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[第97話] 集中力

 会社員の里口 もどるは最近、とあることで悩んでいた。というのは、することなすこと、すべてがプレるのである。昨日きのうも、こんなことがあった。

「どうしたんだ、里口! 待ってたんだぞ、4時まで!」

「えっ!? そんな馬鹿な。僕も5時まで待ってましたよ」

「んっな馬鹿な! お前、先川さきがわ店だぞっ!」

「ええ、先川1号店でした」

「なにっ! 馬鹿かお前は! 俺が言ったのは先川2号店だっ! 」

 先輩社員の雪之下は顔では笑いながら、言葉で荒くしかった。そのとき、里口は『…2号店で3時だっ!』という言葉を思い出し、ハッ! とした。確かに2号店と聞いた自分の足が1号店へ向かったのだ。これは、ゆゆしき事態である。里口は街頭で占ってもらうことにした。

「どうなんですかね?」

「どれどれ…。ほう! ほうほう!」

 年老いた占い師は里口の上半身を天眼鏡でマジマジと見ながらうなずいた。

「あんたの周囲にはわざわいを起こす自縛じばく霊がワンサカと見える。それが悪さをしておる元凶げんきょうじゃて…」

「あのう…どうすればいいんでしょうか?」

「ほほほ…簡単なことじゃ。集中力を高められればよい。さすれば、悪霊あくりょうは退散! まず、近づけますまい…」

「集中力ですか。それはどうすれば?」

「ほほほ…それは言葉どおり、集中する力を養うことでござる。方法までは、お教えしかねるがのう。出来ぬと申されるなら、無心になられるのも集中力を高める一つの方法でござろうかのう…」

 里口は占い師に見料を払うと、礼を言って立ち去った。

 次の日から里口は就寝前に小1時間、座禅を組むことにした。無我むが境地きょうちに自分の心をするためである。

 効果は、すぐに出た。里口はプレなくなった。ブレないとは焦点が合うということだ。なんのことはない。里口は視力が落ちていたのだ。それがすべての元凶で、物事の集中力をそこなっていたのである。里口がブレて集中力を欠いていたのは、自縛霊のせいではなく視力低下によるものだった。 


             THE END

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