【完結】ざまあ、してみたかったな2
「なんてこと・・・」
私は自分の体を抱えて震えていた。
「私は・・・私は確かに処刑されたはず。なのに、なぜ私は家のベッドにいるの?」
処刑は夢?
・・・それはありえない。
処刑だけではない。
そこに至るまでの悲しい思い、できごとも全て覚えている。
「・・・ライリー様に裏切られた悲しみは忘れない。王太子妃を狙う男爵令嬢のせいで私は・・・」
私はさらに体を丸めた。
そして、そこで初めて気がついた。
「私・・・小さくなってる?」
慌てて鏡の前に走る。
!?
「子どもの頃の・・・私?
どういうことなの?」
呆然と鏡の中の自分を眺めていたら、ノックの音がした。
「・・・どうぞ。」
何とか返事の声を絞り出した。
「失礼します!」
入ってきたメイドを見て、私は目眩を起こしそうになった。
「メアリー!? メアリーなの?」
そこには5年前に亡くなったはずのメイドのメアリーがいた。
「お嬢様?
確かに私はメアリーですが、それがどうかされましたか?」
「・・・何でもないわ。ただ、ちょっと教えてもらいたいことがあるの。
私って何歳だったかしら?」
メアリーが驚いた顔をした。
「どうされたんですか、お嬢様。つい先日、6歳の誕生日パーティーを行ったばかりではないですか。」
6歳・・・
私が処刑される10年前だ。
間違いない。
私は子どもの頃まで時を巻き戻されたのだ。
私を心配しているメアリーには、とりあえず部屋を出てもらった。
これからどうしたらいいか、一人で考えたかったのだ。
これからどうしよう?
ライリーとの婚約は絶対に嫌だ。
もうあんな思いはしたくない。
私からライリーに会いに行っていたので、それをやめれば運命は変わるだろうか?
いや、そもそも同じ学校に行かなければ?
いっそ修道院へ・・・
それとも、殺されるくらいなら国外に逃げた方が・・・
頭の中は混乱の極み。
「ただ・・・公爵家の娘が一生王太子と会わないままなんて不可能よね。
だったら自分を磨いて、自立できるようにするしかないかなぁ。
でも、それでもし頑張りが認められちゃったら、かえって距離が縮まってしまうかも・・・」
どうしよう?
どうしよう?
どうしよう?
そして、私は結論を出した。
「よし。
お父様とお母様に全部話して、相談にのってもらいましょう。」
こんなとんでもないこと、子ども一人で解決しようとするのがおかしい。
それが私の結論だ。
そこからは早かった。
最初は笑いながら話を聞いていたお父様たちも、すぐに私の言うことを信じてくれる様になった。
なにしろ6歳の娘が、王妃教育の内容など、極めて秘匿性の高い話をするのだから、信じざるを得なかったのだろう。
そして、信じてくれてからの父の動きは素早く、そして頼もしかった。
王太子と私に接点ができないように徹底して手を打ってくれた。
それとともに、公爵家としても王太子と距離を取り始めた。
「まだ来ぬ未来のこととはいえ、我が娘を悲しませる様な奴には協力しない!」
と父が言っていた。
そして、父は私から聞いた10年間分の情報をもとに、絶大な力を得て、国王ですら無視できない立場となった。
その父からの協力を得られなかった王太子は、ついに、次男にその立場を奪われてしまった。
それは、前の人生で私が処刑された年のことだった。
1回目の人生と2回目の人生は大きく変わった。
そして、処刑された日を過ぎた今、もうここからの未来は私にもわからない。
それが、とても嬉しい。
ようやく、あの時の先に進められた気がするからだ。
あの時、お父様に相談してよかった。
自分だけで抱え込んで、苦しい道を進まなくてよかった。
やっぱり、大切なことは周りに相談しないとね!
ライリーの運命が変わってしまった事への同情心はない。
やはり、裏切られたこと、処刑されたことへの悲しみは強い。
はしたない言葉だけど、「ざまあみなさい!」と思う。
だから
お父様には感謝しているけれど
ほんの少し思うのは・・・
私自身でざまあ、してみたかったな。
なんてね。
(終)
楽しく書くことができました!
ざまあ、してみたかったなシリーズの他にも、
兄妹そろってゲームに入ってしまったシリーズも書いていますので、読んでもらえると嬉しいです。
【完結】兄妹そろって断罪中のヒロインの中に入ってしまったのだが
https://ncode.syosetu.com/n9383ik/
兄妹そろって断罪されている息子を見守る王様の中に入ってしまったのだが
https://ncode.syosetu.com/n9858ik/
【完結】ざまあ、してみたかったな
https://ncode.syosetu.com/n9085ik/
こちらも読んでいただけると嬉しいです!




