3.結果および考察
図3に自重を模擬した強制変位がバケツプリンに与えられた際の垂直方向の応力分布および変形図を示す.図より,垂直方向応力はプリン全体の1/3程度の高さの外周面で最大値を取ることが分かった.また,応力最大点近傍でプリンが外側にたわむことがわかった.また,プリン頂面においては外周よりも中央部ほど応力が高くなることがわかった.
【Element result:cross section】
【Element result:Outer peripheral surface】
【Node result:cross section】
【Node result:Outer peripheral surface】
Fig.3 Analysis results
図4に実際の調理実験によって得られたバケツプリンを,図5にその断面を示す.このとき,調理によって得られたバケツプリンの寸法と形状は解析モデルとほぼ同様であった.図より,今回製作したバケツプリンは自重崩壊を引き起こすことなく問題なく自立することがわかった.また,プリン内部は垂直方向,およびせん断方向共に均質で一様であることもわかった.また,底部に流し込んだカラメルソースは一部が底部プリン液と混合し,全体として通常プリン,カラメル混合プリン,カラメルの三層となることがわかった.
Fig.4 Cocking result of pudding
【(a) Vertical direction】
【(b) Shear direction】
Fig.5 Cross section of pudding
このとき,図3の解析によって得られたプリンの変形形状と,図4の調理実験によって得られたプリンの変形形状を比較すると,調理実験によって得られたバケツプリンは解析によって得られたプリンの変形形状と同様に,プリン全体高さの1/3程度の高さの外周面で外側にたわんでおり,プリン頂面では中央部がくぼんでいることがわかった.このことより,今回構築した解析モデルは妥当であることが示された.以上より,バケツプリンにおいて自重崩壊を引き起こすき裂の発生点は解析によって取得された応力最大点近傍,すなわちプリン全体高さの1/3程度の高さの外周面であることが推測される.そのためバケツプリンを制作する際は,なんらかの方法を用いて応力最大点近傍を強化することで自重による崩壊を防ぐことができると考えられる.