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66.ポーションってすごく甘い……

 私とフユユさんは今、蒸気機関車に乗っています。ここは街そのものがダンジョンなのでこの機関車の中が安置ポイントになっていて、中にお店や休憩する所が設けられています。当然信頼度マイナスのフユユさんでも安心して使える設計。

 フユユさんとボックスシートに座って仲良く旅道中。私は窓側。


「ミゥのおかげですごいレベル上がったー」


 メニュー画面開いてニコニコ話してます。パーティ組んでるからあれらを全滅させて経験値が大量に入った模様。まさかこのメイドここまで計算していたのか?

 でもちょっとだけスカッとしたのは内緒。


「次からは気を付けてください」


 機械の街の信頼度システムをマイナスにする人は滅多にいない。ただ万が一行った場合はログアウトしたり、今みたいに機関車に入れば最低値のゼロにリセットされる。


 フユユさんは分かってなさそうにピースするだけ。可愛いから許す。


「そだ。ここって休憩所もあるんだよね?」


「街も広いしダンジョンボスがどこにいるかも分からないから休んでいこう」


 フユユさんが立ちあがって手を引っ張って来ます。通路を歩いて行くと個室部屋がいくつも用意されてあります。誰も使用していないのかどこも『空』と表記されていました。


 近くの部屋に入るとベッドと机に椅子という簡素な空間になっています。窓からは機械の街を眺められるようになっていて、ちょっとだけリッチな気分を味わえる。


 部屋が閉まるとフユユさんがニヤリと笑う。


「ふふふ。これでミゥと2人きりになったね……」


 悪い顔をしてますが、魂胆はお見通しです。


「さぁ、ミゥ。観念して……?」


 いやらしく近寄って来るので腕を掴んでやりました。


「メイドが主に逆らうとは無礼ですね。ベッドに倒れるのはあなたが先です」


 無理矢理押し倒してあげます。フユユさんは目をパチクリさせて状況が理解できない様子。


「悪いメイドにはお仕置きが必要ですね」


 倒れてるフユユさんの真上へと近づいて手を掴んだ。顔を合わせるようにもう片方の手で頬に触れる。ゆっくり手を滑らせて顎を軽く摘まんだ。


 フユユさんは声も出せずに顔を赤くしてます。この子、やたらと誘ってくるわりにいざ始まると弱くなるの本当かわいい。摘まんだ手を離してフユユさんの唇に指をゆっくりと走らせる。その指を自分の唇にそうっと付ける。


 ほら。こんなのでもうダメになっちゃってる。あー、かわいい。

 そんな気がなかったのに、気が乗ってしまう。


「フユユ、本当可愛い。好き」


「はぁっ……はっ……ミゥ……私も……」


 すごく呼吸荒くなってる。VRでこれならリアルだとどうなるんだろうか。

 なんか、本当に……。いい……。


「フユユ。キスしたい?」


「は……はっ……い……」


「もっとはっきり言って」


 いじわるっぽく問い詰める。この子の何もかもが愛おしすぎて頭が蒸発しそう……。


「し……したい、です。ミゥと……キス、したいです……」


 合格。従順なメイドにはご褒美をあげないとね。


 体を重ねるようにしてゆっくりと顔を下ろす。

 フユユさんが途中で目を閉じた。


 ……。


「フユユ、目を開けて」


「へ……?」


「目を開けてするの」


「そ……そんにゃの……」


 完全に情緒が吹き飛んでるようですがこればっかりは譲れない。

 君の目を見たい。ちゃんと私を見て……?


「目を閉じたら途中でやめる」


「わかり……ました……」


 素直なメイドは好きです。頭を軽く撫でてから続きを。


「……はっ……んっ……」


 真っ赤に蕩けた顔が本当に素敵。可愛すぎて死んじゃう……。

 手に力がこもる……。


 もっと私を見て。

 私だけを見て。

 私もあなただけを見るから。

 あなたしか見ないから……。


「……あ……ぅ……」


 フユユさんの目がぐるぐるになってしまいました。リアルの方でオーバーヒートしてしまったようです。少しやりすぎましたか。


「ごめんね……でもそんなフユユも好き……」


 耳元で囁くように伝える。

 フユユさんは変な声しか出せてません。

 この辺りが潮時でしょうか。本当はもっとしたいけど攻略もあるし。


 離れようとしたらフユユさんに腕を引っ張られてベッドに倒されてしまいます。

 フユユさんは私にしがみついて顔を寄せてきます。


「これで終わりなんて言わせないよね……?」


 呼吸は荒いのにまだ満足できてないのですか。


 そしてフユユさんが私を押し倒して上に跨ってきます。メニュー画面を開いて何かを出しました。ポーション……?


「なにを……」


 そしてポーションを一口飲んでました。

 まさか……。


 すぐに顔を近づけてきます。


 唇が奪われる……。

 口の中に甘い液体が流れ込んでくる……。


 息が苦しく感じる……のに、体がそれを拒めない……。

 もっと欲しいって思ってしまう……。


 フユユさんの肩を寄せておねだりするように顔を近づけます。

 でも今度はポーションをくれません。


 なんて意地悪……。


 フユユさんが唇を離して口の中のポーションをじれったくゴクリと自分で飲んでしまいます。


 ああ……喉が寂しくなる。奪いたいのに、奪えない。


「おねだりしたらあげるよ……?」


「ください……。ポーション欲しいです……」


 フユユさんは満足そうな顔をして再びポーションを口に含みました。


 きっとこのゲームはこんな遊び方をしてはいけないのだろうけど……。

 もう理性が言う事きかない……。


 フユユさんと唇を重ねてただひたすらにポーションを頂きました……。

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