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[第98話] ビリビリっ!

 合崎ごうざき武司は人間には強かったが、電気関係には滅法、弱かった。もう少し正確に言うなら、[電]と付くあらゆるもの、具体的には電話、電波、電磁波、電子…など、目に見えないすべてのものに弱かったのである。

「そんなこっちゃ君ね、今の時代、世渡り出来ないよっ!」

 嫌みに聞こえる正論を会社上司の太良吹たらふくは課長席に座りながら、対峙する合崎に説教口調で言った。太良吹は座った位置にいるから、前に直立する合崎には当然、上目 づかいである。

「はあ…しかし、どうしようもありません。ダメなものはダメなんですよ、僕」

「小学生じゃないんだから、私と言いなさい、私と! …まったく!」

 太良吹は完全に旋毛つむじげた。

「はあ、どうも…」

 ペコリとお辞儀してデスクへもどった合崎はビクビクしながら椅子いすへ座った。机の上には強敵の電気スタンド、パソコン、電話といった、合崎にとって見るのもおぞましい[電]関係品が合崎を見つめていた。それは合崎がビリビリっ! と感じる━見えざる視線━だった。

 会社の帰り道、まだ田畑が豊かに広がるあぜを合崎は歩いていた。畔に沿って電柱がまっすぐに続き、高い電圧が流れる電線の上で、スズメ達がチュンチュン…とさえずっていた。それを見ながら合崎は、ふと思った。アイツら…よく感電しないな? と。落ちないメカニズムは分からなかったが、合崎はビリビリっ! に強いスズメ達をうらやましく思った。

 しばらくのんびりと畔を歩いていると、バイブにしていた携帯が急にビリビリっ! と震動した。驚いた合崎は完全にビリビリっ! 状態になり、電話に出ないまま、畦道を駆け出した。そのとき、タイミング悪く、夏空にビリビリっ! と稲妻がひと筋、走り、ズド~~ンときた。

「ギャア~~!!」

 走る合崎は完全にビリビリっ! 人間になってしまっていた。


             THE END

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