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43.拒まないなら……仕事でも隣にいるよ?

 フユユさんも機嫌が戻ってくれたみたいで一緒に来てくれます。けど、その表情はすぐに曇っていきます。というのも来たのがサイバーエリアのダンジョンだったからです。


「こんな所デバッグしなくてもよくない……?」


「全てのマップを確認する必要があるので」


 こういう特殊なギミックが搭載されている所は想定外の挙動を起こす可能性があります。なので色々試す必要があります。


 矢印の向こうへ飛んだら落下していくのですが普通に飛んでも何もなかったのはフユユさんとの攻略で検証済み。ならば……。


 天候魔法『嵐の祈祷』


 マップに凄まじい突風が発生します。マップそのものに効果を与える天候魔法。使用中は徐々にSPが消費するもののその効果は絶大。


 私はSPが減らないのでずっとこの状態を維持できます。この嵐は本来であれ広範囲に敵にダメージを与える感じですがこのマップで使って飛ぶとどうなるか。


 さぁ飛ぼう。


 ……。


 後ろでフユユさんがすさまじく嫌そうな顔をしてます。


「辛いならここに残っていてくれて構いませんよ」


 どうなるかは私にも分かりませんし。


「行く……! ミゥと苦楽を共にするって約束したから」


 そんな約束をした覚えはありませんがいいでしょう。


 では飛ぶ……。


「うにゃあぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


 フユユさんは相変わらず絶叫。

 でもこれは彼女でなくてもすごいです。

 風に流されて、おまけに重力が変に引っ張られるので妙に上下した動きが……。

 うっ、酔いそう。私でこれならフユユさんヤバそう……。


 そして風に飛ばされて何かダンジョンの壁の所まで飛ばされました。しかもサイバーエリアの特徴らしく、ここも立てます。何かすごい所に来てしまった。


「死ぬかと思った……」


 フユユさんが本気で危うい顔をしてます。すばらしいアトラクションでしたね。


 とりあえず壁を上っていきます。そしたらダンジョンボスのある所まで行けそうですね。とんでもないショートカットです。とはいえ『嵐の祈祷』を習得するのはかなり遅いのでその頃にこんな序盤のダンジョンに来る可能性は少なそうですが。


 あと他にできそうなのは……。


 テイムモンスターを呼んでみます。後半で仲間になるプテラノドンさん。この子の足に掴まったらダンジョン内を飛んでいけそうですね。


「まだ行くの……?」


 フユユさんが心底嫌そうな顔をしてます。


「ダンジョンボス倒して帰りますか?」


「行くしかないのか……」


 フユユさんの手を掴んで、もう片方の手でプテラノドンの足に掴まります。それでダンジョンを飛んでもらいます。『嵐の祈祷』の効果も残っており、何か並行感覚がなくなりそうなくらいグニャグニャした感覚が……。


 とりあえずテクスチャチェックなども含めてダンジョン内を飛んでもらいましょう。



 ※時間経過※



 何とかダンジョンのデバッグは完了。気になる点がいくつかあったのでそれらは全部メールに添付して送信しておきます。


 ポチポチ文字入力してる横では今にもリバースしそうなくらい顔がヤバくなってる子がいます。だからやめていいって言ったのに。


「一度ログアウトして休んだらどうですか」


「大丈夫……ゲームこそが最大の休息……」


 吐きそうな声で言われても。


 とりあえずサイバーエリアの街へと戻ってきました。

 歩いていたらフユユさんも少しずつ調子が戻って来たようです。


「でもこんな子もいるんだねー」


 フユユさんが私が呼んだプテラノドンを興味深そうに眺めます。


「もしかしてこのゲームって空にも行けたりする?」


「さぁどうでしょう?」


「もしそうならめちゃくちゃマップ広いと思う」


 何せ我が社の社員が地獄を見て作り上げたのですから半端ではありませんよ。


 歩いていると数人の女子プレイヤーが近くに来ました。皆それぞれ別のモンスターを連れてます。


「えーなにこれ、かわいいー!」

「翼おっきいー」

「目がキュートー」


 プテラノドンを囲んでいます。可愛い系、なんでしょうか。よく分かりません。


「お姉さんこの子どこで捕まえたの?」


「後半のエリアですね」


「そっかー。じゃあ頑張って進めよー」


「だねー」


 そう言って去っていきました。やはりモンスターがモチベになってる人は多そうですね。


「フユユさんも1体くらいは捕まえた方がいいんじゃないですか」


「どうして?」


「私の予想ですがテイムモンスターを使ったイベントが来るかもしれないですから」


 初期でこそ誰も攻略してませんが今は皆何かしらのモンスターを連れてます。そうなるとそれに付随した何かをする可能性はあります。


「もういるよ」


 そう言ってフユユさんがメニュー画面を開いてスライムを呼び出しました。そういえば前に手伝ってくれた時に捕まえたのでしたか。


「そんな弱いモンスターでどうにか出来ると思いませんが」


 足も遅いし攻撃手段もないのに何を考えているのやら。


「オンリーワンこそが至高。それに半端なモンスターでイベントに参加するより大穴狙いの方がわくわくしない?」


 そりゃあスライムを連れてる人は見たことがありませんけど。


 まあでもフユユさんはこういうのに慣れてそうですし好きにさせますか。

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