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櫻華の桜  作者: shio
第三章 散華
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 魔を破る法に二つある。

 一つは散華。一つは破魔。

 魔を伏すを散華といい。魔を滅すると破魔という。


 正統というのもおかしいが、元は散華の術しかなかった。歴史では、破魔の術は散華の二千年の後にできたものだと言われている。そして、今では破魔の術が正統となっていた。散華の術は古の術法として研究されているだけで、その使い手はいないとされている。

 何故、散華がなくなり破魔が主流となったのか――それには、防人たちの思想の大きな変化があった。破魔の術は滅びの術。魔を滅し無とする。反して、散華の術は魔を滅しない。華と散らせ輪廻の輪に戻し、再び命と昇華させるのが散華の術だった。しかし、長い魔との戦いの中で、慈悲を術の根本とした散華に、何故悪そのものである魔に慈悲を施さねばならぬという考えが起こった。

 幾度となく世を乱され苦しまされてきた事実を考えれば、そういった思想になるのも仕方のないことかもしれない。しかも、散華よりも破魔のほうが容易で強い術を使うことができた。結果、歴史の中で埋没しつつあった散華の術は完全に途絶え、破魔の術だけが使われるようになる。

 しかし、櫻華は散華の道を選んだ。


 ――魔との戦いの後、学院の騒ぎはしばらく治まらなかった。それはそうだろう。現役の防人でさえほとんど見ることがない人の形をした魔が現れたのだ。そう簡単に騒ぎが治まるものではない。急遽、今後の防衛と対策の為、厳戒態勢と結界の調査が取り決められた。

 だが、その中に櫻華は入っていなかった。名前すら出ていない。防人機関である破魔護法への報告もされていなかった。(ちなみに、この護法の「法」は経典ではなく、法律、つまりは世の秩序という意味になっている)

 魔は学院の教師と学生で対処したことになっていた。


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