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第3話 公式なんていらないことをまだ信じられない方へ

アクセスいただきありがとうございます。最終話です。御覧ください。


 前話を読んでも納得できなかった方はいますか?


 実際にセンター試験に出された問題を解いてみましょう。

 2017年(平成29年)センター試験物理第5問抜粋


 はじめに、基本に忠実に媒質(地面)、音源、観測者の三つ視点から、波の速さの式を立ててみましょう。

 前話でまとめた三つの基本式を再掲します。


[1] 媒質(又は地面)から見た音の速さ

   V=f×λ          …………(基本式1)


[2] 音源から見た音の相対的な速さ

   V-vs=f×λ(vs)    …………(基本式2)


[3] 観測者から見た音の相対的な速さ

   V+vo=f(vo)×λ(vs)  …………(基本式3)


 まず、問1を解いてみましょう!

挿絵(By みてみん)




 媒質(又は地面)から見た音の速さは、題意のとおりです。基本式1においてf=f1です。


  V=f1×λ


 音源から見た音の相対的な速さは、音源が静止しているので、基本式2においてvs=0です。このため、観測波長λ(vs)はλのままです。


  V=f1×λ

  λ=V/f1


 観測者から見た音の相対的な速さは、観測者が音に向かっているので、V+vです。観測者は、音の波長λをそのまま受け取るので、

  V+v=f(v)×λ

  f(v)=f1×(V+v)/V >f1


 したがって、問1の答えは、

 観測者に聞こえる音の振動数は、「f1より大きく」なり、音源から観測者へ向かう音波の波長は「V/f1」である。選択肢でいえば、答えは⑧です。


 次は、問2を解いてみましょう!

挿絵(By みてみん)



 媒質(又は地面)から見た音の速さは、題意のとおりです。基本式1においてf=f2です。紛らわしいので、λ=λ0としておきます。


  V=f2×λ0


 音源から見た音の相対的な速さは、基本式2において、音源がvで音を追いかけているので、「V-v」です。振動数f=f2はそのままです。題意から、観測波長λ(v)=λで与えられています。したがって


  V-v=f2×λ


 観測者から見た音の相対的な速さは、観測者が静止しているのでvo=0です。 観測者は、λをそのまま受け取るので、


  V=f(v)×λ(v)


 いちおう、3式とも立てましたが、使うのは真ん中の式だけです。


 音源から観測者に向かう音波の波長は、


  λ=(V-v)/f2


となります。選択肢でいえば、答えは②です。


 最後に問3を解いてみましょう!

挿絵(By みてみん)




 この問題はドップラー効果の公式を暗記しているだけの人には解けないかもしれません。この問題では、反射板が登場しています。


 基本式に戻りたいと思いますが、登場人物(視点)が四つになってしまったのでしょうか? いえいえ、従前のとおり、登場人物(視点)は三つのままで大丈夫です。まず、反射板は、音源との関係では、観測者の立場になります。そして、観測者との関係では、新たな音源として扱えばよいのです。


 では「音源から見た音の相対的な速さ」と、観測者として振る舞う「反射板から見た音の相対的な速さ」を記述してみましょう。


 まず、音源から見た音の相対的な速さは、題意及び音源が移動していないことから、次のとおり。


  V=f1×λ


 反射板から見た音の相対的な速さは、反射板は音に向かっていくので「V+v」です。反射板はλをそのまま受け取るので、f2を観測振動数とすると、次のとおりです。


  V+v=f2×λ


 上記の二つの式をまとめると、


  f2=f1×(V+v)/V……(1)


 次に、音源として振る舞う「反射板から見た反射音の相対的な速さ」と「観測者から見た反射音の相対的な速さ」を記述してみましょう。


 音源として振る舞う反射板は反射音を追いかけるので、反射板から見た反射音の相対的な速さは「V-v」です。また、反射板は、疑似的な音源として、上記(1)で求めたf2をそのまま跳ね返します。このため、反射音の振動数はf2です。音源として振る舞う反射板が移動しているため、新たな観測波長λ′が生じます。以上から、反射板から見た反射音の相対的な速さは、


  V-v=f2(v)×λ′


 となります。観測者から見た反射音の相対的な速さは、観測者が静止しているので「V」です。観測者は反射音の波長λ′をそのまま受け取り、題意より振動数f3の反射音を聞いたのですから、基本式は次のとおりです。


  V=f3×λ′


 上記の二つの式をまとめると、


  (V-v)/V=f2/f3……(2)


 式(1)(2)を整理すると、


  f3(V-v)=f1(V+v)

  v=(f3-f1)×V/(f1+f3)


 選択肢でいうと、答えは①になります。


 いかがでしたでしょうか? ドップラーの公式を書き出さなくても答えを導くことができました。説明のため、基本式を丁寧に記述しましたが、慣れれば、必要な式だけ立ててもいいです。


 では、がんばってください。


御覧いただきありがとうございました。受験生のみんなに少しでもお役に立てたなら幸いです。なにか分からないことなどがあれば、コメントしてください。


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