イービル・オーダー
目を覚ますとそこはアカデミーの医務室だった。
「う……左手が痛いですわ……あら?」
左手は包帯でぐるぐる巻きにされており、メラヴァルの左腕を枕代わりにしてパティが寝息を立てていた。
(ずっと見守っててくれたんですわね……この子も決して軽い怪我でもないのに…)
「よう、やっと起きたかメラヴァル=ジーヴァ」
メラヴァルが目を覚ますまで、待ち構えていた男が居た。
その男はマグドゥーガル=ハイドだった。
「…助かりましたわ、マグドゥーガル先輩、感謝を申し上げます。」
「いいや生徒を守るのは俺たちNo.9の役目だからな、例には及ばないぜ」
No.9それはDHアカデミーの上位9人の異名であり伝説のデビルハンター9人の末裔のことを指す。
目の前にいる、この男はメラヴァルが狙う標的の一人なのだ。
(この方がわたくしの権能を保有している一人……ですか、確かに星砕きは元々わたくしのものだった…なんとか取り返す気を伺わなくては…)
「今回の件で確信した、イフリートが第3層に現れた理由は間違いなく奴らの仕業だ」
奴ら…?メラヴァルには心当たりがなかった。
「奴らって一体誰のことですの?」
「そっか、新入生にはまだ知らない奴が多かったな、いい機会だ教えてやる、奴らというのはイービル・オーダーという組織だ」
イービル・オーダー……メラヴァルは聞いたことがない組織名だった。
「イービル・オーダー、奴らは魔界を再建して大陸全体を1000年前の情勢に戻すことを目的にしている過激武装集団で、奴らは人や魔族関係なく殺すことを躊躇わない凶悪な連中だ」
「な、なんでそんな組織がアカデミーに手を出すんですの?」
「アカデミーは強力な異能を持っている生徒が多い、奴らにとってここは誘拐に絶好の場所なのさ」
そんな危険な集団に目をつけられてるとしたらこの学校は決して安全ではないということだ。メラヴァルは思わず身震いした。
「とりあえずあんたも酷い火傷だったんだ、暫くは安静にしてるんだな、ミステリオン先生も授業については心配するな、と仰っていたからな」
そう告げるとマグドゥーガルは部屋から立ち去って行った。
「権能を取り戻すつもりが厄介な組織も絡んでくるのは勘弁して欲しいですわ……」
メラヴァルは先の事を憂いていた。