原点崩壊 -②-
「こんなのとはなんだ失敬な」
「そーだそーだー!見習いのくせにー!」
「こんな何でもない昼から暴飲暴食してるのが神だって言って誰が信じますかね!?」
サガの漏らした言葉にゼルが反応し、ロマヌスも便乗するが、サガはそれに反論する。
「俺師匠ぞ?最高位の闇の神ぞ?敬え」
「そんな感情は二年前にここに来てすぐその辺に叩き落されましたよ他でもないあなた自身に」
ゼルとサガのこうした小競り合いももはや十八番芸。
他の四人はそれをツマミにお菓子を食べ、酒を飲み続ける。
すると部屋の一角の景色が突如歪み、その中心から穴が開いてくる。
人の背丈ほどの大きさになると、その穴から、艶のある黒っぽい青の長髪と空色の瞳を持った女性が現れた。
「お、ルアスじゃねぇの」
「やほ~ヴェルデー久しぶり。おやつ貰いに来た」
「まだ甘いのもしょっぱいのもいっぱいあるよ!どれ開ける?」
そうしてミエラとお菓子を選ぶ彼女は時空の神ルアスで、先程のは彼女のワープゲートだ。
すると今度は玄関の扉が叩かれる音が響いてくる。
「サガ、見てこい」
「はいはい」
未だに突っ立っていたサガはリビング入り口から玄関へ引き返し、来客を迎えに行く。
扉が開かれ、少し会話する声が聞こえてきた後にサガと共にリビングに現れたのは、色黒で大柄な男、破壊神のローグだった。
片手には酒瓶がたくさん入った袋を持っている。
「ようヴェルデー!初めて見る酒あったから飲もうぜ!」
「良いねぇ!丁度今のを飲み切ったとこだ!」
「こっちにも一本ちょうだーい」
「…それじゃ俺はここらで」
人数が増えて騒がしくなってきた部屋に、サガは一人背を向け自室に行こうとする。
「待てサガどこへ行く」
「少し刀磨きをば」
「今度は逃がさんぞ」
ゼルはニヤリと笑うと、先程のように能力でサガを捕まえる。しかも今度は拘束が強く抜けられない。
「連れねぇなァお前もちょっと飲め!」
「ローグさんもう飲んで───ちょ力強っ…!?あと酒臭い…!」
「逃げたな~?お姉さん悲しいぞー」
酔ったローグと、サガで遊ぶ気のルアスにも捕まり、抵抗虚しく二人に挟まれ着席させられた。
ルアスにいじられ、ローグの酒気にあてられ、買い出しの疲労も重なり、徐々にサガの意識はまどろんでいき───。
空の一角の景色が歪む。
歪みは渦を巻き、その中心に穴ができる。
穴の向こうは吞み込まれそうな漆黒。
するとその穴から、電波塔の先端のようなものが現れ───。
眠りに落ちたサガは、夢うつつで不思議な感覚を味わっていた。
まず一瞬、懐かしくも恐ろしいという矛盾した感覚。
誰かに強く抱き寄せられる感覚。
唐突な浮遊感、続いて何かが抜け落ちるような脱力感。
そこでサガの意識は再び深く沈んでいった。




