はじめに
「ありふれた職業で世界最強」
という小説がある。
もちろん小説家になろうの中では、どの小説よりも遥かに凌ぐ力を持っているものだろう。
つい最近になればアニメ化もして、その認知度はかなり広まったものだ。
まさに世界最強の小説と言っても過言ではない、
だからこそ、この小説のタイトルにちなんで自分のことを、こう名付けてみようか。
「ありふれたバカで世界最弱」
ああ、これは本当に僕にとってふさわしい名前だね。
僕は何もかも奪われてしまった。
そうだ、「無敵の人」って知っているかな?
君は必ずや、知っているだろう。
この前京都アニメーションの事件で厄介を起こした人間がまさにその類なのだから。
とはいっても、断定することはできない。
まだ事件の動機に関する詳細が分かっていないのだから。
いったい事件の真犯人がどのような目的で計画を練り上げたのか、そして犯行に至ったのか、それはまだ明らかになっていないから断定することはできない。
しかし確実に言える事は、彼は何かを奪われてしまったということだ。
それは僕も同じこと。
何もかもをことごとく奪い尽くされた人間は何も失うものがない。
だから大胆不敵な犯行に至るわけだ。
もはや何もかもがどうでもよくなってくる。
何もかもを奪い尽くされてしまった、何もかもを失ってしまった挫折感、それを反動にさせることによって、何も失うことがないという事実を自分の糧にして凶悪な犯行に至る。
それこそがまさに、「無敵の人」の正体だ。
そんな当然だろう。
誰だってそりゃあ、人を殺したくなんてないさ。
でもどうしても、人を殺さなければならない状況まで陥ってしまうことがある。
そういうことになればもちろん、自分だけではなく他人も巻き込むことになる。
これには大きな心理学的な観点の焦点をあてられると思っているよ。