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35.心の重力は反転しないよ

 何とかサイバーエリアの街に到着しました。電脳チックなちょっとハイカラな建物が並ぶ。中華街に近いかも。そんな街を歩いてるけど隣を歩くお洒落銀髪美少女は今にも死にそうな目をしてる。


「ミゥ、お願いがあるの。このマップはクリア扱いにして欲しい……」


 物凄い悲壮感を漂わせて言ってます。よほどあのワープ地獄が堪えたのでしょうか。


「残念ながらそれはできません」


「そう……。じゃあこのゲームのレビュー1にしてクソマップがあるって叩く」


 地味に効く嫌がらせはやめて欲しい。


 とはいえゲームをやり込んでる彼女がここまで言うなら他のプレイヤーもそう感じてる可能性はある。


「明日にでも改善案を提出してみます。今だけは我慢してください」


「えー。どうせ次のアプデまではこのままなんでしょ?」


「まぁ早くてもそれくらいでしょうね」


 そもそも案が通るかも分かりませんし。


「次も、あれなの?」


 虚無顔……。


「ダンジョンなのでさすがに違ったと思いますが……」


「またあれだったら心臓発作起こせる自信がある」


 相当病んでます……。


「だったら一度別のエリアへ行きますか? 街まで来たのでワープポイントはアンロックしてますし」


 ここまで辛そうな顔をしてるフユユさんははじめて見ました。


「なんか負けた気がする。やっぱり行こ……」


 もはやプライドだけで動いてる……。


 街の奥まで進むと魔法陣があるのでそれに乗ってダンジョンへ。


 次に視界が切り替わるとまたしても電脳世界。ただ目の前には床も何もなく電子空間が広がっています。目の前には木でできた看板があり『→』と赤く表記されてます。床にはオレンジ色に『GO!』と輝いてます。


 フユユさんはそうっと電子世界を覗き込みます。


「まさか飛ぶの?」


 イエス。


 フユユさんが少し躊躇っていたので背中を押してあげました。


「にょぉぉぉぉぉぉ!!!」


 なんか変な奇声を上げてますが私も飛びますか。


 するとまるで高い所から落ちたように下へと引っ張られていきます。豆粒のように見えたブロックが徐々に大きくなってくる。ストンと着地。


「ミゥ酷い……」


「それは失礼」


 ちょっと反応が見てみたかったなんて言えません。


 ブロックに乗ったことで敵さんお出まし。クラゲのようなエイリアンが銃を持ってこちらに向けてます。洋画にでも出てきそうですが絵柄はポップ。銃を撃ってくると光の弾幕が飛び出します。


 フユユさんはひょいひょいと躱してます。


 おかげで流れ弾が全て私の方に……。痛いよう。


 なんやかんやあって撃破。


 そしたら看板と『GO!』の文字が出現。


「よかった……ここはワープじゃないんだ」


 ギミック転用は飽きちゃいますからね。


 フユユさんがこっちに来ます。

 背中を押してきます。やめなさい。


「今度はミゥを落とす……」


 私は別に怖くもないですが。


 落ちそうになったのでフユユさんの腕を掴んでやりました。

 仲良く落下。


「んにゃあぁぁぁぁぁぁ!!!」


 またしても奇声あげてますよ。これそんなに怖いですかね?

 別に落下してる感はそこまでないですし。


 着地!


 敵出現!


 瞬殺!


 そんな感じで落下を何度か繰り返していきます。


「はぁはぁ。これは中々手強いダンジョン……」


 フユユさんが胸に手を当てながら息を切らしてます。

 ダメージは私しか受けてませんけど。


「高所恐怖症だったりします?」


 高所という感じでもないですけれど。


「電脳世界落下恐怖症……」


 ピンポイント過ぎる……。


 そして目の前に上向きの矢印が描かれた看板と赤いスイッチがあります。


「これ踏んだら絶対上に飛んでいく奴でしょ?」


 ですねー。踏むの遅いので踏んであげます。

 重力反転。上に飛びます。


「これ本当無理ぃぃぃぃ!!!」


 フユユさんがこんなに絶叫するのはレアなの見れた……。

 ありがたい……。


 入口だった場所より更に上へと行って、天井だった所へと着地。私視点だと反転してるからここが床になる。


 そしておそらく……。


 空中に巨大なルービックキューブがクルクル回りながら出現。ダンジョンボスの七色のキューブ。回転していたキューブが止まると面全ての色が黄色になる。すると落雷が落ちてきた。


「色によって属性魔法使う感じか。よくあるパターンだね」


 そうなの?


 でも初見で見破るのですからやはり慣れてますね。


 じゃあ私も手伝いますか。


『ブレイブハート』

『スピーダー』

『マジックガード』


「おぉ……?」


 バフをかけてあげました。攻撃アップ、速度アップ、魔法耐性。


「新手の攻撃か……?」


 疑い深い……。


「バフです」


「なるー。女Tシャツさんありがとー」


 せっかく呼び名戻ったと思ったのに……。



 ※激闘中 (フユユのみ)ご想像でお楽しみください※



 すごい戦闘が行われていましたが戦いを制したのは当然の如くフユユさん。


「やっぱバフは偉大だなー。すごく楽だった」


 近くに来てくれたので軽くハイタッチ。


「これで残すはウォーターエリアだけ」


 休みの日しかやってないのに中々ハイペース攻略だと思います。

 この調子なら本当にトップ層に追いつけるのでは……?


 なんて一瞬思いましたけど今のトップ層はまだまだ雲の向こう。

 でもこの子ならもしかして……。

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