EP5 怒りの矛先
ここでは久々に王堂が出てきます。決して忘れてたとかではありません、、忘れてないです、、、、
今回のお話は少し短めです
夕方の帰り道。
紬は王堂司の隣を歩きながら、制服の袖をきゅっと握っていた。
校舎裏での出来事が、何度も頭をよぎる。
――聞かれていた。
あの時の言葉を。
軽く、冗談のつもりで口にした、あの残酷な本音を。
「……私、最低だ」
ぽつりと、誰にも聞こえない声で呟く。
蓮はずっと頑張っていた。
それを一番近くで見てきたのは、自分だったはずなのに。
傷ついて当然だ。
避けられて当然だ。
自分が悪い。
そこまでは、はっきり分かっていた。
「なあ、紬」
隣を歩く王堂が、何気なく口を開く。
「如月さ、九条生徒会長に呼ばれたらしいよ」
「……え?」
思わず足が止まりかける。
「今日聞いた。生徒会に誘われたとか」
王堂は軽い調子だった。
「真面目だし、便利そうじゃん?」
その瞬間。
胸の奥で、反省とは違う感情が、ゆっくりと浮かび上がった。
――なんで?
なんで、蓮が?
頭に浮かんだのは、生徒会長・九条雅の姿。
成績一位。
周囲から一目置かれる存在。
自分より“上”。
反省の気持ちが、少しずつ形を変えていく。
だって。
蓮は、いつも二位だった。
努力はしてる。でも、越えられない。
追いつきたいと言いながら、結局は私の下。
「……それでも、私のこと悪く言われるほどじゃ」
心の中で、そう言い訳を始めている自分に気づく。
あんな一言で、全部を否定するなんて。
そんなに弱かったの?
追いつけないのは、蓮の問題じゃない?
反省は、いつの間にか敵意にすり替わっていた。
そして、最後に辿り着く考えは――
「……あの人が唆したんだ」
九条雅が、余計なことを言った。
だから蓮は、急に私から目を逸らした。
だから、前を向いたつもりになっている。
自分の知らない場所へ、勝手に行こうとしている。
それが、許せなかった。
王堂と並んで歩きながら、紬は唇を噛む。
「……分からせてやらないと」
その言葉には、もう反省はなかった。
敵意すら、薄れている。
あるのはただ――元の位置に戻させたいという気持ち。
蓮は、私を追いかけていればいい。
私の下で、努力していればいい。
それが、ずっと続いてきた形なのだから。
夕暮れの道で、紬の影は王堂の影と並びながらも、どこか歪んで見えた。
それはもう、恋でも後悔でもない。
静かに芽生えた、支配欲だった。
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