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107/129

107.ミゥとのルールなら何でもあり

 休日



「それでは今日も頑張りましょうか」


「喉大丈夫?」


「はい。完治しました。お騒がせしました」


「よかった。それじゃあ久しぶりにミゥとの攻略だね」


 この前は摩天楼都市でミネやナツキさんと一緒でしたからね。


「次の行き先は決まってるんですか?」


 空中植物庭園、摩天楼都市と隠しマップの攻略は順調ですがヒントはありません。ディープシーは所在が割れていますがあそこの難易度は半端ではありません。


「実は大体分かったんだよね。というかパターンがあるのに気付いたっていうか。空中植物庭園はワンダーワールド、摩天楼都市は機械の街、ディープシーは水の都。他にもいくつか見つけてあるけど、これって後半のマップに隠されてる」


 お見事、と言わざるを得ませんね。そういえば前に私が1人でジュラシックで修行していた時に居たのもそういうわけですか。


「でもクリスタル迷宮だけはまだ見つけてないんだよね。探しに行こー」


 そんなに手を引っ張らなくても付いていきますよ。



 ※クリスタル迷宮・ミラーハウス※



 巨大洞窟を探索しつつも隠しマップは見つからない。そしてダンジョンであるミラーハウスへとやってきます。鏡のようになってる壁が私達の存在をいくつも映し出す。フユユさんが何人もいるのは……目の保養になります。


「やっぱりここが怪しいよね」


 フユユさんが壁を1つ1つ確認していきますが何も起きません。答えは教えられないので黙ってついていきます。


「やっぱり鏡の中でミゥとキスしないとダメ……?」


 そんなわけないじゃないですか。もしそうならソロプレイヤーは詰みます。

 いや、本当詰め寄らないで。え……本当にするの……?

 こんなダンジョンの中で……そんなの。最近してなかったし、別にいいですけど……。


 するとフユユさんは私の背後に回ってました。あれ?


「この壁。鏡じゃない」


 鏡映しになっていないとそこへフユユさんが魔法で攻撃すると壁が粉砕。道が出現します。


 ……そっちですか。


「ミゥ?」


「なんでもありません」


 キスしたかったなんて口が裂けても言えません。


 隠し扉の先へ進んで行くと魔法陣があり、そこへ乗ると転送されます。



 ※秩序の世界※



 そこは灰色の空に支配され、正方形白銀のタイルが整然と並んで道となり、立方体の白やグレーで出来た無機質な建物。ベンチすらもただ四角い置物があるだけという簡素さ。生命をどこにも感じさせず、色がない。モノクロに近いけれど、こちらはモンスターの気配すらどこにもありません。


 少し歩くとカツンカツンと足音が響く。そして同時にメニュー画面が勝手に開きました。


『秩序の掟:ルールを逸脱する者は即座に追放される。

 第壱条:テイムモンスターの同行を禁ず。

 第弐条:スキルの使用を禁ず。

 ――秩序を乱すな。秩序を守りましょう』


 秩序の世界では特殊な禁止ルールが適用され、破ると最初からやり直しになる仕様です。またパーティ人数の数だけルールが追加され、中にはパーティ専用のルールまであるとソロ攻略の方が簡単という異質なエリア。テイムモンスターは連れていませんでしたが、パーティだと初回にほぼ適用されます。なので中間エリアまではパーティ相手のみとの攻略が基本。


「縛りマップかー。このゲーム、簡単な方ってミゥ言ってなかったっけ?」


「隠しマップですからね」


 基本はジュラシックまでが本編でここからは完全やり込み向けです。


 さて、攻略開始。最初はテイムモンスターとスキル禁止なので比較的楽です。

 無機質なタイルを歩いて行くと遠方に銀色の仮面と黒いマントをした人型モンスターが鎮座しています。秩序の監視者というモンスター。こちらに気付いても何もしてきません。


「うわ。これ絶対何かに反応するタイプだ」


 フユユさんは音を立てずにそうっと近づいています。監視者は微動だにせず立ったままです。


「攻撃すると反応する的な? ミゥ、試しに魔法撃ってよ」


「自分で試してください」


 人柱よくないです。


 『アクションログ:会話発生。秩序逸脱判定:True』


 監視者が腰の剣を素早く抜いて攻撃します。フユユさんはさっと回避。


「会話が秩序を乱すって強引じゃない?」


 ま、まぁ……そういうギミックなのでしょう。

 監視者が更に仮面の目を赤く光らせて深紅の光線を発射してきます。レーザーのようで薙ぎ払ってくる。ジャンプでは避けられない。ここは『ハイジャンプ』で回避!


『秩序コード:違反検知。ユニットをリセットします』


 一瞬で視界が暗転して最初の場所に戻されます。忘れてました、スキル使用禁止でしたね。

 パーティなのでフユユさんも巻き添えになってしまいます。


「ミゥちゃん、ドジったね~」


「すみません、もう油断しません」


「謝らなくていいよ。でもそうだね、気を引き締めたいなら……次失敗した方がキスするってルール追加する……?」


 え? むしろそれ今すぐ適用して欲しいです。


「なんて冗談だけど」


 冗談……悲しいです。もう諦めてキスしたいって言おうかな……。秩序を乱してるのは私かもしれない……。


 するとフユユさんが耳元に寄ってきます。


「全部、顔に出てるよ……?」


 心読まれてる? じゃあわざと焦らしてたんですか。なんてずる賢いんですか……。


「ミゥがしたいならする……?」


「せ、せめて中間地点まで進んでから……」


「じゃあルール追加だね~」


 よし、私。本気出します。

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