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[第83話] お焦(こ)げ

 立板たていたけずるは、いたご飯のおげが大好きだ。あの香ばしい焦げたにおいがする炊きたてご飯の握り飯なら、毎日でもいい…と思っていた。おかずがなくてもいいほど好きだったが、さすがに健康に悪いからと母親の順子はここ最近、手控てびかえていた。

 削の家は昔ながらの家屋で、台所はかまどだったから当然、炊飯は直火じかび炊きの釜が使われていた。

 今朝も香ばしいお焦げのいい匂いが漂う。昨日の仕事ですっかり疲れ果て、ぐっすり眠っていた削は、その匂いに揺り起こされるかのように自然と目覚めた。

「あら! 早いわねっ」

「母さん、お握り!」

 ニヤリと笑いながら、削はやんわりと言った。とても社会人とは思えない…と自身でも思えていたからニヤリとなった訳だ。

「この前、作ってあげたでしょ!」

「1週間前だろ」

 この手の会話が過去、母子の間で何度となく繰り返されてきたのである。

「お焦げの日だけでいいからさ…」

「仕方ない子ねぇ~」

 削にとっては都合よく、順子にとっては都合悪いことに、今朝はお焦げが出来ていた。保温ジャーへ炊いた釜のご飯を移すと、底の方には、お焦げが、こびりついていた。順子は立て板に水を流すように、馴れた指のさばきで数個のお握りを瞬く間に作った。削は出来上がったそのお握りを、立て板に水を流すように、馴れた口の動きで頬張り、腹へと収納した。

 

                THE END

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