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櫻華の桜  作者: shio
第十一章 桜は血に染まり
132/138

十六


「櫻華っ、お前は我らと同じ『力』を持つ者ぞ!」


 少女の力強い声は、天高く響いた。


「見ろっ、お前の後ろにある無数の目はお前を『人』として見てはおらぬ!」


 その声、神楽の言葉に、空気が揺れ、淀んだ。

 静かに澄んだ櫻華の瞳に、周りの人間は何を見たか、何を感じたか――


 ――タンッ


『明らかに掴み倒そうとしている動き』に櫻華は一歩後ろへと飛んだ。


「っ! なにを――!!」


 別の少女の声――四埜宮巴の叫びが聞こえる。

 破魔護法の術者達は櫻華を取り囲み、だけれど、魔でさえ倒せなかった櫻華をどうにかできるわけもなく。風の術まで使い――しかし、当然、それは桜と変えられ。


「止めなさいっ!!」


 善現が吠え、阿楼那と二人で飛び出した。気付くべきだったのだ――神楽の言葉ではっきりと分かった。人間達は櫻華を恐れている。まるで、魔と同等に。自分達の地位を奪われぬために。


「――――」


 続く術に、櫻華は視線だけで桜と変える。魔の力さえ届かぬ散華。人間の術などで敵うはずもない。だが、焦りも何もなく静かに桜へと変わった術に、人間達は益々恐れを高めた。

 だからだろう。


 パンッ――――


 乾いた軽い音と共に、櫻華が地面へと倒れた時、一瞬何が起こったのか阿楼那と善現は分からなかった。焦げたような匂い、響いた音――それが、銃と言われるものだと悟った時。


「――――ぁあああああああっ!!!」


 善現と阿楼那は咆吼し、力を解き放った。

 数十はある水の竜は、人間達に襲いかかり――そして、


 ――キンッ


 閃光に包まれたかと思うと、霧散した。


「――良かった。間に合ったようですね」


 白き装束の黒髪の少女――それはまるで天女のような。


「どうか怒りを治めてください、竜の者。この場は、わたしが預かります」


 八部衆、上首の天――天の少女はにこりと柔らかく微笑んだ。


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