双子
双子視点。少し前に話が戻ります
------双子視点------
気が付いたら赤ん坊になっていた。
ふと、横を向くと同じ顔があった。ああ、また一緒になれたね。寧々・・・。
私は、闇音蝶華。寧々の双子の姉です。でも、ここでは双子の兄、らしい。ディスという名前でこの世界を生きている
寧々はフィアと言うらしい。
わた・・・僕たちはいつも一緒だった。起きる時も、遊ぶ時も、お風呂も、寝る時も。いつからだろう、保育園の時に頭の中で会話できるようになっていた。
“フィア、今日寒いね。”
“ほんと、僕寒いの嫌いだよディス”
ほとんどの会話は頭の中でしているためほとんど話さなかった。
僕たちは、天使の生まれ変わりという存在らしい。本当に嫌だ。平穏に暮らしたいのに、主人公みたいな役職になってしまった。どうして僕たちなんだろう。他に5人もいるならその人たちに任せたい・・・
と思っていたら何故か学園都市に入れられた。学校みたいな場所。昔から学校は嫌だった。でも、隣にフィアがいるならいいや。
僕もそう思っている。ディスと僕は感情も同じだから、時々自分でも僕どっちだっけってなる時がある。まあ、双子だし、ディスのこと好きだから、僕はどっちでもいいんだ。
学園都市では、同じクラスにしてもらえるようになっているらしい。1-2組。部屋も一緒。ずっと、このまま二人で一緒に暮らすんだ。
どうやらこの国は30歳で死んでしまうらしい。丁度いいよ。同じタイミングで死ねるなら、手をつないで寝転がりながら、見つめあいながら死ねる。男同士だとキモイのかな。僕は、美しいと思うけど。
何事もなく、ゆっくりした時間を過ごしていきたい。
そう思っていたのに。
適性検査・・・?とやらで魔導書使いになった。僕たちは全く同じ。魔導書使い。何のために魔法なんて使うんだろう。魔導書?僕たちは何になるんだろう。
歴史の時間は眠いな・・・。そっか、みんなウイルスにやられちゃうのか。二人一緒ならいいよ・・・
あれ・・・先生から呼び出し?僕ら何かしたかな。
「「じゃあ先生たちは天使なの?」」
口をそろえて同じ発言。みんながこっちを見ている。冗談じゃない。いるわけがない。天使なんて。天使の生まれ変わりという設定も嘘だと思っていた僕たちは、雷を討たれたかのような衝撃が体を巡った。
なんで、どうして淡々と話ができるんだ。その戦いでもし片方が死んだらどうするんだよ
なんだよ魔王軍って、勝手に天使とエルフとやらで三大戦争でもしてろよ
僕たちのテリトリーかき回さないでくれ・・・・
ぐるぐると、想いが頭をかき回す。
「でもそれ、僕たちを魔王軍と戦わせるためだけに呼んだってことでしょ?」
ディスが冷静に話す。
「僕たち、よくわからないところに転生させられて、知らない土地で知らない人のために命捧げなきゃいけないの?」
すかさず僕も話を入れる。
ごもっともって・・・助けてといわれても・・・。僕らはただ・・・
“フィア、落ち着こう。この問題には抗えない。どうやったって戦うしかないのを他の奴らも理解した上で話を聞いている。僕たちは絶対に一人を置いては死なない。死ぬときは、一緒に。だ。”
“・・・うん。ありがとうディス。落ち着いたよ。そうだね、そのためにはある程度強くならなきゃね”
“ほんとだね”
“僕たちに、できるだろうか。”
“できるよ、二人だもん”
“できますよ。二人なら。先生、ずっと見守りますから。”
念話の最中にミカ先生が入ってくる・・・。眉間にしわを寄せながら
“話に入ってこないで先生”
2人でほっぺを膨らませながらも念話で返す
“あらあら、可愛い生徒”
くすくすと笑い、念話を続ける先生。
他の人たちが真剣な雰囲気なのに、ここだけ穏やかなのはなんでだろう。
この先生でよかった気がするな。
話を終えると、お昼休みだった。
時間を忘れて話していたみたいだ。そうだろうね。そんだけ深刻な問題だってことだもん。
“いこ。フィア”
“うん”
僕たちは、仲良く手をつなぎながら、教室に戻った。