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[第91話] 座談会

 今日は日曜の朝である。答動とうどう久男は肉を入れてスキ焼の下準備を始めていた。答動は世間の既成概念の打破に燃える男で、朝からスキ焼き・・というのもその一つだった。世間の一般常識では、家族を囲んで夕飯に・・だからだ。答動家ではその常識が通用しなかった。妻の夏美も三人の子供達も、答動の理路整然りろせいぜんとした方針に感化され、今では完全にあきらめていた。日曜の朝はスキ焼きのブランチ[朝食と昼食を兼ねた食事]というのが答動家の相場となっていた。

 割り下は作り置きがあったから問題はなく、答動はいつもの手順で楽しみながら準備をしていた。当然、鼻歌なども出て、気分は上々だった。ふと、外の庭を見れば、植えられた庭木のこずえすずめの群れが舞い下りるのが見えた。まあそんなことはよくあることで、さして気にも留めず答動は準備を進めた。準備は答動の専売特許で、いい匂いがしてグツグツといい塩梅あんばいに出来上る頃になると、夏美と子供達が現れるというパターンが定着していた。だから、「おい! できたぞっ!」と、声をかける必要など、まったくなかった。

 焼豆腐、葱、肉、白滝などの具材をそれぞれ皿に盛って、答動はテレビのリモコンを押した。画面には政治座談会の熱弁合戦の様子が映し出されていた。一人の識者が意見を話し始めたとき庭の雀がチチチ…とさえずった。そして、意見が終わると雀の囀りは止まった。まっ! そんな偶然もあるさ…と答動は気にも止めず、具材の皿を茶の間の長椅子へと運んだ。運ぶ途中ですでにテレビはリモコンを押して切っていた。長椅子の上にはガスコンロが置かれており、その上には鍋が乗っている。答動は小型ガスボンベをひねってコンロに火をけ、テレビのリモコンを押した。その途端、ふたたび政治座談会が映し出された。テレビの観る場を変えたのだ。当然、識者達と司会者が映り、熱弁が聴こえてきた。それに合わせるかのように、庭がチチチ…チチチチ…とにぎやかになった。賑やかなことだな・・雀達も座談会か…と、答動が思ったとき、夏美や子供達が現れた。まだまだ賑やかな座談会になるな…と答動は、また思った。


             THE END

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