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第七話
所詮は仲良しごっこだったと思い知らされた。
仲の良い親子関係はどこにも存在せず、それはただ私たちの作り上げた虚構の産物に過ぎなかった。
形だけの仲直りと感情に任せたやりとりを積みかさねても、何も変わらないとわかったのは、4度目に家を出た時だった。
バイト中に迎えに来た母に、私がおぼえたのは恐怖心でも安心感でもなかった。
――ああ、またこれを繰り返すんだ。
今までの反省を言って、たられば話をして落ち着いて、そうしてまた一定の間、何が楽しいのかもわからずに笑って会話をして、ヒステリーに耐えて。
大学に行かせてやってるという言葉を盾にして時に槍にして、絶え間なく続くこの応酬にこれ以上付き合うのはもううんざりだ。
解決策の希望は、彼女の一時の感情のみで全て潰される。
先を見ないでその場しのぎのやりとりで満足するのは母だけで十分だ。
「いい加減にしてよ!」
その言葉をなぜあなたが吐く。
義務も仕事も放棄して、自己犠牲の精神が美しく輝く所のみを実行し、持ちもしない忍耐をしてそれを美徳と言うならば。
生きようと思った。自分自身で。
どうせもう半年後は成人だ。