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ボクは名探偵?  作者: Mr.M
一章 作中人物と現実の人間、脅迫状と遺言状
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第5話 現実の人間

小説では40畳と書かれていた本宅の茶の間は

学校の教室よりも広く感じられた。

そしてそれは

目立った調度品がないからだと気付いた。


壁際で立っている福と五代、

そしてボクを案内した竹千代を除いて、

8人の男女が畳の上に座っていた。


白髪の老婆が部屋の奥で

こちらに顔を向けて鎮座していた。

老婆の前には

向かって右に3人の女が

左に4人の男が

それぞれ向かい合うようにして

奥から手前に並んで腰を下ろしていた。


その時、

ボクは男達の中に見知った顔を見つけて

声をあげそうになった。


4人の内、

手前の1人を除いた他の3人の若い男を

ボクはよく知っていた。

宿禰市磐井高校3年2組のクラスメイトであり、

詠夢に嫌がらせをしていた連中。

詠夢は彼らのせいで不登校になり、

引き籠るようになった。


一番奥、

老婆に最も近い処に座っている男は

北条清家ほうじょう せいけ

ウェーブのかかった茶髪。

彫りの深い顔には無精髭が生えていて、

そのワイルドな見た目が

クラスの女子にウケていた。

しかし。

その見た目とは違って

性格は陰湿だった。

「ナメクジ」のようにネチネチとした言動で

詠夢を執拗に揶揄っていた。

いじめの主犯格でもあるこの男は

何かにつけて詠夢に絡んでいた。


真ん中の巨漢は

日野正義ひの まさよし

ソフトモヒカンに刈られた髪に

細く剃られた眉毛。

その下のギョロリとした大きな目は

まさに「蛙」のようだった。

団子鼻と大きな口。

ニキビだらけのその顔は

さながらイボガエルと言っても過言ではない。

この男はその外見通り凶暴で

気に入らないことがあるとすぐに暴力に訴えた。

詠夢は一度、

この男から酷い暴力を受けたことがあった。

それをきっかけに不登校になったのだ。


一番手前の

サラサラとした黒髪の細身の男は

浅井秀一あさい しゅういち

切れ長の眉の下の二重の目は

「蛇」のように不気味だった。

スッと通った鼻筋に小さな口。

顔が良いことを鼻にかけている気障な男だった。

この男は清家や正義が

詠夢にちょっかいを出すのを

面白おかしく眺めていた。



3人はボクに気付いていないようだった。

各々が興味なさそうに

好き勝手な方を向いていた。

清家は白髪の老婆の方を。

正義は口をポカンと開けて天井を。

秀一は対面に座っている女を。

ボクは秀一の視線の先に座っている

女の顔を見てさらに驚いた。


茶色に染めたボブカットに

細いフレームの眼鏡。

その奥の小さな目。

小さな鼻とやや厚ぼったい唇。

それは

3年2組の担任教師。

菊野夕貴きくの ゆうき

その人だった。

35歳。

独身。

詠夢のいじめ問題を放置し続けた教師。



「ようこそ。

 お越しくださいました、先生。

 私が夜霧家の当主。

 姫子です」

その時、

白髪の老婆が口を開いた。

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