第陸章 彼のその後……
本当にあれでよかったのか? 結果、友達と呼べるあいつを裏切ってしまった……。
けど、ああするしかなかったんだ……。
「どうした? 浮かない顔だな……」
椅子に座っていると、男が現れた。
「ええ、俺がやったことが本当に正しかったのか……それが気になってるのです」
けど、俺はこの人の手となり足となると決めたんだ……。
「富崎……お前の判断は間違ってはいない、結果的にはあいつは間違いなく『大会』に出ることになる」
「そうですね……このことには考えないことにします」
それを言うと男は立ち去ろうとした。
「あと一ついいですか?」
「なんだ?」
男はその場でこっちも向かずに答えた。
「『剣士』の能力は、あの後どうなるんですか?」
「……知らん、すべては、奴らの『脳』の中にある『力』が決める」
『力』か……俺のこの、呪われた『力』をあと少ししたら使わなければいけないなんて考えたくもないな……。
しばらくは、学校にも行かないでおくか……。
いまだ見つかっていない俺の『発動条件』を探さなくては……。
そういえば昔、何をやって発動させたんだっけ?
この場所にいれば……俺の『力』もそのうちに……。