真祖は全てを失いました
魔界歴1135年
魔界史上最強との声が名高い吸血鬼の真祖、メラヴァル=ロードアウトは絶望していた。
「何故…何故こんなことに……わたくしが何をしたというの…?」
彼女は業火に包まれた城の玉座で謎の人間達に異能で拘束されていた。
「真祖、メラヴァル=ロードアウト、貴様の権能を全て頂き、この場で封印させてもらうぞ」
リーダー格の男がアイコンタクトで周りの人間に指示を送ると、全員の指がメラヴァルの額に触れ、謎の魔術を唱えた。
「「「略奪」」」
その瞬間、メラヴァルに凄まじい頭痛が走った。
「ぐ……あああああ痛い痛い!………な、なんでこんな酷いことを………け、権能がっ……わたくしの能力が…」
能力が奪われる感覚が体を駆け巡り、自分の口から苦悶に喘ぐ声が聞こえたのが分かった。
しかし男は眉一つ動かさず、言い放つ。
「人類の平和のために貴様ら魔族は根絶やしにせねばならん、それが私達デビルハンターの使命なのだ」
彼がそういうと残りの人間達がメラヴァルの衣服を引き裂き、棺桶の中に閉じ込めた。
「いっ、嫌だ!出して!わたくし封印なんて嫌っ!助けて……誰か…」
メラヴァルは泣き叫び、必死に助けを乞う、しかし彼らがメラヴァルの話に耳を貸すことは無かった。
棺桶の外で彼らがよく分からない言語で呪文を唱えると、メラヴァルの意識は闇に堕ち始めた。
「わたくしは……封印されるんですわね…権能を全て奪われて……いい没落っぷりですわ…」
そして完全に意識が完全に堕ちた。
それから1000年後……メラヴァルの新しい物語が始まろうとしていた。