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[第19話] 演歌な女

 恵まれた境遇に生まれたにもかかわらず、することなすこと、すべてが裏目に出るという薄幸の女がいた。彼女の名は名からして悲劇を連想させる奥山 侘枝わびえという。いつしか人は、彼女を演歌な女と呼ぶようになった。生まれ落ちたとき、侘枝の未来は前途洋々としていた。なんといっても父親は世に知られた大富豪で、母も元華族という上流家庭に生まれ育ったからだった。そして、侘枝は美人だった。それが、まさかこのような薄幸の人生を生きていかねばならなくなると誰が想像できただろうか。

 あるときを境にして侘枝の人生は一変した。侘枝が3才になったとき両親が不慮の事故で他界したのだ。叔母夫婦に預けられたまではよかったが、その夫婦が悪かった。財産を乗っ取り、侘枝を残して、どこかへトンズラしたのである。すでにこのあたりから侘枝の人生は演歌になっていた。しかしそれでも、なんとか無事に孤児院で成人した侘枝だったが、そこからが、ひどかった。侘枝は流転の人生を味わうことになる。働いた会社は倒産し、男にはだまされた。気づけば、侘枝は場末の飲み屋で働いていた。哀れに思った人々は、この頃から侘枝を演歌な女と呼ぶようになった。そんな侘枝にただ一つ、奇跡的な光明が射した。美人の侘枝を見た客が、彼女を歌手に誘ったのである。客は世に知られた作詞家だった。だが、侘枝の歌手人生もまた演歌だった。出した曲はヒットせず、いつしか侘枝は50の坂を越えていた。そんな演歌な侘枝に、またひと筋の光明が射した。一枚のCDが偶然、一流作曲家の目にとまり、侘枝は演歌な女として売り出されることになったのである。曲、♪お茶碗人生♪は大ヒットした。演歌な女は演歌な女ではなくなっていた。


                    THE END

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