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第二章 在所不明の会計が現れて……


この章なんだかんだで、登場人物が少ない……。


この前の宿泊会から一週間……とある不審者が連続して見つかっている…。

なんでも、黒いライダー用のヘルメをかぶっていて、真っ黒の上下のジャージを着ていて、そしてそいつの最大の特徴は『速い』らしい……なんでも、一度パトに見つかった時には走ってパトをまいたとか……性別は不明、目的も不明……。

なんで目的も不明なのに不審者になっているかというと、この鈴峰高校の辺りにしか出没しないからである、まるで誰かを待っているかのように……。

出没時刻は不定期で、早い時には午後四時、遅い時には午後八時であり、この間に出なければ、その日は出ることはない……。


「不審者の情報をまとめるとこんなものか……」

俺は今、生徒会雑用として最近出没する不審者の情報をまとめていた……。

「あの、これまとめてどうするきですか? まさかとは思いますが、捕まえるとかいうんじゃないですよね」

俺は真正面の生徒会会長席に座っている会長こと、鈴峰美華、苗字からわかるようにこの鈴峰のご令嬢だ、ついでに風華の姉である……いまさらなんだけど、あんまり似てない姉妹だったりする……まあ歳が二つも離れてるんだからだろう……。

会長は、椅子に座ったまま、外を見ている。

「あの……会長? 聞いてます?」

「半分ぐらい聞いてますよ」

半分ってなんですか!

会長は、くるりと回転して、こちらを向く。

「まあ、その不審者は私たちが捕まえることになると思うわ……」

黒髪のセミロングに、今日はオレンジのカチューシャをしていて、目は常にニコニコとしているけれど、その裏はとても恐ろしい何かが隠されているだろうな……大人しそうな容姿で、胸はでかい……それが、我らが鈴峰高校の生徒会会長『鈴峰美華』だ。

と、会長の容姿について解説してると会長の右手から小さな火花が散った……うん、この辺にしておこうか。

「やっぱり俺らが捕まえるんですか……」

「当たり前でしょ? 普通一般人が車から走って逃げれると思ってるの? しかも、人目のつく大通りで……、警察も一応一般人なのよ? つまり、この辺に出てくる能力持ちの不審者は私たちで捕まえるしかないでしょう?」

その考えはごもっともなのですが、なにも俺たちじゃなくても……。

「そのかわり、一般の不審者なんか警察に任せておけばいいのよ……それこそ私たちは出る幕ではないでしょ?」

俺はどう返していいのか分からなくなった……。

ちなみに、今この生徒会室には、俺と会長しかいない……つまり、突っ込む風華もいなければ、冷静に判断して、この空気を掻き消してくれる竹城もいない……。

俺はどうしようもなくなり、再度、会長が推測する能力者持ちの不審者についての書類に目を通す……。

できれば、能力者じゃないほうがいいんだけどな……。

ほんと、普通の一般の不審者であってほしいんだけど、会長が言う前から、そんな気がしてたんだよな……。

「よし、それじゃ、佐々木君は周辺のパトロールでもしてきて」

「会長、俺は佐藤です……わざとですよね? まあいいか……わかりまし……あれ? でも、能力が発動してない俺がパトロールしたって、一般の警察がパトロールするのと変わりませんよね?」

「そんなもの、適当に通行人の女性でも触れていればいいでしょ!」

「……いやいやいや! おかしいですからね? そんなことしたら、不審者捕まえる前に俺が通報されますからね?」

「別にいいじゃない、適当に弁解しておけば……」

「そんなことできるわけないですよ!」

「はあ……冗談が通じない子ね……」

絶対冗談なんかじゃなかった……、さっきのは、絶対本気に決まってる……。

「まあ、それはそうと、パトロールさっさと行ってらっしゃい」

うわー話そらした……珍しく会長が攻めてこなかった……。

「えー俺だけが行くんですか?」

「ええ、佐藤君だけに行ってもらうの」

ニコニコといつのものように、不敵な笑みを浮かべる……。


結局俺一人で、校外パトロールをする羽目になる……。

「はあ、こんな時に限って竹城も風華もいないし……」

今から約二時間ぐるぐると同じ所を回らなきゃいけないのか……。

俺は出現ポイントを転々としながら思った……。

はあ……なんで、風華は余分な時に出現して、こういう時には出てこないんだよ……。


つ、疲れた……残り、十分ぐらいだ……。

この時間を超えれば、不審者は出ないはずなんだ……あと少しだから出てこないでくれよー……。

何処からか声がした気がした……次の瞬間俺は自分自身の耳を疑った。

「――ワタシハ、オマエヲマッテイタノダ……」

声がする方向は特定できなく声の主が何処に分からない……。

「誰だ! 何処にいる」

「ココダヨ……ココダヨ……ワタシハココニイルヨ……」

後ろの方から声が聞こえた……振り向くと、そいつは一本の電柱のてっぺんにいた。

白いライダー用のヘルメットに、真っ白のジャージ上下つまるところ、最近出没している不審者だ……。

「なんで、俺を待ってたんだよ……俺に何の用だ……」

「――ワタシハニンムヲスイコウスルダケ……」

任務……俺は一体何に狙われてるんだ?

「ところで、お前は誰なんだ! そのヘルメットを取れ!」

不審者からの返事はなかった……。

「ワタシハオマエヲキリキザム……」

不審者は、右手に集中していた……すると、どういう原理かわからないけれど、刀のような物が生成された……。

「おいおい……マジかよ……今の俺はただの一般人なんだぞ……」

「――シネ」

この場は逃げるしかない!

俺は能力が発動してない時に全力で走るのは久しぶりだった……。

「……オイツメタ……シネ……サトウアキラ」

気づけば、不審者は俺の真正面にいた……。

ああ、もうダメか……俺はここで死ぬのか……。

能力が発動してない能力者なんてただの一般人とかわらないじゃないか……。

俺はあきらめた……自分の『死』を目の前にすると、何もかもがどうでもよくなるのか……まったく、人間って生き物はよくできてる……。

その場に座り込み、この刃に俺は貫かれるだけなのか……。

「死を覚悟するのが早すぎるぞ……」

突然、全く聞いた覚えのない女性の声がした……。

見上げるとそこには女性がたっていた、薄めの茶髪で、腰まであるロングヘアー、身長は俺よりも高いだろう、百七十センチぐらいだった。顔は後ろ向きだったからきちんと確認できないけれど、たった一つわかることがある……この人は鈴峰の制服を着た。

よく見ると、不審者が出した透明の刃は止まっていた……茶髪の人の右手から同じく

剣のようなものが出ていた。

ただ、明らかに違うのは、その剣から電流が流れていることだった。

「ぼさっとしてないで、さっさと逃げろ少年!」

「いえ……、戦いますよ俺だって!」

少々申し訳ないが、立ち上がる瞬間に肩に触れさせてもらった……。

「『コピー・メモリー』!」

しまった……この人どんな能力なんだ? 判断を間違えたか……。

「少年……儂に何をした……」

「すみません、ちょっと能力をお借りします!」

「そうか……儂の能力は『雷使い――スパークマスター――』だ……少年に使えるかは分からんが……」

え……? 俺、マスターの能力コピーしちゃったのかよ……。

次の瞬間俺の体の中に電流が走った……けれど、それは痛みではなく、何かの信号のようだった。

「……サトウアキラ、オマエヲ殺ス! ジャマヲスルナッ!」

不審者が右手だけだった透明な刃を今度は左からも、繰り出した。

「危ない!」

俺は、いまだ流れているであろう、体内の電流を一気に放電した。

不審者と茶髪の人は俺の放電をかわした……一気に放電したから、敵味方関係なく攻撃してしまったようだ……。

マスターの能力は扱いが難しいんだな、と感じていた。

間合いを、取っていた不審者は手をヘルメットの耳の部分に触れて誰かと喋っているようだった。

「チッ! ドウスル……ジャマガハイッテイルノダガ……ソウカ、デハココデイッタンワタシハヒコウ……」

そういうと、不審者は風のように去っていった。

「あの、助けていただきありがとうございました」

茶髪の人が、こっちに向く。

少し垂れた茶色気味の目にツンとした鼻、顔はかわいいよりきれいと表現するのが正しいだろう、会長に勝るとも劣らない胸……そういえば、女の人だったっけ?

この人自分のこと『儂』って言ってたもんな……世の中にはいろんな一人称があるもんだな……。

さっきから、俺の事を凝視する茶髪さん……。

「あの、俺なんか変ですか?」

茶髪さんは、「ふーん」といって去って行ってしまった……。

結局、茶髪さんは何者だったんだ……新手の不審者でもなさそうだし、謎が謎を呼ぶってこのことなのか……?


一応会長に報告だな……にしても、不審者は俺を狙ってたのかよ……。


「ただ今戻りました……会長、報告なのですが、不審者はどうやら、お……」

俺が言葉を止めたのにはもちろん理由がある……。

「あ、お帰りなさい。 愛衣から聞いたけど、まさかあきら君を狙ってたとは……」

茶髪さん、もとい、愛衣と名乗る俺を助けてくれた人は、生徒会室にいた……。

「おやおや、やっぱり少年が佐藤あきら君なのか……」

「たまたま、愛衣がこの近くを通っていたなんて、すごい偶然ね」

「しかし、儂は認めんぞ……少年が会長推薦を受けたなんて!」

は、はい? なんで俺が会長推薦を受けたの知ってるんだ?

「そうね……愛衣は一応、生徒会会計に所属してるっていったら早いかしら」

早いも何も、それを言ってくれればこんな疑問は浮かばなかったですよ……。

「そうか、すっかり自己紹介が遅れたな……ふむ、儂は井和知愛衣いわちあい生徒会会計で、三年だ」

と、年上だったのか……、そしてまた珍しい苗字だな『井和知』って……。

「三年生だったのですね…っと、俺の方も一応自己紹介を、えー佐藤あきら二年、生徒会所属で、主な仕事は雑用です」

「くぅ……なあ美華! なぜ儂を会長推薦で生徒会に入れてくれなかったのだ?」

軽く涙目な、愛衣さん……まさかとは思うが……。

「だって、そんなことしなくても、愛衣は生徒会に入ってきてくれるでしょ?」

会長は、いつものニコニコ笑顔で、愛衣さんを諭す……。

「しかし……会長推薦は特別なのだー!」

ずいぶんと大きい、駄々っ子だな……。

会長よりもずっと高い愛衣さん、むしろ、俺よりも背は高い……そんな人が生徒会室に転がっているわけで……。

「あの……会長? これからどうするんですか?」

とりあえず、愛衣さんは放置して、俺は今後の方針を聞いてみる……。

「そうね……とりあえず、あきら君が狙われてるっていうのだけが分かったのよね」

「うーん」と会長は、唸っていた……。

「美華、美華よ! 儂に何かできることはないか? 儂にできることならなんでもやるぞ!」

この人やっぱり、会長大好きなんだな……。

「あのー? 会長、俺どうやらマスターの能力まで『コピー』しちゃったみたいなんですけど、これからどうしましょう?」

すると、キョトンとした会長の表情……少し口角が引きつっていた。

「い、いまなんて? マスターの能力を『コピー』ですって?」

さらに唸る会長……、俺にどう対応していいのかは分からなかった。

「愛衣……ちょっといいかしら? 佐藤君がアレを使えるようになるまで特訓してあげてほしいの……ダメかしら?」

「もちろん! 儂は美華のものだからな!」

間髪入れずに、返事をする愛衣さん……そんで、最後の要らん二言。

「あのー……アレってなんですか?」

「アレは、マスターになったものだけが使える力なの……もし、アレを覚えることが出来れば佐藤君のその『コピー』の能力はただの『模写』なんかじゃないわね」

結局アレについては教えてもらえなかった……。

「それじゃ、愛衣これを渡しておくわね……特訓する場所は……そうね佐藤君! 屋上の鍵持ってるわね?」

なんで知ってるんだ! 会長には言ったことないはずなのに!

「その顔は持ってるわね……まあいいか、そんじゃ特訓場所は屋上で! 学校壊さないようにしてねー」

会長は『エターナルパワーエリア』――だったかな?――のリモコンを愛衣さんに渡すと、どこかに行ってしまった。

「さて、少年儂も、美香に頼まれた以上は、絶対に断れん性質なんだ……さっさと特訓をして、アレを使えるようになってもらわねばならん」

「で、結局のところアレって何なんですか?」

「習うより、慣れろ、百聞は一見にしかず!……だな」

そういうと、愛衣さんは生徒会室を出て行く……。


俺は誰もいなくなった生徒会室の鍵を閉め、屋上に向かう……。

屋上の扉の前で仁王立ちしている愛衣さん……なんだか、竹城以上会長未満の威厳を感じる……、さすが、生徒会本役職は違うね……まあ例外はいるけどな。

「遅いぞ少年……」

あなたが生徒会室を出て行くのが早いんです……。

屋上の南京錠の鍵を開け、屋上に出る……やっぱ、屋上は気持ちがいい、日はすでに西に沈みつつあり、空は茜色に染まっていた。

「さて、まずは儂の能力『スパーク』についてなのだが……短時間で『スパーク』自体は使えるぐらいになるだろうな……ただ、美華もなかなかに難しいことを言ってくれる……『武器化』までとはな」

武器化……おそらく俺を不審者から助けてくれた時に使っていたもので、会長が『アレ』と言っていたものに違いない。

「まあ、そうだな……単純に『武器化』といっても、二つの『武器化』があるのだ、一つは実態をもつ武器そのものもう一つはっ実態しない武器の『影』……では、『影』の方を見せてやろうか……」

そういうと、愛衣さんの右手から電流が放電し始めた……。

「ふっ! 出でよ『電光影斬でんこうかげきり』」

武器の名前のようなものを言うと、あの時と同じ刃が出現する。

「どうだ? これが儂の武器の影『電光影斬』だ……本来ならば、『影』は『実態』があってこその『影』なのだが、どうやら『武器化』は逆のようなのだ『影』から『実態』ができるようなのだ……それをちょっと実証してやるか」

電光影斬は何かに反応するように、放電を始め、太かった刃はだんだんと細くなっていく。

「真なる影『電光影斬』……影から解き放ちその真の姿を示せ! 来い『雷光闇斬らいこうやみきり』!」

電光影斬は『影』確かに実体はなかった……雷光闇斬は『影』の反対『実態』本当に実体だった……それは、そのまま日本刀だった……。

「あの……その台詞みたいなのも言わなくていけないんですか?」

「ん? ああ、言わなくても結構だ、儂は気分を盛り上げたいからあの台詞を言っているだけだ! どうだ、かっこいいだろう?」

そんな、ドヤ顔で言われても……。

どっちが、かっこいいのか困るだけなんですけど……。

「あはは……はぁ」

「……? まあいいか、では、始めるとしようか、まずは通常の『スパーク』を使えるようにならなくては、意味がない……」

「あの……とりあえず、フィールドを展開してもらえませんか? そうでないと、俺の能力使えないんですけど……」

「ああ、そうだったな……『コピー』の能力であって『マスター』ではなかったな……すまん、すまん今から開こう」

ぽちっとリモコンのボタンを押す……そういえばこのリモコン、赤のボタンと、青物ボタンってシンプルなつくりだよな……。

「では、準備も整ったことだし、始めるか」

「お、お願いします」

「……では、始めに……何をしようか」

って、おいいいい! そんなんじゃ困りますって!

「にしても、よくあの時は、あんな量を放電できたものだな……儂でも、あの量を放電できるようになったのは、能力を使い始めてから……そうだな、蓄電のしすぎで、能力が暴走した時にようやくあれだけの量を放電ができるようになったのもだった」

あ、危ないなこの人……。

「では、いきなり放電ではためておいた電気がパーになってしまうからな……うまく制御することから始めようか」

「わかりました……『コール・スパークマスター』!」

能力の呼び出し『コール』をすると、あの時と同じように電流が体の中を走る不思議な感覚になった……。

「それでは、始めるか!」


話すと、練習の内容が長くなってしまう――主に、練習中に愛衣さんがおかしなことばかり言うため――のでそこは飛ばしておこう……。

だいたい三十分程度の練習で、俺はスパークを制御できるようになった。

「ほむ、上出来だな少年! では、続いて本命の『武器化』についてだな、最初に言ったようにこれは、実態の無い物から『影』を生み出すという矛盾が生じているため、最初の制御が一番難しいのだ……そうだな……『武器化』はイメージすれば一番簡単にできるかもしれないな」

「イメージですか……」

俺は、さっき見た『電光影斬』を強くイメージする……すると、右手に不思議な電流が流れだすのが感じられる……。

「おお、いいぞ、その調子だ!」

――パシイッ!

右手に走っていた電流がいきなり放電され大きな音をたて、形はうまく整わなかった……つまるところの失敗だ……。

「めげずに何度もやることが重要だぞ、少年!」

「ええ、あきらめる気なんてさらさらないですよ!」

再び俺は、イメージを始める……。

しかし、何度、イメージを繰り返したのだろう……日はすでに暮れ、空は何とも言えないグラデーションを描いていた。

「あと、もう少しのところなのだが……あ、そうか! いくら『影』から『実態』になるとはいえど、イメージの中でなら先に『実態』をつくれるではないか!」

「そ、そのことには速く気付いてほしかったです……」

俺が、実際に使う『実態』は……って、俺は武器なんて持って戦ったことなんてないしなあ……また、愛衣さんの『雷光闇斬』をベースにしてやらせてもらうか……。

「おお、あと一息だ! いいぞ、いいぞ形になってきているではないか!」

し、集中できなくなるんですけど……なんて、言ってる場合じゃないきちんと右手に集中だ! 集中しろ俺!

俺の右手に流れる電流は破裂する音はなく、妙に重みのある電流が流れていた……。

「成功……ですか?」

「ああ、『影』は成功だ! すこし、振ってみるといい」

言われた通りに俺は作り出した『影』を振り回す……。

「意外と、形が崩れない物なんですね?」

「一度作ってしまえば、後は自分でどれだけ、それを制御できるかによるのだよ」

「なるほど……」

「ところで、その『影』の名前はなんだ?」

「名前って、俺がつけるんですか?」

愛衣さんはきょとんとした顔になる。

「何を言ってる……その刀身にでも刻まれてないか?」

俺は、自分の右手を凝視する……。

「あ、本当だ書いてあった! えーっと? 『電刃鏡光でんじんきょうこう』って、読むみたいですね……」

「これで、儂も美華との約束を終えたな……では、少年! 武運を祈る!」

そういうと、愛衣さんは、屋上から飛び降りた……。

「ちょ、ちょっと! 愛衣さん!」

下を見ると、壁をつたって、てくてく歩いてる愛衣さんがいた……。

おそらく、鉄筋コンクリートに強力な電気を流して、磁石と同じ原理を使って歩いているのだろう……。


――次の日

不思議な鈴峰高校生徒会会計・井和知愛衣はまたどこかに旅に出たらしい……。

生徒会室の小さな俺の机にたった一枚の置手紙を残して……。

――少年へ

儂はまた、行かなければならない所があるため、『武器化』の『実態』について詳しく教えることが出来なくてすまなかった……わびというわけではないのだが、今度少年と会えたら、儂と手合せ願いたい……これは美華からのお願いであり、儂も少年と一度やってみたいところではある。

ああ、これでは、わびにもなっていなかったか……。

では、わびのしるしとして、一つ、『影』は自分の思った通りの形を成す……つまり、形がないのだから、自由自在なのだ。

ただし、『影』故、形はあってものないようなもの……『影』は『影』同士でしか戦えないということだけは注意しておいてほしい。

では、さらばだ! 

ps:美華は儂のものだ! 美華と何かあったらただではおかないから覚悟しておけ!

――井和知愛衣


手紙でも『儂』って……本当にどこか抜けた人だな……それにしても、会長に手を出す命知らずなんていないですよ……。





(〇∀):ちなみに、この章で愛衣さんの出番はこの巻では終わりです


愛衣:儂そんな扱いなのかっ!


(〇∀):大丈夫……きちんと後からは出てくるから!


愛衣:それだったらいいけど……なんか心配だな……


(〇∀):ま、気にしちゃダメだよ!


愛衣:それ、軽い死亡フラグじゃないかっ!



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