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[第52話] 遊ばれる

 上坂うえさか友樹は完全に遊ばれていた。いや、こんなはずじゃなかった…と上坂は後悔していた。最初のやり始めは、ほんの片手間のつもりだったのだ。それが今では、ドップリとテレビゲームにハマっていた。最初、上坂は玩具おもちゃのゲームで時間つぶしに遊んでやろう…と偉そうに思った。歴史好きの上坂は戦国ゲームを玩具屋で買った。ふん! こんなものは馴れりゃ簡単だ…とゲームをシゲシゲと見ながら思った。ところが、である。いっこうゲームに勝ちが見えなかった。関ヶ原で福島正則勢の騎兵として戦う上坂は、小西行長勢と果敢かかんたたかっていた。だが結果は、プログラムのせいでもないのだろうが、やってもやっても勝てなかった。具合が悪いことには、このゲームには上坂をとりこにする魔力が秘められているようだった。遊び半分でやり始めた上坂だったが、次第に本気になり、抜き差しならなくなっていった。要は、ゲームで遊ぶつもりが、ゲームに遊ばれ始めたのである。時間が大幅にゲームについやされるようになった。このままではいかん…と、もがけば踠くほど、上坂は生活が乱れていった。

「お前、このごろ変だぞ…」

 蒼白い顔に目だけ血走らせた上坂を見て、同じ課の永田は案じる顔で忠言した。

「いや、大丈夫だ…」

 無精髭ふせしょうひげに蒼白い顔は、誰の目にも大丈夫には見えなかった。

「上坂君。君ね、どこか悪くないか? 一日休んでいいから、病院で診てもらって、ゆっくり休養しなさい…」

 数日後、見かねた課長の須磨は、とうとう上坂を課長席に呼び、休暇を与えた。

「お、俺はゲームに遊ばれてるんですっ! 課長、助けて下さいっ!」

 上坂は絶叫していた。その声は課内の隅々(すみずみ)までとどろいた。全員の視線が上坂にそそがれた。上坂は人目もはばからず、フロアへひざまづくと、よよ・・と泣き崩れた。その片手には、いつ背広から取り出したのか、テレビゲーム機器のソフトが握られていた。

「ははは…簡単なことさ。忘れりゃいいんだよ、上坂君! 忘れなさい!」

 須磨はポン! と上坂の肩を一つたたき、薬言を与えた。


                    THE END

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