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37.私がここまでする理由、気付いて

 翌日。


 眠い……。結局昨日は遅くまでデバックしてたせいであまり眠れなかった。これから新エリアが作られる度にこの苦行をさせられると思うと憂鬱だ……。


 今日はキャンディエリアの街をデバッグ。半分くらいは終わったからダンジョンまではできるかな……。


「ミゥ大丈夫?」


「はい、大丈夫です」


 心配してくれてるのですか。優しい。


「えっと……ずっと同じ所にスライム投げてるよ?」


 え?


 ああ……本当だ。これが寝不足の弊害か……。


「フユユさん……もし私が馬鹿してたらそんな風に教えてください。今日はちょっと頭が回ってません……」


「ん、いいよ。でも……そっか……フユユさんか……」


 どうして暗い表情するんでしょう?


「どうしました?」


「フユユちゃんって呼んで……?」


「急に何言ってるんですか」


「昨日は言ってくれたよ?」


 そう、なのか? やばい。お酒入ってたのもあって記憶が曖昧なんですよ。

 私そんなこと言ってたのか……。


「私また変なことしてました……?」


「ふふー、秘密ー」


 これはやらかしてます……。

 でもフユユさんがかわいいからいいや。


「でも新マップかぁ。これはまた離されそうだなー」


 いや本当今日は頭回らない……。

 普段なら雑談できるのに適当な相槌しか打てませんよ。


 あれ、フユユさんが近くにいる。

 私の手を引っ張って、あれ、どうしたんでしょう。


「やっぱり今日のミゥお疲れだよ。ちょっと休んだ方がいい」


「ダメですよ。仕事がありますから」


 アプデが入るならゆっくりしてる暇はありません。

 地面にいるスライムを掴もうとしたらフユユさんに没収されました。


「私が代わりにしてあげるからミゥは休んで」


「それは労働的に本当ダメなんですよ」


「私が勝手にしてるだけ。で、それをたまたまミゥが見てた。何も問題はないよ」


 普段なら即座に否定するのに疲労もあってかこの子の優しさがすごく染みる……。

 でも本当にダメなんです。給料もらってるのに休むなんて……。


「明日休みでしょ? ミゥの疲れ取れなくて攻略できない方が辛いから……。私は全然疲れてないからミゥは本当に休んで」


 フユユさんがここまで言うってことは、酷い仕事をしてたんでしょうね……。

 確かに少しだけ休んだ方がいいかもしれません。こんな状態で1日仕事しても効率が悪いでしょう。


「私は少し休みます。でもフユユさんが無理して仕事する必要はないので」


「分かってるからベンチに座ってて」


 無理矢理座らせられました。


 瞼閉じたら本当に眠く……。



 ※時間経過※



「ん……」


 やば。寝落ちしてた。


 でも仮眠のおかげで大分頭も冴えてきたかも。どれくらい寝たんだろう。半時間くらいかな。


 ……マジか。


 もう昼回ってるぞ……。

 寝落ちってレベルじゃないぞ。爆睡してるじゃん……。


 周囲を見渡します。フユユさんはいません。私のスライムだけがポツンと残されてます。

 これ以上休んでいられませんので一旦フユユさんに連絡しておきましょう。

 するとすぐに返事がきました。


『もう少しで終わるから待ってて』


 とのこと。本当にしてるのでしょうか。


 さすがに時間を無駄にできないので場所を聞きます。


『ボスの中。すぐ終わるからダンジョン外で待ってて』


 そんな所まで? とりあえず移動しましょうか。


 アイスマウンテンへ来ると丁度フユユさんが出てきました。ボスを倒したのでしょうか。手にはスライムを持っていました。まさかテイムして来たのでしょうか。


「丁度ボスの中も調べて来たよ。いくつかおかしい所あったからメモしたのメールで送信するね」


 そう言われてメールの中にはお菓子の街、アイスマウンテン、ボス内のテクスチャのおかしい箇所や見えない壁があったりなどの記載が細かに書かれていました。


「魔法やスキルは覚えてないのあるからどの道あとでミゥに行ってもらわないといけないけど……」


 まさかこの短時間で全部調べてくれたんですか……。

 やばい、涙出そう……。


「ありがとうございます……すごく助かりました……」


 これなら今日の分は全然取り返せますし、むしろ早く終わるくらいです。


「ふふ、ミゥの役に立てたならよかった♪」


 後ろで手を組んでかわいい仕草を見せてくれます。

 本気で私の為にしてくれたんだ……。


「フユユさん、この労働分は支払います。現金は渡せないので時給分を課金アイテムで換金した分で支払います」


「私が勝手にしたことだから本当にいいよ?」


「ダメです。仕事をしたのですからその対価は必要です。ですから私がフユユさんを雇って仕事のお手伝いをしてもらったという名目になります。だから当然賃金は発生します」


「ミゥって律儀だね。本当にいいのに」


 社会人なので当然です。


「じゃあお言葉に甘えてもらおうかな……?」


 受け取ってくれるらしいのでこの場で購入してしまいましょう。ずっとしてくれてたみたいですし、仕事も早かったので少し多めに付けておきましょう。


「わ。こんなにくれるの?」


 それが労働の対価というものですよ。


「これ、いいかも……。ミゥ、疲れたらどんどん言って。私これだったらいくらでもする……!」


 味を占めたか……。

 でもこんなにやる気あって率先してやってくれるなら、デバッグのバイトとして雇うのもありなような。一度課長に相談してみよう。

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