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77.ミゥが居てくれたら大丈夫

 ※ジュラシック樹海エリア※



 いよいよ、ここへと戻って来ました。密林生い茂る木々の中、フユユさんと攻略です。そんなフユユさんの足が止まっていました。


「どうしましたか?」


 なにやらメニュー画面を開いています。


「あーうん。やっぱり伸びてるー」


 なにが? 気になったので彼女の画面を除いたらそこにはナツキさんの生配信が映っています。なにやらコメント欄も大盛況しており、お祭り状態。内容からしてさっきのPVPのようです。


「絶対こうなるって分かってたから戦いたくなかったんだよね」


「私のがんばりは……?」


 フユユさんが肩に手を置いてきます。


「休み明けがんばって」


 そんな。では私は彼女の配信をバズる協力をしただけ? おまけに自分の首を絞めるという。ぐはー。


「そうと知ってたら私も逃げればよかった……」


 界隈事情なんて知らないんだもん……。


「でも私は嬉しかったよ。ミゥが私の為に戦ってくれて」


「フユユさん……」


「もう気付いてると思うけどナツキは前のギルドのリーダーだった。それも結構大きなね。わりとガチな人ばかり集まって、そんな中でナツキと私はツートップだった。だから色々と期待してたんだろうね……」


 これまでフユユさんと一緒にプレイして分かりましたけれど、この子はとにかく自由が遊ぶのが好きに思えます。だからこそ、規律や規則に縛られるのが嫌なのでしょうか。


「だったらどうしてギルドに?」


 プレイスタイル的にはソロの方が向いてるように見えます。


「人気なMMOだとギルイベも盛んだし報酬も美味しいでしょ? だから仕方なくって感じ。結果的にそれが辞めるきっかけにもなったわけだけど。まさかこのゲームまでしてるとは誤算だなー」


「安心してください。何度絡んで来ようとフユユさんは私が守ります」


 配信がバズろうが、ガチ勢が襲って来ようが彼女には指一本触れさせません。あなたには悲しい顔よりも笑顔でいて欲しいですから。


 フユユさんが微笑んでくれました。


「だったらお姉ちゃんは私が守ってあげる。仕事を邪魔しに来た奴は全員処刑するね」


 発言が完全にヤンデレのそれですが。まぁでも仕事の邪魔されるのは困りますね。


「やはり私はフユユさんが好きですね」


「もう……それずるい……」


 ゲームは節度を持って楽しみたいものです。


 呑気に会話してる間に茂みがガサゴソと揺れます。ヴェロキラプトルが3体も同時に出現。けれど相手が顔を見せたと同時に私とフユユさんが惑星魔法『シューティングスター』を発動。最速で1体撃破。その調子で残りも倒してしまいます。息ぴったり。無言でハイタッチします。


「ナツキってどこまで攻略してるんだろう?」


「配信アーカイブを見たら分かるのでは?」


「ネタバレされるのはヤダ」


 その辺はゲーマーらしい。


「彼女のことは気にせずフユユさんの好きなようにプレイしてください。何もしたくなければそれでいいですし、攻略したい時に攻略する。それでいいんじゃないですか」


「ミゥのそういう所本当しゅきー」


 腕に絡みついて、敵が来たら戦えませんよ。


「それにあの子に執着されると私の心がモヤモヤするんです。あなたの恋人は私ですから私を見てください」


「ミゥ……好き……」


 私も嫉妬深いかもしれない。けれどこればかりは言っておかないと。

 あの子にフユユさんを取られないようにもっと強くなろう。


 敵を倒しつつ密林の奥へと進むと群青色の湖のエリアへとやって来ます。先へ進むには湖を越える必要があり、進むのは木の板でできた橋のみ。そして水中にはモンスターの存在を匂わすように湖面が揺れています。


 フユユさんと仲良く橋を渡っていきます。すると揺れる水面がこちらへと接近してきました。直後、青黒いワニのような恐竜、リオプレウロドンというモンスターが巨大な口を開けて飛びかかってきます。


 なんとか下がって回避に成功。


「食べられたら即死する奴だ……!」


 即死ではなかったと思いますが手痛いのは確かです。


 フユユさんが湖面に雷魔法『プラズマボール』を放ちます。雷球が弾け飛び感電が発生。私も習って上級雷魔法『サンダーボルト』を使います。揺れる水面に雷が落ちると、湖面は静かになります。敵を倒したようです。


「あっ! テイムしようと思ったのに! お姉ちゃんの馬鹿!」


 そして怒られる。


「見てください。あそこにレアエネミーが出現してますよ」


 湖面から首の長い緑っぽい体色の生物が姿を見せてます。未確認生物でお馴染みのネッシーです。このエリアでしか出現しないのでかなり激レアです。


「お姉ちゃん、露骨に話題逸らそうとしてるよね」


「そんなことありません。さぁテイムしましょう」


 ネッシーもこちらに気付いたようで可愛らしい声で小さく鳴くと水面が逆立ち津波が発生してこちらに襲ってきます。回避不能攻撃……。だったらダメージを受けるのは私だけでいい。


「ふえっ!?」


 咄嗟に抱きしめてしまいました。でもこれならフユユさんはダメージを受けてないはず。

 私はまぁそこそこレベルが高いので多少は問題ありません。


「えと……ハイジャンプ使ったら避けれたけど……」


 その発想はなかった……。


「でも嬉しい……」


 そんな風に言われたらもっと抱きしめちゃう……。

 ネッシーさんは空気を読んで少し攻撃を待っていてくれたという。

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