Scene3
大柄の男子生徒は指をバキバキと鳴らした。
「よう、転校生。お前、宮内のチームに無理矢理入れられたんだって? 可哀想に」
オレは頬を押さえて沈黙した。男子生徒はズカズカとオレに歩み寄り、オレの胸ぐらを掴んだ。
「あんな奴らのところなんか抜けてよ、オレ達のチームに入ろうぜ、な?」
「乱暴な勧誘だな」
オレが苦笑すると、男子生徒にまた頬を殴られ、アスファルトに叩きつけられた。挙げ句の果てに立ち上がろうとするオレの肩を踏みつけにされた。
「お前のことは聞いてる。特区外から来た田舎ものだろ? あんな意識高い系の連中とつるんでもつらいだろ。それに比べてオレ達のチームはいいぞ。できなくても怒ったりしないしよ。」
「オレが特区外から来たなんて誰から聞いた?」
男子生徒はオレの肩をさらに強く踏みつけた。
「んなことどうでもいいんだよ。入るのか、入らねぇのか、どっちなんだよ!」
オレは男子生徒との会話の噛み合わなさにうんざりし、深いため息を漏らした。
「こんな態度をする奴のチームになんか入るか、入ってほしければ土下座しろ、土下座!」
瞬間、男子生徒が牙を向き、足をあげた。そしてその足でオレの顔を踏みつけようとしたので、オレはアスファルトを転がって回避し、男子生徒の足を払い、男子生徒のバランスを崩した。その隙にオレは立ち上がり、男子生徒の大柄なボディに拳を数発叩きこんだ。それだけで、男子生徒は体を折った。オレは体を折り曲げた生徒の髪を掴み、人目の付かない校舎裏に引っ張った。そして校舎裏に人が確実にいないことを確認し、オレは男子生徒を壁に叩きつけた。
この時点で、男の戦意は喪失していた。オレを見る目は今にも泣き出しそうな子どものように潤んでいた。だけどオレは特に同情しなかった。オレは男のボディに拳を叩き込み続け、許してくださいと懇願するようになった頃に、この男子生徒を尋問した。
曰く、この学校の生徒達は憩依を嫌い、憩依を孤立させようとしているそうだ。そのため、憩依チームに参加したオレをチームから抜けさせようとしていたらしい。だからオレは、なぜ憩依がそこまで嫌われているのかを尋ねた。その答えは彼女が七光りと呼ばれていることに関係していた。それは噂ではあるが、憩依は高校入学時に強力な魔力を引き出すことができるデバイスを、彼女の父親から授かったという話だった。だから憩依は七光りと呼ばれ、生徒達から嫌われているとのことだった。
オレは男子生徒に礼を言い、男の急所を蹴り上げて男子生徒を解放した、男子生徒は悲鳴をあげて立ち去った。そしてオレは彼が見えなくなるのを確認し、図書館へ向かった。
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