優しいと思っていた婚約者は実は優柔不断の博愛主義者でした…。ハーレムを作りたいのなら他所でやってください! 婚約破棄いたします。
「……これはどういうことですか?」
「すまない、僕は彼女たちを捨てることはできないんだ!」
目の前にいるのは10数人いる女性たち、上はうちの母くらいの年齢、下は妹くらいというか……。
いろいろな種族がいるようですが。
「あの、あなた、私と婚約をしてますわよね? 親が決めたとはいえ!」
「そうだ、僕は親の決めた婚約を反対できなかった。でも彼女たちを捨てることはできないんだ!」
捨てたくないといわれても、私はハーレムを作りたいというこの馬鹿の言葉を受け入れることはできません。彼女たちはお願いです。妾でいいんですといいますが、私は不実な男性は嫌いです。
私は伯爵の家の跡取りで、親が決めたこの子爵の三男坊が婚約者になり、政略結婚ですが仕方ないと思っていましたが、結婚の前にこのていたらくでした。
「婚約を破棄させてください。私はさすがにこの数の妾は受け入れられませんわ」
顔だけはいいのです。この男、でも私は顔より、性格が重視なので少々頼りないとは思っていました。
愛? 愛ですか、いえまあ守ってあげたいなどとおバカなことを思っていましたがね!
「……レリーナ、お願いだ!」
「……お断りします」
私がいくらいっても縋り付いて離れない婚約者、こいつらと別れろ! と怒鳴ってしまいました。
でもいやだという彼とは平行線。
妾くらい男の甲斐性だという父上でさえ、この人たちを見て絶句していました。
「違う婚約者を探そう……レリーナ」
「まあ普通そうなりますわよね」
しかし私はこのおバカをいつしか愛してしまったことに気が付いていました。
あれらと別れさせる方法を考え、ハーレムとやらを解散させることにしたのです。
「……ああ、僕のダーリンズたちが……」
「女性ならダーリンではないとは思いますが」
「彼女たちが彼女たちが逃げて行った!」
私はおいおいと泣いて私にすがる婚約者を抱きしめよしよしと慰めています。
ええ、私はただ彼女たちに古来の法によれば、正妻が妾達を罰することもできるといっただけです。
ええ何を罰する? 昔の正妻が妾を罰した理由を見せたら、皆驚いて別れますと即答しましたわ。
ちょっとした理由で罰せられていたので当然でしょう。
人はだれしも粗相はします。皿を割った、カップを割った。正妻をにらんだ。人の悪口を言った。
様々な理由をつけて、妾達を罰していました。さすがに私はそれほど心は狭くないですけど。お皿を落とした一人は手を切り落とされ、悪口の人は舌を抜かれましたわ。といって拷問器具は見せましたが、昔の正妻たちですわよ? でも妾になるのならそれくらいの覚悟はほしいですわ。拷問道具を手にあてて下げようとしたのもふりですし、舌を抜くハサミを一人の舌に挟んで引っ張ろうとしたのもふりですわよ?
正妻になるのならそれくらいの心持ちは必要ですし、妾になるのならそれくらいの根性がないとね。おいおいおいと泣く婚約者を抱きしめながら、覚悟がない人たちですわねえと私はため息をついたのでした。
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