お口にチャックができなくなってくる。やれやれ困ったものである。若い社員たちから白い目で見られぬ様日々気を遣っている分、家ではいらぬ妄言が爆発してしまうのだ。我ながら悲しき生き物。
作るのはもちろん「ナン」である。
本当はイーストがあれば良かったのだが、一々そんなものは一般家庭の家には存在しない。
ましてや一人暮らしの中年の家になど。
材料をボウル…などという洗い物を増やすだけの余計な品は使わず、フライパンにぶち込む。
神経質な人間が見たら卒倒するだろうかなどと考えながら、適当にこねこねする。
「水が多かったか…ベチョベチョになった…」
仕方ないので小麦粉を足す。
行き当たりばったりなのはいつものことである。
手にベチョベチョとへばりつくのをうまく扱いながら、フライパンの中央に丸める。
ラップで包み、なんとなく30分寝かせてみる。
…その間腹が減るので、特売で買ったチーズをちまちまと食べる。
待ってる間も空腹は私を待ってはくれないのである。じゃあナンを作った意味があるかと聞かれるともちろんある。だって食べたいから。何より粉物はチーズよりよほど腹がたまる。どんな空腹状態か、今何が食べたいか?人生というのは日々己の腹との話し合いなのである。
そうこうしているうちに30分が経った。
生地はいい感じに(よくわからんが)休めたらしい。
後はこれの間に…
「チーズを!!挟む!!」
ふははははは!!と笑いながら生地にチーズを包んでいく私は、傍からみれば本当に不審者であ
る。逮捕しないで。
後は焼くだけ、なのだが。
「しまった…チーズを入れすぎて分厚くなっちゃった…!?」
そう、固形チーズをロクにちぎりもせずにぶち込んだので、生地が分厚くなってもはやお団子状態になってしまっていた。
「これ火通るのか…?」
若干の不安を感じるつつも、フライパンに火かける。
普通の炒め物のようにジューもシャーも言わないのでなんとも不安である。
3分くらい経ったので、とりあえずひっくり返してみる。
「おー!いい焼き色!」
思っていた以上にいい色がついた。これはいける気がする。
また数分待ち、ひっくり返す。これまたいい色に焼けていた。
「生焼けじゃないか確認するか…」
一度取り出して切ってみる…が、片栗粉を入れすぎたせいかとてつもなく硬い。もはや鈍器になるのでは?というレベルだ。
「ガッチガチや…さてさて中身は…やっぱり生焼けか」
とほほ…とうなだれてしまう。やはり分厚すぎたようだ。
そういえば、昔父が焼いてくれたホットケーキがいつも生焼けで、母がブチギレていたことをふと思い出す。
「お父さんが焼くといっつも生焼け!!強火すぎるのよ!!」
とカミナリであった。
今回は火加減には注意したが、生焼けの代物が最初に出来上がってしまうところは血だろうか。勘弁被りたい。
もう一度火を通す。今度はアルミホイルもかけ、両面を5分ずつじっくりと焼く。
なんとなくいい感じになったので取り出し、もう一度全力でギコギコしながら切る。
もはやナンというよりフランスパンである。
「おー!!」
思っていた以上にいい焼き上がりである。
中のチーズもトロットロに出来上がっており、生地の香りと混ざって食欲を刺激する。
では早速。
「いただきます!」
テーブルにランチョンマットを敷き、気持ち彩りを添えて食べる。
「うん、やっぱり美味しい!!」
チーズのトロトロとナン…というよりパンの組み合わせが最高である。
「でも…かてえ…」
やはりこの硬さがネックだ。ふっくらさせるにはやっぱりイーストか…今度検討しておこう、いや美味しいんだけれども。
自分で作って自分で食べる。私にとってはこれが娯楽である。ロクに実家ではキッチンに入れてもらえなかった反動なのだろう。
上手くできてもそうでなくても自分しか食べないのだから気楽なものである。ああしてみようこうしてみようが自分勝手にできるのは、何と幸せなことか。
「あれ、ちょっと待て」
ふと時計を見るともう18:00である。後2時間ほどで夕飯の支度を始める時間になってしまう。
のんびり作りすぎた。
「…まあいっか。夜は少なめにしよう」
こういうことができるのもまた醍醐味。
好き勝手でいいのだ。料理は。
ただ自己責任ということは忘れずに。
さて、夜は何を作ろうか。
お疲れ様です。柏田です。
料理は全部ぶち込んで作るタイプの適当魔神です。でもどうせ自分しか食べないんで良いんです。
昨今、自炊に対するハードルを上げてしまっている人が多いように感じたので、自分のご飯はこんなもんでいいのよ、と伝えたかった次第。(丁寧にいつも作られている方々には頭が上がりません。本当にすごい…)
ただ、初めて扱う食材は、下処理の方法等きちんと調べることを徹底しましょう。余計なことしてお医者さんのお世話にだけはなりたくないですから。私は今のところ大丈夫です。
あと、この小説のレシピや焼き時間等、真似する際は全て自己責任でお願いします。責任は負いません。生焼けまじで気をつけて。
自炊に限らず、肩の力を抜いていきましょう。ご自愛くださいね。
それではまた。




