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誰が呼んだか「目覚まし時計」それ、作ったの私です

作者: お伝

なろうラジオ大賞6 1000文字のショート作品にちょっとハマってしまいました。

超短編です。

何度見てもニヤニヤしてしまう。

完成したのは手のひらに収まるシンプルで小さな時計。

魔道具士としてこの街で店を開いて以来、全てにおいてとにかく小型化する事に終始していた。

これはその集大成だ。

出来た小型時計をテーブルに置き、頭もテーブルに乗せて横からも眺めてみた。

厚さも理想的。


ホント、私って天才だわ。




昨年、王宮魔導具士のスーパーエリートが考案した世紀の大発明「時計」

先見の明のある我らが領主の伯爵様は、時間の概念が領都の発展のためになると中央広場に時計塔を作ってくれた。そして向かいの教会の鐘付き係りが時を告げる鐘を突く。

たまにズレるのはご愛敬、人為的な構造上仕方ないと皆温かく理解している。

とにかく、今までは日の出から日の入りまで適当だった働く時間が統一され、皆諸手を挙げて領主様を称えている。


最近ではお貴族様のお邸には豪華な装飾を施された置時計がドンと鎮座しているそうな。しかしそんなもの、平民には目も口も開いたまま閉じないくらい高価すぎて手なんて届きやしない。


「でも、時計自体を小さくすれば使用する魔石も小さくて済むから、裕福な商人や文官なら買えるようになると思うの。そうね、手のひらに乗るくらいかしら。」


今日もそんな難題を吹っ掛けにやって来たのは伯爵様の愛娘である我らがお姫様。

何度も言ってますけど、小さくするってすごーく大変なんですよ?

まあ、出来ますけれど。


いつも婿になったどこやらの伯爵家のお坊ちゃまと手を取り合ってやってきてはいちゃいちゃしながら出したお菓子を食べさせ合ってる。


何だろうこのバカップル。

もちろん言わないけれど。





テーブルの上の時計が突然ガランゴロンと鳴り出した。

びっくりして時計を手に取ってもどこからそんな大きな音が出ているのか分からない。

そこかしこを指で叩いてみても音は鳴り止まない。

ねじを外し、歯車を分解してバラバラになっても鳴り止まない。

もう泣きそう。

パニックになって魔石をハンマーで粉々にしたのに鳴り止まない。

もう泣いちゃう。


うわーん、という自分の声で目が覚めた。

外で夜明けの鐘がガランゴロンと鳴っている。

昨夜完成したばかりの小型時計は朝日に照らされてテーブルの上に鎮座していた。




私は本能に促されるままもう一つ時計を作り上げ、バカップル、もとい我らがお姫様夫妻の下へ赴いた。

好きな時間に音を出せる置き型の時計は、お姫様夫妻の商会の専売特許品として飛ぶように売れている。


受験を控えた高校3年生の冬、目覚まし時計を壊滅的に破壊しても鳴り止まず、きーっとなって半泣きで目を覚ます。と言う実体験を何となく発散したくて書いてみました。

他人事として書いてみたら、意外と笑える、かなと。

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