九
ゴォッ!!
振り下ろされ地面を抉る太刀。突き出される槍。押しつぶそうと迫りくる鎧武者――その中心で櫻華は舞い続けた。桜はなおも散り続けている。
振りぬかれる拳を左手で捌き、身体を回転させて続く槍を紙一重でかわす。槍の引きと同時に踏み込もうとするが、瞬時に後ろから太刀が振り下ろされ間断なく槍も突き出されてくる。今までならかわし間合いを空けただろう。だが、櫻華は構わず踏み込んだ。柄を滑らせるように踏み込む櫻華に合わせて、槍から握っている腕までが桜と化した。そのまま鎧武者の懐に入り鳩尾へと掌をかざす。瞬間、パッと花弁が弾け鎧武者が桜となる……が、
「――――」
櫻華は素早く視線を巡らせた。すでに、その時には周りを鎧武者が囲んでいた。無手の鎧武者が覆いかぶさり、その後に太刀と槍が振り下ろされ突き出されてくる。鋭く息を吸い、櫻華は足を滑らせた。押しつぶされる直前で身をかわし、同時にかぶさろうとしていた鎧武者の身体を掌で薙ぐ。
サァァ――
黒い影が瞬時に消え、桜が舞い広がった。が、その瞬間、
ザシュッ――!!
鮮血が桜の花弁を染め、舞い上がる。太刀が櫻華の肩を裂き、槍が脇を抉っていた。続けてくる背中の太刀が肉を開くが、それでも櫻華は動きを止めない。傷は深い――しかし、死ぬまでの傷にはさせていなかった。無意識のうちに紙一重で攻撃を捌き、致命傷はさけている。
桜と血が舞う中、背中を斬りつけ振り落ちている太刀に櫻華は手を滑らせ、一気に振りぬいた。太刀、腕と順々に桜となり、すべてが花弁と舞い上がる。
これで五体。無手が一体、太刀が二体、槍が二体――




