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破滅の魔導王とゴーレムの蛮妃  作者: 北下路 来名
第6章 襲撃の冒険者
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第65話 道草と緑色のナイフ


 

 ゴーレムの里は、今日も快晴だ。

 抜けるように空が青い。その青と所々に流れる雲の白が、緑の山々のなだらかな稜線と重なり、非常に美しいコントラストを生み出している。


 シドル山脈沿いのこの地域は、比較的降雨量が多い。しかし、ここ一週間以上は見事な快晴の日が続いていた。おかげで藩都への旅行中も、最後まで一度も降雨に見舞われずに済んだ。

 どうもテテばあさんは、この天候を見越した上で藩都への旅程を組んでいたようだ。行き当たりばったりのように見えて、その実、何ごとにも抜かりのない、恐るべきばあさんである。


「……この世界は本当に空が綺麗だなぁ、ゴレ」


 俺は斜め後ろを歩く相棒に話しかけた。

 現在、ゴレとふたりで、ばあさんの屋敷へと続く緩やかな坂道をのぼり始めたところだ。

 先ほど里の入り口付近にある雑貨屋で、調味料を買った帰りなんだ。

 昼間に書斎へ記録石板を設置し終えたテテばあさんは、その後、夕食の支度にとりかかった。この際に、必要な調味料が切れかけていることが判明したのだ。そこで暇な俺が、こうして近所までお使いに出されたというわけだ。

 俺が屋敷から出かけることに気付いたゴレも、いそいそとついてきた。こいつ台所仕事を放り出してきたようだが、大丈夫なのだろうか。


 と、このとき背後から、甲高い子供の声がした。

「あっ! ネマキじゃん」

「ネマキだー!」

 呼ばれた声に振り返ると、見覚えのある鼻たれ小僧を先頭に、数人の小さな子供達がわらわらと駆け寄ってきた。里のガキどもだ。

 こいつら、俺のことは呼び捨てである。もっと年長者を敬ってほしい。まったく、しつけのなっていないクソガキどもである。

 まぁ、だが、その程度は大目に見よう。俺は寛容だ。

 それに、子供は同類を見抜くというしな……。


 リーダー格の鼻たれ小僧、名前をエオルという。

 この小さな少年は、ある意味で、例のシドル山脈の牛大量虐殺事件の発端ともいえる人物だ。病気の母親のために、危険な山の中腹まで単身薬草探しに行ったという、例の命知らずな子供がこいつである。まぁ、自生地の場所すら知らなかったせいで、薬草はろくに見つけられなかったみたいだけどな。

 ちなみにこいつは、我が『ババアの杖被害者の会』の副会長でもある。

「よう、エオル。お母さんの具合はどうだ、良くなったか?」

「うん! 母ちゃんおとといから、いえの中を歩いてるぞ! 今日も朝、べんとう作ってくれた!」

 少年は満面の笑顔だ。

 本当に母親の経過が良好なのだろう。俺もほっと安堵した。

「そうか、良かったな」

 鼻たれ小僧の毬栗(いがぐり)頭をぐりぐりとなでてやると、笑顔のエオルの顔から、水っぱながたらりと垂れた。

「つうかお前、また鼻がたれてるじゃないか……」

 まったく、世話の焼けるガキである。

 ため息混じりに懐からちり紙を一枚取り出し、エオルの鼻に押しあてた。

「ほれ、ちーんしろ」



------



 騒々しい子供集団に群がられてしまった俺は、他の通行人の方々の邪魔にならないよう、坂の脇にある石垣に腰かけた。

 ゴレも当然のように、俺の左隣にしっとりと腰を下ろす。

 右隣の石垣には、エオルがぴょんと飛び乗った。猿のごとく身軽なやつである。

「なぁなぁ! ネマキは、こんなとこで何やってたんだ?」

「俺はテテばあさんのおつかいだよ。……お前らの方こそ、どうしたんだ? 大勢でぞろぞろと」

「おれたちは、塾の帰りだぞ!」

「ああ、なるほど。もうそんな時間帯なのか」

 彼らくらいの年代の子達は皆、里の“私塾所”と呼ばれる所へ通っている。読み書き等を習うためだ。


 この私塾所というのは、学のある一般私人が開いている教育施設だ。おそらく、寺子屋みたいな物なのではないかと推測される。どうも、これがこの世界における、一般的な義務教育程度の水準にあたるようだ。

 この世界の一般人は、皆知識やモラルの平均がわりと高い。ハゲなどが良い例だろう。日本で高等教育を受けた俺と対等に口喧嘩をし、計算や契約書作成をそつなくこなすあいつは、ああ見えてド平民だ。

 まぁ、あいつは多少優秀な部類ではあるだろうがな。

 実際のところ、この世界の市井の人々のモラル水準というのは、雰囲気的にやや近似している中世暗黒時代の欧州のモラルなんぞとは、まるで比較にならんレベルに高い。皆さんおおらかでのんびりしているが、決して無知蒙昧な人々というわけではないんだ。これら平民の教養や治安レベルの高さは、俺の感覚からすると、むしろ文献などで読む江戸期の日本のそれに近いかもしれない。

 おそらくその理由の一端は、こういった教育制度にもあるのではないかと俺は見ている。

 ……うん。やはり私塾所は寺子屋だな。間違いない。


 この里の私塾所も、里の中のわりと一般的なご家庭の一部を改築して開かれているようだ。教師も、おばあさんと孫娘さんの二人でやっているという話だ。このおばあさんは、元々この国の帝都で教鞭をとっていた人なのだそうな。要は、素人ではなくきちんとした本職の人間だ。


 ちなみにエオルの話では、お孫さんの方は二十代独身。

 優しくて美人で、お胸が大きいお姉さんらしい。

 あと、近くにいると、何だかすごく良い匂いがするそうだ。


 くっそおおおお! 何て恵まれた天国のような学習環境で学んでいやがるんだ、ここのガキどもは!!!

 しかし、死ぬほど残念な事に、俺は大人なので私塾所へは通えない。弟や妹もいないし、テテばあさんの家にも小学生はいない。当然ながら私塾所には何の接点もない。むしろ周辺に出没すれば、完全なる不審者として通報されるだろう。

 こうしてガキどもと遊んでいるときにたまたま先生が通りかかり、純粋な子供達と戯れる優しい俺の姿に胸の鼓動が高鳴った彼女と、あれよあれよという間に良い感じに……などという運命力は俺にはなかった。

 俺がクソガキに群がられていても、里のお年寄り達からの好感度がガンガン上昇していくのみである。

 俺と年上美人教師とのフラグは、1ミリたりとも立つことはなかった。

 無念だ……。

 辛い……。


 ま、それについてはともかくだ。

 私塾所は、朝から大体午後のこの時間帯まで授業がある。エオル達が今ぞろぞろと集団下校しているのは、つまりそういうことだ。朝ごはんを食べてから登校し、お昼はお弁当を食べて、夕食前にはきちんと家に帰っているという感じらしい。

 こういうところは、元の世界の小学校とそう変わらないな。

 ただ、この塾は毎日開かれているというわけではないし、出席もある程度は自由でルーズみたいだ。実にのんびりとしていて、この世界の人達らしいと思う。


 それにしても、この里には、こうしてきちんと子供達のための教育環境が用意されているのだ。

 この事実には、俺も最初少し驚いた。

 ゴーレムの里は確かに規模の大きな集落だが、それはあくまで、無駄にでかい屋敷が多いせいである。総人口でいえば、おそらくティバラの街なんかよりもずっと小さい。それに、山奥だ。

 でも、ちゃんと学校があるんだ。里の中には、病気の人を診てくれる診療所なんかもある。他にも、ちょっとした生活用品なら、里の入り口付近の雑貨屋で大体揃う。それこそ、先ほど俺が買った調味料のように。

 この雑貨屋も、俺は当初個人商店かと思っていたのだが、話を聞いてみると、どうやら元の世界でいうところの、生活協同組合に近い性質のもののようだ。

 共同体として、驚くほどにちゃんと生活環境が整備されているのだ、このゴーレムの里と呼ばれる辺境の集落は。

 何だか不思議だよな。学校もコンビニもない日本の限界集落なんかより、よほどしっかりしているんじゃないか? この世界では、どこの村もこんな感じなのだろうか……?


 ぼけっと異世界の不思議村落社会について思いをはせていたとき、俺の持っていた紙袋の中身を見たエオルたちが声をあげた。

「あー! 露梨(つゆなし)だー!」

「げっ!? おいこら、貴様ら勝手に他人の買い物袋を漁るんじゃない!」

 何てしつけのなっていないガキどもなんだ。油断も隙もないぞ。


 子供達が見つけたのは、先ほど調味料を買った際、店のおばあちゃんからおまけで数個付けてもらった果物だ。

 雑貨屋の店番をやっているおばあちゃんは、やたらと俺のことを気に入ってくれていて、お使いに行くと決まって「ネマキ坊、ネマキ坊」と言いながら、毎回採算を完全に度外視した量のおまけをくれる。

 なんでも昔遠い戦地で亡くなった旦那さんに、俺の目付きが鋭いところがそっくりらしい。

 俺、そこは地味にコンプレックスなんだけどな……。

 まぁ、いいけども……。


 露梨と呼ばれた薄黄色の果物は、そう言われてみると確かに、梨のような形をしている。

「へえ、これ露梨っていうのか。美味いのか?」

「あまくて、ちょううまいぞ!」

「おいしー!」

 口々に叫ぶ子供達。中にはよだれを垂らしている子もいる。まったく、意地汚いガキどもである。


「ふぅん……。じゃ、今から皆で分けて食おうか」

「やったああ!」

 子供達から歓声が上がった。

 まぁ、こいつら育ち盛りだしな。ひもじい子供達に栄養を与えるのは、避けては通れない大人の義務だ。仕方がない。

 それに時間的にも、ちょうどおやつ時だ。


 俺は緑色の金属ナイフを取り出し、ゴレに手渡した。

 彼女は美しいナイフさばきで、黄色い梨をお上品に切り分けていく。

 綺麗にカットされた梨を、一切れずつ子供たちに与えた。

 そのうちの一つを、俺も手に取って眺めた。

 見た目は梨のような、そうでもないような……。俺の知る梨よりは、サイズが少し大きいか。

 一口味見をしてみた。

 ……うん、非常に甘味が強くて、あと、水気が多い。

 さして深みのある味わいでもないし、大人の味覚からすると、可もなく不可もなくといったところだ。だが、確かにこのシンプルで強い甘味は、子供達が好みそうだと思う。


「ネマキおにいちゃん、ありがとう」

 梨を一切れ手渡すと、おさげ髪の小さな女の子が笑顔でお礼を言ってきた。

 こんな風に女の子は、俺のことを呼び捨てにせず、きちんとお兄ちゃんと敬称をつけてくれる。年長者への対応をよく分かっている。流石だ。アホな男子とは違って、女子はこの年頃からすでに賢い。



 ……そういえば、最近はこうして小さな女の子が、普通に俺のそばに寄って来るようになっている。



 この世界の若い女性達とまるでフラグが立たない体質の俺なのだが、どうやら10歳以下まではセーフになったみたいなのだ。

 当然ながら10歳以上の女の子になると、大人の女性達と同じくまったく近寄ってこない。辛い……。

 それでも、以前は俺に近づいてくれる女性など、おばあちゃんと乳飲み子くらいのものだった。そこから比べれば、どえらい進歩だ。


 接見可能年齢が10歳まで引き上げられた原因は、俺にも良く分からない。

 だが、時期的には、どうもテルゥちゃんと別れた前後くらいから変化が見え始めたように思う。幼女先輩としばらく過ごしたことで、俺の対異世界女性スキルが若干上がったのだろうか……?

 何にせよ、良い傾向だ。

 このまま順調に接見可能年齢が引き上げられていけば、そのうち同年代の女性も、逃げずに俺のそばに来てくれるようになるかもしれない。異世界非モテライフに終止符を打てる未来が、いつか訪れるかもしれないのだ。

 その日だけを夢見て、辛い今日という現実を乗り切ろう。

 俺は決意に拳を握りしめた。

 隣に座っているゴレも、小さな女の子と仲良く話す俺の様子を、まるで無害な犬ころと戯れている姿を眺めるかのごとく、穏やかな優しいまなざしで見守ってくれている。


 そんな心穏やかに梨をカットする天使のごときゴレの姿を、子供たちが目をきらきらさせながら見ている。

 このときエオル少年が、ゴレの持つ緑色のナイフを指さして言った。

「なぁなぁ、ネマキ。そのゴレタルゥが使っているナイフって、メセルでできたやつだろ? テテ先生にもらったのか?」

「メセル? ……あ。ひょっとして、この緑色の金属はそういう名前なのか?」

「そうだぜ! みどり色でぴかぴかだろ、これ、ぜったいメセルだぜ!」

 この謎金属、メセルというのか。

 リュベウ・ザイレーンの隠れ家から持ってきた、緑色の不思議な金属で出来たナイフ。無断召喚と記憶喪失の慰謝料代わりにかっぱらってきた品だ。非常に軽くて切れ味も抜群に良く、とても重宝している。


 このナイフには、元々立派な鞘がついている。

 だから、日ごろからベルトに下げて持ち歩くようにしていた。

 別に護身用なんて仰々しい物ではない。そもそも、ゴレがいるから護身の必要なんてないし……。

 携帯している理由は単純。よく使うからだ。

 現代日本の都市生活では、ナイフなど台所以外では滅多に使用しない。だが、この世界だと普段の日常の中で、俺の想像もしないタイミングでナイフを使うときがあるんだ。

 用途は本当に様々だ。ちょっとした食べ物を切ったり、木を削ったり、ペーパーナイフ代わりにしたり。他にも色々とちょこちょこ使用する。

 現に今もナイフを携帯していたおかげで、こうして助かっている。往来で〈土の戦斧〉を生成して果物を切り刻むわけにもいかんしな。


 まぁ、実際にこのナイフを使うのは、俺よりもゴレであることの方がはるかに多いわけだが。彼女は俺に食品をカットさせてくれないので、俺はほとんどナイフを腰に差しているだけの人状態である……。


 そんなゴレ愛用のメセルのナイフを指して、エオルは何やら得意げだ。

「シドルのお山では、メセルのこう石がいっぱいとれるんだぜ!」

「いっぱいじゃないよ。川ぞこの石にまじっていたり、がけくずれのときに、ときどきメセルのかけらが出てくるんだよ」

 エオルの適当な解説を、物知りそうな男の子が補足した。

 へえ、メセルという鉱石は、特定の鉱脈から採掘されるわけではないのか。何やら珍しいな。川底から出るというと、まず思い浮かぶのは砂金だ。案外こいつも希少金属の類なのだろうか。

「……ひょっとして、このメセルって金属は結構高かったりするのか?」

「このナイフ1本で、ゴーレムかっちゅうが何こも買えるよ!」

 すかさず物知り少年が教えてくれた。

 ゴーレム甲冑というと、例の硬魔岩(こうまがん)とかいう特殊石材製の、ゴーレムの増加装甲のことだ。

 マジかよ。あれ結構高そうだぞ。

 ……これからはもう少し大切に扱おう、このおナイフ様のことは。


「にしても、ネマキはほんとに、なーんも知らねえのな!」

 チビのエオルが石垣の上でふんぞり返って、どや顔をしている。

 うるせえ! 俺は貴様等と違って、恵まれた義務教育を受けていないのだ!

「ネマキは外国から来たばかりだからしょうがないよ」

 物知り少年がフォローしてくれている。お前は本当にいいやつだな。アホのエオルとは違って、将来はきっと大成するだろう。


「しかし、まさかシドル山脈がこの緑色の金属の産地だったとはな……」

 あらためて、メセルという鉱石製らしい、そのナイフを眺めた。

 緑色の刀身が、神秘的な輝きを放っている。

 その複雑な煌めきは、反射する光の加減でさらに微妙なグラデーションの変化を見せる。こうしてじっと見つめていると、その美しさに惹きこまれそうだ。

 元の世界では、少なくとも俺はこんな金属を見たことがない。この世界にしか存在しない鉱物なのかもしれない。


 不思議な異世界金属を検分する俺に、隣からエオルが話しかけてくる。

「大むかしにシドルのお山で、不死みのきょ人と、メセルでできたでっかいゴーレムがけんかをしたんだって。そんでもって、やられたメセルのゴーレムがばく発して、お山じゅうにメセルのかけらがちらばったらしいぜ!」

「へー、そりゃ凄いな。マジか」

 なるほど、特産の金属にまつわる土着の伝承があるのだろう。

 実に面白い話だ。元の世界でも、こういった産物のルーツにまつわる神話じみた昔話はよく聞いた。だが、この世界のおとぎ話ともなると、やはりファンタジー色が全開のようだ。しかも怪獣大決戦とは趣味が良いではないか。俺もそういうの、嫌いじゃない。

「メセルのゴーレムは、口からかみなりを出すんだぜ!」

「ちがうよー。殺されたのは、メセルのうろこの大きな竜だよ」

「まっ黒でこわいきょ人は、手や足を切ってもどんどん生えてくるし、火やかみなりで焼いても、すぐなおっちゃうのよ。だから、ぜったいに死なないの」

 子供達がてんでに勝手な解説をはじめた。

 別にどんな化け物でも構わないのだが、お前ら、もう少し話を整理してから語ってくれ。義務教育を受けていない俺の常識力は、お前達以下なんだ。情報の取捨選択などできないぞ。


 と、このとき、エオルが目を輝かせながら言った。

「でもさ、でもさ! ネマキなら不死みのきょ人だって、メセルの大ゴーレムだって、ぜんぶやっつけられるんだろ!」

「……は?」

 いきなり何を言い出すんだお前は。

 そんなもん、どう考えても潰されて即死するわ。


 見れば、他の子達も皆、一様にきらきらと目を輝かせて俺を見ている。

 まさかこいつら、本気で俺が怪獣を倒せると思っているとでもいうのか?

 一体どこ情報だ、それは。

 ……おい、マジでやめてくれ。

 そんな目で俺を見るな! 幼い無垢な瞳の輝きが重すぎる!!!

 いわれなきプレッシャーで、俺の精神が押しつぶされてしまうだろうが。

 お前達は俺を一体何だと思っているんだ。俺はただのゴレのヒモで、どうしようもないザコだぞ。


「ま、待ってくれ。なぜ俺がおとぎ話の巨人を倒せるなんて話に……」

「父ちゃんが言ってたぞ! お山の大やぎをたおして、やく草をとってきてくれたネマキは、ちょう強いでんせつのゴーレムつかいだって」


 お、お父さんんんんんっ!!!

 犯人はあんたか! 子供に適当な事を教えるのはやめてくれ!

 

 


 

   

 ~名前について~

 今回は、シドル(山脈)、エオル(鼻たれ少年)、メセル(金属)……と、出てくるカタカナ単語の末尾が、実は「ル」ばかりでした。

 シドルとエオルの語尾の「-oru〔ɔːl〕」の音は、意味がまったく同じです。男性名の末尾に付きます。この世界の山は、男性名を冠している場合がわりと多いんです。


 同様の例として、テパオール麺の「テパオール」などがあります。

 これも、末尾が「-oru」になっているケースですね。これらは日本語でいうところの、太郎や次郎の「郎」に相当する部分といえば分かりやすいでしょうか。



 ただし、希少鉱物“メセル”だけは……。

 その名称の由来が、まったく違います。

 

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