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初めての授業はダンジョン探索

「…ラ…ゃん…メラ……ん…メラちゃん!!起きて!遅刻するよっ!」

体が重い、パティが名前を呼ぶ声が聞こえる。

メラヴァルはハッとして飛び起き、時刻を尋ねる。

「あ、あれっ!いま何時ですの!?」

「八時二十分だよっ!あと十分で行かないと遅刻しちゃう!」

「ヤバいですわっ!ちょっと着替えるので待っててくださいまし!」

メラヴァルは慌てて制服に着替える。

余談だが、アカデミーの制服は女子ウケがいいらしいとパティが言っていた。


ドタバタな朝を迎えた彼女達は大慌てで寮を飛び出したのだった。


― 二十分後


二人は鬼の形相を浮かべたミステリオンにクラスメイト全員の前で正座させられていた。

「おい授業初日に遅刻とはいい度胸だな……パティ…それに首席サマのメラヴァル」

「「ご、ごめんなさいいい!!」」

「問答無用!鉄拳制裁のゲンコツだっ!!」

ミステリオンのゲンコツは小さな体に似合わずすごい痛かった。


「…さて今日の授業についてだが、アカデミー地下にある修練用のダンジョンに全員で潜ってもらう、だが下に行けば行くほどダンジョンは危険なので3層以降は絶対に行くな、これが指示だ、それ以外は自由に探索してもらっても構わない」

(確か1000年前、ラーダントルのダンジョンは下級魔獣の研究場所として使われてたはずですわね…それほど危険はないはず…)

「あとお前らに支給品がある、おいアレを」

ミステリオンが近くに居た教師に指示を送ると沢山の箱が積まれた台車を押してきた、そしてAクラスの生徒一人一人に箱を手渡した。

「支給品はデビルハンターの標準装備、銃だ」

そういってミステリオンが見せたのは奇妙な形をした小さな道具だった。

「あっ…銃だ!かっこいいな」

謎の道具を目にして疑問に思うメラヴァルだったが、それに対してパティは目を輝かせていた。

「あの…パティ……ジュウ?ってなんですの?」

「あれっ?メラちゃん銃を知らないの?ええとね、これはここ数年で開発されたデビルハンターの基本装備で魔族や魔獣の天敵である銀を発射するすごいものなんだよ!」

メラヴァルが封印されてる間にすごい武器が人間の手によって発明されていたのだ。

「これからこの銃はお前たちの物だが、もし許可無しに発砲することはご法度だからな、もし発覚した場合は私自ら鉄拳制裁した上に反省部屋送りだっ!」


そして一通りの説明を受けた一行はダンジョン内に足を踏み入れた。

「な、なんか寒いね……メラちゃんは大丈夫なの?」

「ええ、わたくしは平気ですわ」


しばらく進むと狼の魔獣が姿を現した。

するとミステリオンがおもむろに背中の大剣を抜いた。

「お前たちに魔獣との戦い方を見せてやる、でやぁっ!!」

そして大振りの大剣を勢いよく振り下ろした、一発で体が両断され、魔獣は消滅する。

「うわ…ミステリオン先生すごい……さすがS級だなぁ…」

「ええ、魔獣は本来一撃では非常に倒しにくい存在ですわ…それをいとも容易く…」

今のメラヴァルの力では魔獣一匹でも手こずるだろう。

「よし、ここからはお前たちの力で3層まで進め!私はそこで待っているからな!」

ミステリオンはそう言い残すと脱兎の如く駆け出し、奥にどんどん進んでいった。

「よし行くよメラちゃん、私たちが一番に3層に辿り着くんだっ!」

「ええ、気合い入れて行きますわよ!」

そして魔獣を次々に蹴散らし二人は第2層に到着した。

辺りを見回すと他の生徒はまだ居ないようだった。

「やった!まだ誰もいないよ、これなら私たちが一番!」

「いや、ちょっと待ってパティ、そういう訳ではないようですわよ」

「え?」

奥に目を向けると蜘蛛型の魔獣と相対する男子生徒が一人居た。


薄い青髪とアカデミーの制服が絶妙に似合うその男子生徒は腰に黒鞘に入った刀を提げていた。

「こりゃ手応えがある相手だな、その足、全部斬り落としてやるよ……フゥ…」

そうして、男子生徒は鞘に刀を収めたまま構える、魔獣が勢いよく向かって行くも、何が起こったか分からず魔獣の足が四本切断された。

「ひぇぇ…本物の刀だ…私実物見るの初めてだよ……それに速すぎて抜いたかどうかも分からなかった…」

パティは彼の見えない剣技に圧倒されていた。

しかしメラヴァルにはその正体が分かっていた。

「あれは…居合抜きという剣技ですわね…」

二人が魅入っていると彼は瞬く間に魔獣を斬り殺してしまった。

消滅した後に、彼は見えていたかのように、後ろの岩陰で見ていたメラヴァル達に話しかけた。

「おい、後ろでコソコソ覗いてる女2人出てこい」

「先程の居合抜き、見事でしたわ…あなたの名前お伺いしても大丈夫かしら?」

メラヴァルは岩陰から出て、彼の名を問う。

「ふーん誰かと思えば首席サマじゃないか、俺は次席のヒュドラ=ミナズキだ、よろしくな」

そう言うとヒュドラは第3層に向かって行った。


彼が立ち去ると、パティも岩陰から出てきた。

「あれが次席のヒュドラさんか……なんかものすごいオーラで私ビビっちゃった……」

「ええ、彼はかなり強いですわね…いつか戦ってみたいものですわ、さてわたくしたちも先を急ぎますわよ」

メラヴァルとパティも第3層に向けて歩き出すのだった。


―同刻、第三層


「くそっ…なんでコイツが3層にっ……生徒達がここに来たらマズイ…早く何とかしないと…」

狼狽するミステリオンの前には燃え盛る煉獄を纏う謎の生物が立ちはだかっていた。

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