1-3 不審者以下、泥棒以下
身支度を終え、出口へと向かう。
これもまた変わらない日常。
「、、、」
俺は扉を開けようとドアノブを掴もうとした。
が。
「たのもー‼‼‼‼」
そんな明るい声と共に、扉が開いた、それも勢いよく。
「うごほぉ!?」
俺は独りでに開いた扉に反応できず、頭を角で直撃。
「えぇ!?立て付け悪いの!?このッ」
扉が締まり、再び開かれる。衝撃と痛みで動けなくなっていたせいで、再度頭に直撃。
「うがァ‼」
俺はまた呻き声を挙げた。
もはやこのダブルパンチに勝るものはあるまい、俺は倒れ、扉が直撃した部分を抑えて叫んだ。
「いっ、、、、、てぇぇぇぇ!?」
疑問形なのは、何が起こっているかがわからないからである。
何せ、扉が独りでに動いたのだから。
「え?誰?」
そこでようやく気付いたのか、声の主が中に入ってきた。
いや、入るなよ。
「いっ、、、てぇ、、、、。って、おいお前‼なんだ!?不審者か?泥棒か!?生憎ここには盗ものなんて無いぞ!?帰れ‼」
俺は痛みに悶えながら叫んだ。
入ってきたのは、俺と同じ身長の女性だった。
俺は痛みを堪えて勢いよく立ち上がり、その女性をにらめつけた。
全体像を見て、
彼女の顔は一切詫びている色を見せてはいなかった。
俺を見る目は、明らかに「疑問」を表していた。
俺はその女性に迫り寄り、野次を飛ばした
「お前!なんで気づかないんだよ!」
「あ、あれ?立て付けが悪いんじゃなかったの、、、?」
「えぇ!?」
その反応に驚くわ!
「はわわ、、、もしかして、立て付けが悪いんじゃなくて、貴方が居たから、、、?」
女性は頭を抑えてうろたえている
頭を抑えたいのはこっちだ。
「そうだよ!扉をあんな勢いで開けるんじゃねぇ!危ないだろ!?」
「あっ、、、!ごめんなさい!わざとじゃないんです!」
と、掛けていた眼鏡を外し、頭を必死に下げ、謝って来た。
反省はしているようだが。
「、、、いてぇ、、、反省してるんだろうな?」
ちょっとした仮りが出来たな、これ。
本当に痛い、同じ所を打ったせいで余計に痛い。
氷で冷やさなきゃだな。
「はい、、、反省してます、、、」
これ以上起こる理由も無いので、目的を聞くことにした。
「あー、、、なんだ、なにか用か?ここはただの家だぞ、」
身なりからして旅路の途中に見えなくもないが。
彼女は頭を上げて眼鏡をかけ直して。
「恐らくそうとは思ったんですけど、、、色々と尽きてしまって、、、」
やはり旅路の人だったか。
なら、話は早い、さっさとあげるものをあげて旅路についてもらうのみ、だ。
と、そこで俺は備蓄の食料が尽きていた事に気付き、軽くため息を吐いた。
「、、、あー、すまんが、ちょっとここで待っててくれないか?いま、食べ物切らしてるんだ」
家にこの女性を置いておくと言うのも危険な気がするが、対して高価なものなどある筈も無いので、思い留まった。
「え、、、買って来てくれるんですか、、、?」
そうゆう訳では無いのだが。
「ついでだよ、ついで」
そう言って、俺は丘を下り始めた。
「あ、、、ちょっと、、、」と投げかけてくる言葉を無視し、そそくさと歩き続た。
暫く歩くと、背後に気配は無くなった。
もう追いかけては来ないだろう。
俺は一息付いた。
「ふぅ、、、」
なんだったんだ、、、本当に。
なんにせよ余り関わりたくないもんだ、
、、、。
一瞬、小さな少女と、年老いた老婆が脳裏に映った。
関わったとして、俺が痛い目に会うだけなのだから。




