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破滅の魔導王とゴーレムの蛮妃  作者: 北下路 来名
第5章 ゴーレムの里
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第57話 ベッドと格闘


 

「追い詰めたぞ、ゴレ。もう絶対にお前を逃がさないからな……」


 うす暗い宿の一室。

 俺は、ゴレをベッド脇の壁際に追いつめていた。

 真剣な表情で、彼女を見つめる。

 ゴレの着衣は乱れている。

 潤んだ赤い瞳が、じっと見つめ返してきた。


 俺はゴレを逃がさないよう、壁に手をつき、壁と己の身体で彼女をはさみ込む体勢を取っている。

 そう。いわゆる、壁ドンである。

 

 一体なぜ、こんな事態になってしまったのか――



------



 ゴレの体重を調べるために、俺はある作戦を立てていた。


 今回の駅馬車の旅では、中継地点のこの宿場町で、宿を取って泊まる。

 部屋割りは、テテばあさんが一室、俺とゴレで一室だ。

 ばあさんと俺達は別々の部屋になる。

 流石に今回は、ハゲやテルゥちゃんと旅行したときみたいに、一緒の部屋で寝るわけにはいかない。

 テテばあさんは、まがりなりにも大人の女性である。

 状況にまかせて淑女と寝室を同じくするなどと、そのようなデリカシーのない行為を、当然俺の紳士道は許さん。


 したがって、ゴレと直近でふたりきりになるポイントは、この宿だ。

 俺はもう我慢できない。

 ゴレの体重が気になって気になって、仕方がないんだ。

 そして、おそらくこの旅行中に早急にゴレの体重を調べられるタイミングは、密室となるこの宿をおいて他に存在しない。

 それ以外の場所だと、おそらく勘の良いババアの横槍が入り、体重測定に失敗した挙句、俺の脳天は打楽器と化すような気がするのだ。

 そんな、強い予感がする。


 俺はゴレと連れ立って宿の部屋に入ると、すぐに扉の鍵を閉めた。

 もちろん、万が一のババアの乱入を防ぐためである。

 俺は慎重な男だった。


 ……だが、実はこの“部屋の鍵を閉める”という行動は、俺が普段行わない不自然な行動だったのだ。

 この世界に来てからこっち、俺は家や部屋の鍵は、外出時以外ほぼ閉めない。

 だって、超高性能レーダーをもつゴレが、常時そばにいるから。

 もし泥棒が入って来ても、ゴレがあっさり見つけて、ぶちのめしてくれるに決まっている。要は、すっかり安心しきって平和ボケしているのだ。

 どちらかというと、最近はゴレが家や部屋の鍵を閉める。特に、アセトゥが離れ家に遊びに来るようになってからは、何故か戸の鍵を毎回いちいち厳重に閉めるようになった。

 

 そして今、俺が普段取らないこの異常行動を、ゴレは敏感に察した。

 ガチャリと鍵の音がした瞬間、彼女の長い耳が小さく反応する。

 不思議そうに、俺の顔を見つめてきた。

 そしてその直後、何かに気付いたかのように、上目づかいで急にもじもじしはじめた。


 ――しまった、体重測定を気取られたか!?


 俺は慌てた。

 こいつが俺に体重を悟らせないように立ち回っている節があることには、すでに俺も何となく気付いている。

 なぜそんなことをするのか、合理的な理由がまったく不明ではあるが。

 ともあれ、俺が体重測定しようとしていることに気付けば、ゴレは逃走をはかるかもしれない。

 まずい、ゴレに逃げられてしまう。追いかけっこで、俺に勝ち目はない。


 俺はベッド脇に立つゴレの手を握り、やや強引に引き寄せた。

 そして、そのまま壁際に押しつけ――



------



 ……こうして現在、このような壁ドン状態になっている、というわけだ。


 ゴレの着衣が若干乱れているが、別に俺が何かをしたわけではない。なぜか勝手に、肩の部分の薄衣がずるりと落ちたのだ。

 彼女は俺の身体と壁の間に挟まれたまま、とろんとした夢心地のような瞳で見つめてくる。

 特に怯えたり、逃げ出そうとするような気配はない。

 あれ? 体重測定を気取られたと思ったのは、気のせいだったのか?

 

 ともあれ、障害(ババア)の排除と標的(ゴレ)の確保という当初の目標は、大枠で達成できた事になる。こうして接触状態に持ち込んでしまえば、俺の動きに抵抗しないゴレには、事実上逃亡は不可能だからだ。


 ここからが、いよいよ体重測定だ。

 あれから色々と考えてみたが、やはり強引にゴレを持ち上げて、大まかな体重を判断するしかない、というのが俺の出した結論だ。

 現状、測定用の機材などは持っていない。

 俺は馬車に揺られながら一日中、様々な体重測定方法を脳内で試行した。

 何らかの重りと、ロープや棒を併用した測定。

 水を利用した測定……。

 だが、やはり、宿の密室内で接触状態を維持したまま測定を行うとなると、どの方法も実現可能性が低い。

 だから、この場では、持ち上げた体感によって大まかな体重を把握する。これによって、今日のところの一応の知的探求心を満たそうと思う。おおよそどの程度か分かるだけでも、気分的にはまるで違うのだ。

 詳細な測定については、里に帰ってから改めて行えばよいだろう。


 さて。持ち上げる、と簡単に言ってはみたが、実はこれも難題を含んでいる。

 俺は日常的にゴレを抱っこしている。

 しかしその実、彼女を持ち上げたことは一度もない。

 抱っこして移動させるときは、いつも若干引きずるような感じだ。

 もちろん、重さなどたいして感じない。


 考えてみると、これって不自然だ。

 普通ならば俺は何かの拍子に、無意識にひょいっとゴレのことを持ち上げようとしたことが、一度や二度は必ずあるはずなんだ。それこそ、犬と同じような感覚で。何せゴレは抱いているときの体感重量が、ものすごく軽いのだから。

 にもかかわらず、俺はゴレを抱き上げたことがない。

 この事実から推察するに、おそらくゴレは、いつも俺の動きに抵抗しない範囲内で、その尋常ならざる体さばきを駆使し、俺に持ち上げられることを自然に回避しているのではないか? 例えば、するっと体を逃がすような感じで。

 だとすれば、普段と同じ要領で抱っこして持ち上げようとしても、結局はうなぎのようにぬるりと逃げられてしまう可能性が高いのではないだろうか。


 ふむ、なるほどな。

 つまり今回は、ゴレが体重を逃がせないようにする必要があるわけか。

 ならば、しっかり完全に捕まえて、その上で、俺が彼女の全重量を支える体勢を保持すべきだろう。

 よし、方針が決まったぞ。

 よいしょっと……。


 俺は、ゴレの後ろに両手をまわして、その下半身をつかんだ。


 何やら一瞬、ゴレの背中がのけぞったような気がした。

 しかし、相棒の全重量を保持するためのポジションを模索する俺にとって、今はそれどころではない。

 俺は彼女を強引に引き寄せ、身体を密着させた。

 そのまま、俺自身が若干のけぞって、上体を反らすような姿勢を取った。

 こうすれば、しなだれかかるゴレの体重が俺にかかってくる。

 この状態で持ち上げてゴレの接地を完全に絶ってしまえば、全体重を俺が受け止めることになるはずだ。

 もちろんこの体勢は、ゴレの重さが分からない以上、多少の危険をともなう。もしもゴレの体重がとんでもないものだった場合、俺は潰されてしまう。

 たしかに俺の予想でも、ゴレは同体型の人間の女性よりは重いと思う。

 だが、さすがに俺が一瞬で押し潰されてしまうほどの重量ではないはずだ。


 これは、ゴレの日常の仕草などから導き出した結論だ。

 床が抜けないことなどのいくつかの論拠はあるのだが、特に重要な論拠の一つになっているのは、今この部屋にもある、“ベッド”だ。

 普段ゴレは、何かにつけて俺のベッドに登りたがる。そして、ベッドの上で俺の隣にちょこんと腰かけて真剣に『食べられる野草』を読んでいるときや、寝転んで身体を拭かれているとき、こいつは床に接触していない。全体重をベッドに預けているんだ。

 こいつがそこまで極端な重量なら、ベッドがぶっ壊れるか、軋むはずだ。

 だが、寝具はいつも、不自然な沈み方などは特にしていなかったはず。軋み音だって、酷かったようには記憶していない。少なくとも俺は、そのような違和感を意識したことはない。

 

 ちなみに『ゴーレム図鑑』の記述によれば、本物の聖堂ゴーレムの素体重量は、200リュウス。

 異世界謎単位ではあるのだが、成人男性の体重がおおよそ100リュウス前後という話だ。

 つまり、聖堂ゴーレムは大人約2人分の重さ。まぁ、おそらく150kgには届かない程度じゃないか? この世界には、やたらガタイの良い奴も多いから、ちょっと微妙ではあるが……。

 とはいえ、この重さ自体は何の参考データにもならない。

 ゴレがその外見と、仮に中身まで聖堂ゴーレムそっくりになっていたとしても、材料の量と〈軽量化〉の程度は、俺が何も考えずに勝手に指定したものだ。

 少なくとも重さに関しては、ゴレは聖堂ゴーレムでも何でもない。

 

 多分、ゴレは本物の聖堂ゴーレムよりは、少し軽いんじゃないだろうか。

 あいつらよりスレンダー体型でもあることだし。

 ベッドの沈み方などの状況証拠が示す限りでは、ゴレの体重は、せいぜい鎧を着込んだ女騎士ってレベルではないかと思うのだ。

 だから持ち上げても、潰れて死んだりはしないはず。

 大丈夫、いけるはずだ。絶対いけるはず……。

 俺ならやれる。

 よ、よし。行くぞ。

 俺の学術的探求心は、多少の調査の危険性を押し切った。

 

 ゴレの顔が近い。

 その紅い瞳は、何かを期待するように、熱っぽくとろりと潤んでいる。

 白く柔らかなその肢体は、強い温もりを放ちはじめていた。

 ゴレは俺の背中に回した手で、ぎゅっと服をつかんできた。

 

 よし、このまま一気に持ち上げるぞ。

 俺は手に力を込め、ゴレを力任せに持ち上げた。

 彼女の身体がふわりと10センチほど宙に浮いた。

 おや? 意外と軽いな。

 というか、まったく重みを感じないぞ。

 推定重量、0kgだ。

 ゴレの体重がそこそこあるというのは、俺の予測ミスだったのか?

 このとき、俺はふと、すがりついているゴレの足元を見た。


 ……ゴレは、つま先立ちをしていた。


 おい!

 そういうのは、要らないのだ!

 俺は、ゴレをさらに持ち上げようとした。


 が、ゴレは抵抗した。


 俺にすがりついて身悶えしながら、しかし、必死に持ち上げられないように、一生けんめい体重移動している。

 馬鹿な。こいつが俺の動きに、ここまで露骨に抵抗するだと!?

 し、信じられん……!

 何という事態だ。


 ゴレの突然の反抗期にショックを受け、若干ムキになった俺と、何故か切なげに身をよじるゴレとの格闘が始まった。

 俺が我武者羅に手を動かすたびに、ゴレの火照った肢体が妖しくうねる。

 絡み合い、激しく争う俺とゴレ。


 はあ、はあ……。全然だめだ。まるで持ち上がらん。

 ぐっしょりと汗をかいてきたぞ。

 くそっ! 冷静に考えてみれば、俺が体術でゴレに勝てるわけがないのだ!

 このままでは確実に、時間切れか体力切れで、俺の方が負ける。


 何ということだ。ここまでの絶望的な泥仕合感は、古代地竜と一騎打ちをした時以来だ。いつも俺の隣には、こんな強敵が潜んでいたのか!?

 どうしよう、学術調査が失敗に終わってしまう。

 俺にとってそれは、文化人としての敗北と同義であった。

 一体どうすればいいんだ……。

 俺は焦りに焦り、徐々に自制心を失いつつあった。


 このとき、ふと思い立った。

 要するに、ゴレがぬるぬると動きやがるから、持ち上がらないのだ。

 だったら抵抗できないよう、こいつを脱力させてしまえばいいのではないか?


 普通に考えれば、この無敵のゴーレムを脱力させる事など不可能だろう。

 そんな事ができるならば苦労はしない。これまでゴレに敗れ去ってきた数多の強豪たちは、脱力させるどころか、まるで有効打すら与えられないまま、一方的に無残に屠られた。

 だが、しかし。飼い主である俺には、ゴレをあっさり脱力させる手段に、一つ心当たりがあった。


 ――瞳を、ピンク色に濁らせてしまえばいいのだ。


 あの状態のとき、ゴレは脱力し、完全に余裕を失っている。

 体さばきもまったくキレを失い、しなだれかかってくる身体から、若干の体重を感じるようになる。それでも必死に体重をかける事を抑えているようではあるが。

 あの状態にすれば、俺にもあっさり持ち上げられるはずだ。

 こいつを倒すには、もはやそれしかない。


 普段の俺なら絶対に実行しない、鬼畜な手段である。

 しかし、この時の俺は自制心を失い、もはや目的の為に手段を選ぶことをしなくなっていた。


 とはいえ、ゴレの下半身を捕らえているこの状態では、手がフリーにならない。

 いつものふきふきの要領で瞳をピンクにするのは無理だ。

 かといって手を離せば、ゴレに逃げられるかもしれない。

 一体どうすれば良いのだ。


 考えろ、考えるんだ。何か方法はないか……。

 脳をフル回転させていた俺は、このとき、うるんだ瞳でけなげに一生けんめいひっついてくるゴレの、その長い耳に気付いた。

 今、目の前にある、ゴレの長いエルフ耳。

 耳は、ゴレの瞳がすぐピンクに濁るポイントの一つである。

 そうだ。ここを疑似的にふきふき状態にするしかない。

 意を決した俺は狙いをさだめ――


 ゴレの耳に、優しく噛みついた。


 どうだろうか? こんな風に、口で優しく刺激を与えれば良いのでは……。

 ゴレの身体がこわばり、背中の服をつかむ手に力がこもる。

 俺はゴレの耳を甘噛みしつづけた。

 ゴレは必死に何かを我慢しているようだ。優しく歯に力を込めるたびに、密着する彼女の身体がぴんと張りつめるのを感じる。


 ……うーん?

 きちんと目はピンク色になっただろうか。

 こうしてゴレの耳を噛んでいる状態だと、瞳の確認ができない。

 ちょっと完全ピンク化できた自信がない。

 俺はゴレに調子をたずねた。


「……どうだい、ふきふきだよ。気持ちいいかい、ゴレ?」


 耳元で囁いた瞬間、ゴレが予想外に激しく反応した。

 何やら俺のウィスパーボイスには、とんでもない破壊力があったようだ。

 ゴレの全身の力が抜けて、ふにゃふにゃと崩れ――


 ついにその腰が、かくんと落ちた。


 俺はゴレの耳から口を離し、その顔を確認した。

 細くて白い首が、くったりと脱力している。

 うつろな瞳は、完全にピンク色に濁り切っていた。


「? ……何だかよく分からんが、堕ちたみたいだな」


 ふっ。まぁまぁ手こずらせてくれたな、ゴレよ。

 だが、俺にかかれば造作もない。これでようやく持ち上げられるぞ。

 俺は口角を吊り上げ、薄く笑った。



 ……客観的に見た場合、もはや完全なる一人の鬼畜の姿がそこにはあった。



 俺はそのまま、脱力したゴレを持ち上げようとした。

 しかし、驚くべきことに、なんと、ゴレはほとんど意識が混濁しているこの段階に入っても、なおも決死の抵抗を試みた。

 完全に腰砕けになっている状態から、必死に震える足をふんばり、俺を引き倒そうとしたのだ。

「なっ……!? 馬鹿な……!」

 バランスを崩した俺は、ゴレに押し倒されるような状態で、脇のベッドに仰向けに倒れ込んだ。

 くそっ、油断した。形勢逆転だ。

 ここまできて、俺はゴレに敗れ去るのか。


 ……だが、実際のところは、もはやこれが彼女にとっての、最後の抵抗だったようだ。

 ゴレはまったく動かない。

 俺に覆い重なる彼女の全身は力を失い、火照った肩を上下させるのみで、すでに体重をかけないようにするのが精いっぱいという感じだ。

 いつもの瞳がピンクに濁り切っている時の状態である。

 やはり先ほどの動きは、ありえない気力が生み出した最後の力だったのだ。


 しかし、信じられん。

 まさかこいつが、ここまで抵抗するとは。

 何という反骨精神なのだ。もはや、敵として敬意を払うに値するぞ。

 だが、残念だったな。瞳がピンクに濁って脱力したこの状態から、貴様に逆転の目はない。

 ふ……。

 ふふ……ふはははは! 勝った……勝ったぞ!!!

 この状態は、いわば王手。

 俺の勝利は、すでに確定している。

 もう一度抱き起こして抱え直してもいいし、この体勢から直接お姫様抱っこに移行してもいい。要は、さっと持ち上げてしまえば、試合終了なのだ。

 瞳がピンクに濁り切っている以上、それはさして難しいことではない。

 ゴレの素体重量のデータは、もはや俺の手の中にある。


 覆い被さってくるゴレの身体は、相変わらず軽い。

 でも、普段よりは確かな重みを感じる。

 俺は抱えて一緒に起き上がろうと、彼女の背中に手を回した。

 そして、気付いた。


 ――ゴレの背中は、小さく震えていた。


 いままでの、身体の奥からの強い熱を帯びたような震えとは、まるで違う。

 その小さな震えは、泣いているみたいに弱々しい。

 俺は彼女の背中に手を触れたまま、固まってしまった。


 気付かなかった。

 お前、そんなに嫌だったのか……。

 そこまで俺に体重を知られたくなかったのか。

 俺はここに来て、本気で後悔した。


「ごめんな、ゴレ……」


 俺はゴレに心から謝罪した。

 そして、弱々しく震えるその背中を、そっとなでた。

 ゴレがゆっくりと火照った顔を上げ、うつろな目でぼうっと俺を見つめた。


「すまなかった。お前の気持ちを、まるで考えていなかった。……約束する。もう無理矢理お前を抱き上げようなんて、絶対にしないよ。もう体重なんてどうでもいい。本当は、お前さえ笑顔でいてくれるなら、体重なんてどうだって良かったんだ……」


 ゴレの表情なんてことを言ったら、他の人には笑われるかもしれない。

 でも、俺には分かるんだ。

 今のゴレはきっと、いつもみたいに、幸せそうに微笑んではいない。


 本当にすまなかった、相棒。

 またも知的欲望にのまれかけた俺は、愚かな過ちを犯してしまうところだった。

 心の中で何度も謝罪しながら、俺は彼女の背中をなで続けた。

 

 弱々しく俺に抱きついていたゴレの手に、きゅっと再び力がこもった。

 彼女の桃色の濁りを残したその瞳は、まるで安堵しきったように、柔らかでやさしい輝きを放っていた。

 

 

 

 以下、イメージの際の参考までに。


 1リュウスは、約700g程度です。

 したがって、純正の(・・・)聖堂ゴーレムの適正重量は、正確には140kg前後になります。これは軽ゴーレムとしては、比較的軽い部類になります。

 たとえば大柄な一角ゴーレムの場合は、450kg前後あります。この重量というのは、具体的には競走馬より少し軽いくらいですね。

 また、重ゴーレムである弩ゴーレムの適正重量は4200kg~6500kgと、軽ゴーレム達よりはるかに重いです。


 実はこういった登場ゴーレムの重さを含めたカタログスペックは、登場時点で既に決めてあります。

 もちろん、ゴレタルゥとて例外ではありません。

 さて、気になる彼女の素体重量はというと……おや、誰か来たようだ。

 

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