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39.まだ一緒に攻略できるって、ちょっと安心したんだ

 海底都市。ウォーターエリアの奥に存在する街である。海の中なので街も当然深海。まるで古代遺跡のような石造りの建築物が並ぶ。街の中にもお魚さんが泳いで来るので中々神秘的な街です。ただ建物に入るのにわざわざ地面まで下りて泳ぐのがちょっと面倒。


「ミゥさ。なんでそんな後ろ泳いでるの?」


 決して置いていかれてるわけではなく敢えて離れている。

 だって目の前にあんな白ビキニの銀髪ちゃんがいたら理性がやばくなるから……。


 フユユさんが戻ってきた……。


「ミゥ。もしかして意識してる?」


「してません……」


「だったら目を見て」


 そう言われても……。


 チラ。


 っ……!


 なんて初々しい素材なんですか……!

 これは、やばい……。


「ふふーん。分かった、私の体がエロくて興奮してるんでしょ」


 あなたはまず国語の勉強だけして語彙力を鍛えてください。


 フユユさんが意地悪な顔して近付いてきます。だから絡まないで……。


「こんな街中でやめてください」


「誰も見てないよ。でもミゥが言うなら宿行く……?」


 この子は一体どんな人生を歩んできたんですか。


「もう着替えてください。フユユさんも十分楽しんだでしょう?」


「それはできないかなー。ゲームは自由に遊ぶものだし……?」


 その通りですけど。その通りなんですけど……!


 はぁ。これ以上言っても無駄なんでしょうね。


 そうだ。グラサンを装備しよう。これなら直視しても少しだけ気を紛らわせられる。


「ほぉぉ。お姉さん爆誕だ……」


 この服装にも似合ってると思います。


「行きますわよ、フユユさん?」


「そのキャラはチェンジで」


 せっかくのお姉さんキャラが酷いです……。


 海底都市にはプレイヤーさんがちらほら。シャークさんをテイムした人が掴まって泳いでいますね。楽しそう。


「その手があったか……!」


 むしろあれが普通の移動手段だと思います。というか気付いてなかったんですか。


「あれ見て思ったんだけどさ」


「はい」


「この先のエリアで特定のモンスターテイムしてないと進めないみたいのあったりする?」


 1人用のRPGだったらありそうですね。


「一応はMMOですからそういうのはないと思いますよ。実装されるとしてもそのエリア内では必ず味方でいるみたいな仕様になると思います」


 こういうのって自由に遊べるのが利点であって、運営側が縛るのはよくないと思います。


「そっかー。よかったー」


 フユユさんはテイムモンスターなしで攻略を続けるつもりなのでしょうか。

 修羅の道がお好きなようで。


「まーでも実装されても私には関係ないけど。だって全てのギミックを解除できる仲間がいるし」


「1人で攻略しますか?」


「ぶくぶく……」


 水死体の真似はやめなさい。


 さて、街を通り過ぎたらいよいよウォーターエリアのダンジョン、海の祠です。海の底にある洞窟内部のダンジョンです。海の色はアクアグリーンという明るめな配色なので洞窟とはいえ暗くはないです。


 洞窟の中は迷路のように枝分かれしていて、さらに時々渦潮も発生して飲まれると身動きが取れなくなる少し面倒なダンジョンとなっています。


 フユユさんは適当に選んで奥へと進みました。どうやら正解だったみたいでまた枝分かれしています。


 が、フユユさんはなぜか引き返していきます。


「あの。正解ですよ?」


「行き止まりに宝箱置いてあるかも……」


 完璧主義……。


 さて、ダンジョンなので当然敵も出てきます。出現するのはクリオネ、ウーパールーパーといった可愛い系のモンスター。なぜこっちにシャークさんを配置しなかったのかは謎です。もしかしたらミスの可能性もありますが。


 どちらも水系の魔法を使うので是非ともテイムしたいですが……。


 迷いなく突っ込みましたね。でもちょっと倒すの躊躇ってる。やっぱり可愛いから困ってるんだ。おろおろしてる。逃げてきた。


「なんて恐ろしいダンジョン……」


 ですよね。他のダンジョンは普通のモンスター系なのにここだけ明らかにおかしいし。休み明けに報告しておこう。


 そんな感じで敵を無視して進んでいたら、何か水中の中で黒い物体が流されてきます。

 あれは……黒スライムか。まだイベント期間中だからここにも出て来るのか。でも泳げないから流されるがままらしい。なんとも哀れな……。


「黒スライムですよ。あれなら倒せるでしょう?」


「ここに来てからずっと私が倒してるしミゥにあげるよ」


 なんでここで遠慮するのか。あんな経験値の塊は寧ろ率先して殴るべきでしょ。

 私が倒しても意味ないの分かってて言ってますよね?


「はぁ。じゃあ倒しますよ」


 相手するのも疲れるのでマジックアローで始末。


「うわ。ミゥ容赦な」


 そしてこれである。


 そんなこんなでダンジョンの奥地までやって来ました。

 大きな沈没船が倒れてる中からウツボのような赤くて長いモンスターが出てきます。

 ダンジョンボスのウツボ竜。あまりに長い体と大きさからプレイヤーに恐怖感を与えてきます。目は可愛いですけど。



 ※勝敗は分かり切ってるので割愛※



 ダンジョンボスを撃破して浜辺へと戻ってきました。


「ふおぉぉぉ! ミゥ見て! 地図広くなった……!」


 子供のように目を輝かせて自慢してきます。普段やる気はありませんけど、やはりゲームが好きなんでしょうね。


「ここから更に難しくなるでしょうね」


 次は東西南北に加えて更に北東北西南東南西の4つも増えた計8つのエリアが追加される。先に東西南北から攻略しなければ北東などへは行けませんが、その分難易度も上がっている。


 それにトップ層はおそらくここも殆ど攻略を終えてる可能性もありますが……。


 フユユさんはそんなのどうでもいいのか嬉しそうにニコニコしてます。

 やっぱりゲームを楽しんでくれるって嬉しいですね。

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