襲撃
ダンジョンでの事件から1ヶ月、ようやくメラヴァルの腕が完治した。
「やっと包帯が取れますわ……長かった…」
そうして包帯をするりと解くと焼け爛れていた皮膚は元に戻っていた。
「メラちゃん、完治おめでとう!これでようやく学校に復帰出来るね!!」
パティはまるで自分の事のように喜んでいた。
「パティも毎日、看病してくれてとても感謝していますわ」
「いいや友達として当然のことをしたまでだよっ!」
そんな他愛もない話を続けていくうちに時刻は朝の8時を回っていた。
そう始業時間が近づいていた。
「あっパティ、そろそろ寮を出ないとまた遅刻してしまいますわ!」
「もうゲンコツはいやだぁぁぁ!早く行くよ!」
過去にミステリオンにきっつーいゲンコツを食らったことがあったので彼女達はいつも以上に足早にアカデミーへ向かうのだった。
教室に着くも、ミステリオンはまだ居なかった。
「そういえば今日はミステリオン先生や他の先生達は不在なんだってさ、なにやら大型の魔獣が現れたからその対処にって」
「あら、そうなんですわね、では今日は自習かしら?」
DHアカデミーの教師は大半が現役のデビルハンターなので時々、不在となって授業内容が自習になることも珍しくなかった。
―同時刻、DHアカデミー正門
「そこのあなた、ここは関係者以外立ち入り禁止ですよ」
謎の男がアカデミー内部に入ろうとしていた所を警備が発見していた。
「ああすんません、俺この町に来たばかりでして道に迷ってしまったんや」
しかし明らかに挙動がおかしかったので警備員は訝しげに男に近づいた、すると。
「怪しい男に安易に近づいちゃアカンやろ、ほれ通行料」
男は醜悪な笑みを浮かべると凄まじい速さで銃を抜き、発砲。
「ぐがぁ……」
警備員は最初、男が何をしたのか全く分からなかった。
死の間際にようやく気づく、自分は撃たれたということを。
「こんなしょぼい警備しか居ないなんて侵入してくださいって言ってるようなもんや、まあ俺たちからしたら都合が良すぎる展開だけどな…さぁ、目的を果たしにいこか」