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プロローグ~ひとときの夢~
この話は高校の頃書いた話をベースにしています。
……ん………ちり……ちりん…
どこからか音が聞こえる…
近くのような…遠くのような……
…りん………ちりん…
少しずつ鮮明になる
あれは…鈴の音……?
…ちりん
目の前で音が…鳴り止んだ
「……」
ふと…名を呼ばれた気がした
「…っ」
顔をあげるが眩しさに目がくらむ
「…き」
懐かしい優しげな声音
「……うき」
愛おしげに呼ぶその名は確かに私のものなのに
…ちりん
貴女がどんな表情をして《私》を呼ぶのか
貴女がなぜ何度も何度も《名》を呼ぶのか
「…??」
…光で隠れた貴女の素顔
頬を伝う滴がそれを教えてくれた
「どうして…」
どうして貴女は泣いているの…?