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破滅の魔導王とゴーレムの蛮妃  作者: 北下路 来名
第5章 ゴーレムの里
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第59話 マダムと観光


 

 ダンディな御店主の魔道具屋での買い物は無事終わった。

 購入した魔道具の調整や梱包には、少し時間がかかるようだ。明日の朝、改めて受け取りに来てほしいとのことだ。

 俺もハゲショップで2週間のアルバイト(※ただし内容はベビーシッター)をしていた身だが、店側で調整が必要な魔道具というのは、今回初めて聞く。テテばあさんが買った記録石板というのは、何か特殊な魔道具なのだろうか。

 

 ともあれ、まだ昼時だ。宿に行くには、随分と時間がある。

 賑やかな藩都サラヴの街を、ばあさんとゴレと、三人で歩いた。

 ばあさんにはまだ藩都でいくつか用事があるみたいなのだが、俺の気分は、すでに完全なる観光モードである。

 屋台で買ったケバブみたいな料理を食べながら、街を眺めつつ歩いていた。


「それにしても、ここは本当に賑やかだなぁ」

 俺は周囲の繁華街を見渡した。

 さすがにこのサラヴは藩都と言うだけあって、俺がこの世界で見てきた都市の中で、間違いなく最大の規模を誇っている。例のペイズリー商会の支店があったジビルの街もわりと人出があったが、それでもこの藩都とは比較にならない。

 人の溢れる通りには、雑多な店舗が所せましと並んでいる。

 様々な工芸品に、肉や野菜、果物などの食品……。

 ここは魚も多く売っている様子だ。

 そうか、サラヴには港があるのだった。きっと海産物も大量に入るのだろう。

 この都市には、一体どんな海産物があるのだろうか。

 

 ばあさんの家でも、よく魚料理が出る。

 この世界の魚は天然物で身がぷりぷりしていて、めちゃくちゃ美味いんだ。

 通りの魚屋にならぶ魚の数々は、どれも新鮮そのものだ。

 これっておそらく、氷の魔術か魔道具を使っているのだと思うのだが、実に便利な物だ。

 おお! 何だあの、見たこともない巨大な黄色い魚は?

 幼稚園児のごとき好奇心に満ち溢れる俺は、魚屋の方にむかって、何の脈絡もなく唐突にふらふらと歩きはじめた。ケバブもどきを食べながら。

 完全な迷子フラグである。

 だが、寄り添うゴレは、当然ながらそんな俺をまるで止めない。

 俺達コンビにおいて、基本的に俺にはツッコミが不在だ。

 

 しかし幸か不幸か、今回は強力なストッパーであるテテばあさんがいた。

「馬鹿たれ、何やってんだいネマキ! さっさと付いてこないとぶっ叩くよ!」

「はっ!?」

 正気に戻った俺は、渋々ばあさんの列へと復帰した。

 ぶっ叩かれるのは困る。

 そんな事になれば、またゴレが里の掟を破って牛を呼んでしまうだろう。



「それにしても、もぐもぐ、このけばぶみたいなのは、んぐっ、んまいな」

 先ほどから食べている、このケバブみたいな異世界料理。ボリュームたっぷりな具材は、新鮮な葉野菜と脂のしたたる羊の肉だ。甘辛いソースと肉汁が生地に絡んで、食いごたえがある。

 ただ、でかいので、どうしてもソースなどがこぼれる。

 慣れないケバブもどきに苦戦する俺は、何度もソースで口元を汚していた。

 だから、ゴレがわざわざ斜め後ろから隣にまで移動して、つきっきりで口元を拭いてくれている。服にソースを垂らしそうになると、さっと手で防いでくれる。マジですまんな、相棒……。


「ネマキは食べ方が下手くそだねえ」

 一緒にケバブもどきを食べているテテばあさんが、あきれ顔でそう言った。

「……食いにくくないか、これ?」

「ほれ、こうやって食べるんだよ」

 そう言うと、ばあさんはケバブもどきの生地の端の方を軽く指でつまんで、こぼさず鮮やかに噛み切った。

 なるほど、そうやって食うのか。さすがは年の功というやつだ。


 ゴレにソースまみれの口元を拭かれながら、サラヴの街並みを眺めた。

 この街の建築は、実に面白い。

 建物の2・3階くらいの位置に、アーチ状の橋のような渡り廊下がかかっているのだ。その橋によって、随所で建物同士が空中でつながっている。

 それらは街に、立体的で独特な景観を生み出していた。

 そんな空中回廊を下から見上げていて、そこを歩いている影に気付いた。


「……あ、聖堂ゴーレムだ」


 橋の上を、飼い主に連れられたゴーレムが1体歩いている。

 灰色の素体の、ギリシャ彫刻の女神像みたいなゴーレム。

 白色ではないが、ゴーレムの素体の色というのはいくらでも変わる。そこまで重要な要素ではない。関節の継ぎ目が見えない女神像である以上、その姿は一見間違いなく聖堂ゴーレムだ。

 しかし俺の目は、そのゴーレムの一点に釘付けになっていた。

「あれ? 聖堂ゴーレムなのに、胸が……」

 このゴーレム、爆乳ではないのだ。

 まぁ、それでもゴレの胸よりは数段でかいが。

 正統派の巨乳といった風情である。


 俺の視線に、テテばあさんも気付いたようだ。

 同じように、空中回廊を歩く灰色の聖堂ゴーレムを見上げた。

「ああ、聖堂ゴーレムがいるね。サラヴには貴族連中も多く住んでいるし、ああして見かけることもあるよ」

「貴族……?」

 あっ。噂に聞く、貴族が連れているパチもんの聖堂ゴーレムというのは、まさかあれのことか。

 たしかにゴーレムを引き連れている女性は、ドレスのような綺麗な衣装に身を包んだ、良いところのマダムといった雰囲気だ。


 灰色の聖堂ゴーレムは、見たところ、鎧も武器も装備していない。

 いや、よく見れば、腰に短剣をつり下げているようだ。

 といっても、豪華な装飾のほどこされた、刃の薄い普通の金属の短剣みたいだ。ギネムの道化ゴーレムが使っていたような、ごつい石の短剣ではない。

 あれはおそらく対人戦用の武器だろうな。

 ゴーレム戦で使うと、あっさり刃が折れて終わりだと思う。


 灰色ゴーレムの瞳の色は、ダークイエローっぽい。

 あと、気になるのは、後ろ髪の長さだ。

 聖堂ゴーレムというのは、普通は皆、腰までかかったロングヘアだ。全員顔つきなどは微妙に違って個性があるが、髪の長さと胸の大きさはほぼ統一されていたように思う。

 しかし、今そこを歩いている灰色は、髪が少し短い。

 なんとなく、飼い主のマダムの髪型とお揃いっぽく見える。

 これはもしや、飼い主の好みで外見がカスタマイズされているのだろうか。


 ……なるほど。

 一般の人からすると、ゴレはこういったゴーレムの一種に見えるわけか。

 どうりで俺が頻繁に貴族と勘ちがいされたり、個性の際立つゴレの容姿に対しても、瞳の色が赤いことくらいにしかツッコミを受けなかったりするわけだ。


 そのとき、マダムが俺の視線に気付いたようだ。

 ちらりとこちらを見たマダムと、目線がかち合った。

 俺を見たマダムは、扇子で口元を軽く隠しながら、柔らかに微笑んだ。

 そのまま彼女はゴーレムを引き連れ、回廊を優雅に歩き去っていく。


 すごいな、あれがこの世界の貴族か……。

 何だかよくわからんが、セレブ感がすごかったぞ。

 去りゆく彼女達の背中を見送っていた俺だが、この時ふと気になって、隣に控えるうちの相棒の姿を横目でちらっと確認した。


 う、うわぁ……。ゴレのやつ、すごくイライラしているなぁ。


 ギラギラと燃えさかる深紅の瞳が、空中回廊をにらみつけている。

 俺のこぼすケバブソースを拭く重要任務さえなかったら、すぐにでもマダムと灰色聖堂ゴーレムに噛みつきに行きたそうな様子である。

 彼女達が歩いているのは、位置的には建物の3階くらいの高さだ。

 が、ゴレにとってそんな物に意味はない。こいつのジャンプは、低いビルくらいなら余裕で跳び越す。


 危険を感じた俺は、慌ててケバブもどきを口元に塗りたくった。

 そして、ソースまみれの顔をゴレに突き出した。

「……ん。ゴレ、早く拭いて」

 その瞬間、ゴレの瞳が放っていた剣呑な光が、甘ったるい輝きに変わった。

 彼女は耳をぴくぴく動かしながら、うれしそうに俺の口元を拭きはじめた。


 よし、今こいつは、俺とケバブソースのことで頭がいっぱいになっている。

 頼む。今のうちに早く逃げてくれ、マダムと灰色よ……!



------



 マダム達を無事逃がした後、俺達は繁華街を抜け、藩都の中心部へと進んだ。

 ここまで来るともう、藩主の居城がわりと近い。どうやらこの辺り一帯は、役所などの公的な施設も多く存在している区画のようだ。


 ほどなくして、赤っぽい色をした立派な建物の前に到着した。

 ダンディの魔道具屋よりさらにでかい。下手をすると、元の世界の都市部の小中学校くらいのサイズはあるかもしれない。

 どうやらテテばあさんは、この建物に用事があるみたいだ。


「何だか、えらくでかい建物だな」

「ここが“魔術師協会”のサラヴ支部だよ。ようやく到着だね」

「……魔術師協会?」

 魔術師協会というのは、俺も聞いたことがある。

 たしか、俺のゴーレム格ゲー仲間であるギネム・バリが、そんな名前の協会に所属していたはずだ。

 ここがその魔術師協会なのか……。

 とはいえ、何をする組織なのかは、俺もまったく知らない。

「なぁ、ばあさん。こんな所に一体何の用事があるんだ?」

「そりゃあ、あんたをここに入会させるためだよ」

「……は?」

 初耳だぞ。

 テテばあさんは、俺をこの謎の組織に所属させるつもりなのか?

 ひょっとして、わざわざ俺をこんな遠方の都市まで連れて来たのは、それが理由だったのだろうか。

「何でまた俺が、こんなところに入会しなければならないんだ?」

「理由はいくつかあるがね。まず、魔術師協会の会員証は、強力な身分証明書代わりになるんだよ」

「……あー、そういうことか。たしかに俺、身分不詳だもんなぁ」


 なるほど。確かにそういうことならば、俺にとって決して悪い話ではない。

 正直、俺も身元の証明については、不安を持っていたところではあるのだ。

 住所不定・身分不詳・職業魔導王のままでは、警察に職質されたらアウトだ。それにこの世界でもきっと、身元が明らかでないと制限される行動は色々とあるのではないだろうか。

 このばあさんにしては、珍しく思いやりのある提案である。

 普通なら、特に拒否する理由もないのだが……。


 実は、ひとつ問題がある。

 この魔術師協会という、得体の知れない組織についてだ。

 考えてもみてくれ。この怪しい組織……元不良である、ギネムのやつが所属していた組織だぞ?

 ひょっとして、不良のたまり場なんじゃないのか??

 俺は不良や悪の仲間入りなどはしたくない。

 どうせこういった組織に入るのなら、俺は、冒険者ギルドとかに入りたい。

 こういう剣と魔法の世界にはきっとあるはずなのだ、冒険者ギルドが。

 俺は信じている。


 冒険者。

 それはファンタジー世界の花形職業である。モンスターや悪者を退治する、とてもカッコいい人々だ。

 本来の定義的には、おそらくもっと広い意味を含む言葉だとは思うがな。

 異世界に飛ばされた人は、だいたいこの職業で華々しい活躍をする。

 若者のあこがれの職業ナンバー1である。

 暴力へのモチベーションが著しく低い俺とて、その例外ではない。

 それは何故か? 決まっている。冒険者になれば、かっこよくて素敵な女性冒険者との出会いがきっとあるに違いないからだ。

 この世界、非情にもエルフは絶滅していたが、ひょっとしたら猫耳やうさぎ耳の女の子冒険者には出会えるかもしれない。俺はまだ希望を捨てていない。なにより、冒険者ってのはハードな冒険をこなす職業なのだ。幼女とおばあさんしかいないなんてことは、絶対にありえないはずだから……。

 あと、俺の希望的観測によれば、べつに無理に戦ったりしなくても、薬草やきのこ集めクエスト的なのを真面目にコツコツやればいいのではなかろうか。うちの相棒は、食べられる野草マスターだし。


「俺はどうせなら無難に、冒険者ギルドとかの方が……」

「はあ~~~~? 冒険者あ?」

 俺の呟きを聞いたばあさんが、食い気味に叫んだ。

「ネマキ、あんたまさか、あんなドブネズミ集団に仲間入りしたいってんじゃないだろうねえ!?」

「え、ええ?? い、いや。別に、そんなことはないが」

 し、しまった。

 ばあさんの剣幕が怖すぎて、思わず反射的に否定してしまった。

 しかも何だよドブネズミって、ひどすぎるだろう。泣くぞ俺。

 いや、それ以前に――


 ……この世界にも、冒険者という職業があるのか?


 自分でさんざん言っておいて何なのだが、これはちょっと意外だ。

 実は、半ば冗談のつもりで言っていたんだ。

 この世界に来てからこっち、俺は今の今まで、冒険者の「ぼ」の字も聞いたことがなかった。まったく雑談の話題に上って来たことすらなかったのだ。

 そうか。この世界にはいるのか、冒険者。

 少なくとも俺の辞書翻訳で、そう定義づけられる生業の人々が……。


「ま、まぁ、冒険者云々は置いておくとしてだ。もし協会への入会が必要になったときには、勝手に自分で入るよ。だから別に、ばあさんに入会の手伝いまでしてもらわなくても、大丈……ぶべらぁ!?」

 ババアの杖が俺の頬をぶっ叩いた。

「馬鹿たれ! そんな簡単に入れるわけがないだろうが! 今回みたいな場合、本当は正会員5名以上の推薦が必要なんだよ。そもそも身元不明の外国人のあんたじゃあ、普通は絶対に審査の段階で弾かれちまうよ」

「な、何ィ!? それハードルが高すぎるだろう! 希望者は皆入会できるもんじゃないのか?」

 こういう異世界での身分証明書は、軽く受付で書類にサインするだけで入手できると、相場が決まっているものだろうが!

 なんて俺に優しくない異世界なんだ、ここは……。


 俺の言葉にテテばあさんはあきれ顔である。

「あんたねえ……。だいたい、希望しただけであっさり会員証が入手できるなら、そもそも、そんな物には大した意味がないだろうが」

 そ、そういうものか?

 だが、言われてみれば、たしかにそんな気もしてきたかも……。


 ともあれ、なるほどな。

 どうも話を聞いている感じだと、つまり魔術師協会というのは、俺が想定していたよりも、社会的ステータスの高い組織なのではないだろうか? この様子では会員証というのも、単純な身分証ではないのかもしれない。

 ギネムのやつが入会しているくらいだから、てっきり俺も楽勝で入会できるのかと思っていたのだが、どうやらそうではないらしい。

 ギネムって、実は結構凄いやつだったのだろうか。

 でも、そんな感じはあまりしないよな。だって、ギネムだぜ?

 

「本来なら、あんたみたいなのは、入会どころか申請条件すらまるで満たしていないんだ。今回は、私の力で特別に協会に話を通してやるんだからね? 感謝しなよ、本当に」

「な、何……? ばあさん、あんたまさか権力者だったのか?」

 そんな事は初耳だぞ。それに、なんだか話が妙だ。

 本来なら俺は絶対に入会できないのに、ばあさんが無理矢理話を通す?

 もしかしなくても、それって正規の入会手続きではなく、テテばあさんの権力を利用したゴリ押し入会じゃないか。

 何ということだ。俺の大嫌いな行為ではないか!

「ちょっとまて。おい、ふざけるなよ。俺はそんな不当な権力を濫用した行為には、絶対に参加せんぞ! 俺が不当入会をすることによって、もしかして本来入会できていた人々が、正当な機会を奪われているかも……はぐうっ!?」

 ババアの杖が俺の肩を打ちすえた。

「何も出来ないひよっ子のくせに、生意気いってんじゃないよ!」

「くっ、たとえ卑劣な暴力を受けようとも、俺は絶対に悪に加担などしないぞ」

「ほおう? 一丁前に男らしいことを言うじゃあないか。……ネマキ、あんた随分と肩が凝っているみたいだねえ。ご褒美に叩いてやろう」

「な、何……?」

 あだっ! いでっ! ちょ、ポコポコと杖で叩くな。痛い、痛いっ!

 こんなバイオレンスな肩叩きがあるか!

 だから肩、あだっ! この、あうっ! ちょっ!

 こ、こっ……。


 この、クソババア~~~~!!!


 貴様、俺のことを舐めているだろう!

 もういやだ、絶対にいう事なんて聞かないぞ。

 もう俺は意地でも冒険者になってやる。悪の魔術師協会など知らん!


「てめえ、この……あっ」

 必死でババアに反論しようとする俺だったが、そこで思わず口をつぐんだ。

 ずっと隣で静かにしていたゴレが、ものすごく元気をなくしていることに気付いたのだ。

 長いエルフ耳が超しゅんとしてしまって、身体がふるふると震えている。

 これ、もうマジで泣きだす5秒前だ。

 もちろん原因は、壊れた肩叩きマシーンと化したババアにより、俺がめちゃくちゃにぶっ叩かれまくっているせいだ。ゴレは俺の身を案じすぎるあまり、精神に深刻なダメージを受けはじめている。

 まずい、何とかしないと。

「お、おいゴレ。俺なら大丈夫だ、痛くないぞ。ほら、全然平気……ぐおっ!? いでっ! ちょっ、ばあさん、空気を読め!」

 しまった、逆効果だ。

 ゴレは小さくなって俺の袖をつかみながら、一生けんめい涙をこらえるように、ぷるぷると震えている。

 こいつは涙を武器にするようなやつじゃない。むしろ俺が動揺するのを知っているから、泣かないように必死に我慢しているんだ。なんていじらしいやつなのだろう。

 だが、その努力も限界のようだ。

 揺れる瞳の色が、うっすらと青色に変わりつつある。

 こんな風に色が変わるのか。紅玉色の虹彩が、澄んだ海のような紺碧(こんぺき)に移り変わっていく様は、思わず息を呑んでしまうほどに美しい。――……って、今はそんなことはいい。


 まずい。ゴレが泣いてしまう。

 俺はゴレの悲しい泣き顔は、もう絶対に見たくない。

 それに、シドル山脈の牛達の命が無残に散るのも見たくない!

 くっそおおおお! どうすればいいんだ!

 ええい、仕方がない。こうなったら、魔術師協会に入会するしかない。

 とにかく今は、このババアの杖を止めることが先決だ。

 邪悪な暴力ババアの権力に染まった悪の協会かもしれんが、一応、形だけ入会しよう。気に入らなければ、すぐに退会すれば良いだけの話だ。


「わかった、わかったよ! 降参だ。入会すればいいんだろう、入会すれば!」

 

 

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