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[第37話] 立ち話

 二人の男が横断歩道の交差点で話し合っていた。二人は偶然に出会った古い友人だった。それも久しぶりの出会いだったから、立ち話になった。二人が話す間、信号が幾度も変わった。二人は路肩ろかたへ寄って話をしたので、通行の邪魔になることもなかった。それでも、通行人はたたずんで話し続ける二人を物珍しげにチラ見しながら横断していった。

「ははは…まあ、ここでの立ち話もなんだから、そこら辺の喫茶店でゆっくり話そうや」

 もう充分、話をしたあと、一人の男が気づいたように言った。

「ああ…」

 ある程度は話したぞ…と、もう一人の男は思ったが、急いではいなかったから応諾おうだくしてうなずいた。一人の男は誘ったものの、あたりの土地勘がまったくなかった。誘われたもう一人の男も同じだった。当然ながら、そこら辺の喫茶店に目星があるはずもなかった。二人はお互いに知ったかぶりをして歩いた。

「おかしいな…この辺だったと思うが…」

「そうそう、この辺にあった、あった!」

「だろ?」

 二人は妙なところで話が合った。事実は、二人ともまったく土地勘がなく、知らない場所へ迷い込んでいたのである。それでも、二人は歩きながら立ち話をした。立ち話が続けられたのは、お互いに相手の土地勘を信じていたからだった。そんな二人が歩き回っても、喫茶店が現れる訳がない。結局、二人は小一時間、立ち話をしながら辺りを徘徊はいかいし、喫茶店を見つけられぬまま元いた横断歩道の交差点へもどる破目になった。いわゆる、双六すごろくで言うところの[振り出しへ戻る]である。

「まっ! 元気でっ」

「ああ、君もなっ!」

 二人は横断歩道を渡ると、燃えきらぬまま左右に分かれた。立ち話もなんだから・・ということはなく、結局、立ち話でよかったのだ。


                   THE END

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